稲川淳二の『つぶやき怪談』(2023.01.31)

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稲川淳二 @Junji_Inagawa

何ていうのか、 脈絡がないっていうんですかねえ。

2023-01-31 20:28:20
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ついでだからそれ、 お話ししちゃいますけど。 なかなか話としては面白いんですよ。

2023-01-31 20:28:34
稲川淳二 @Junji_Inagawa

民話ですから昔々----ですよね。 まあ、ある山里なんですが、 ここに若い夫婦が住んでいた。

2023-01-31 20:29:10
稲川淳二 @Junji_Inagawa

このふたりというのは、畑仕事をしたり、 あとはお祭りだとか、 その月の行事なんかに合わせて飾り物をつくっていた。

2023-01-31 20:29:37
稲川淳二 @Junji_Inagawa

そんな物を売ったりして、 生計を立てていたわけですねえ。

2023-01-31 20:29:56
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ある時、亭主が、 でき上がった品物を町へ行って売ってくる、

2023-01-31 20:30:21
稲川淳二 @Junji_Inagawa

「全部売れるまで帰ってこないから、 二、三日家を空けるんで、

2023-01-31 20:30:37
稲川淳二 @Junji_Inagawa

お前、鬼婆が来ると危ないから、 よく戸締まりをしとくんだよ」

2023-01-31 20:30:51
稲川淳二 @Junji_Inagawa

かみさんは、 「行ってらっしゃい」って見送る。

2023-01-31 20:31:29
稲川淳二 @Junji_Inagawa

残ったかみさんは、 ひとりでもって飾り物をつくる、その縄をなっていた。

2023-01-31 20:31:54
稲川淳二 @Junji_Inagawa

夢中でなっていたものだから、 ついつい戸締まりするのを忘れたわけですよ。

2023-01-31 20:32:08
稲川淳二 @Junji_Inagawa

一生懸命縄をなっていると、 ガタッ、ん?

2023-01-31 20:32:25
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ガタガタガタッ、 戸が開いた。

2023-01-31 20:32:48
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ひょいっと見ると------。 そこに恐ろしい顔の鬼婆が立ってる。

2023-01-31 20:33:25
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ウワーッと、恐ろしくて、 もう言葉が出ない-----。

2023-01-31 20:33:42
稲川淳二 @Junji_Inagawa

で、女房がなったその縄をグッとつかむと、 そのまんまいろりへ放り投げた。

2023-01-31 20:34:09
稲川淳二 @Junji_Inagawa

ダーン! 縄は見る見る燃えてっちゃった----。

2023-01-31 20:34:26
稲川淳二 @Junji_Inagawa

女房は声も上げられない。

2023-01-31 20:34:33
稲川淳二 @Junji_Inagawa

怖いから ガタガタ、ガタガタ、ガタガタ震えていると、

2023-01-31 20:35:02
稲川淳二 @Junji_Inagawa

その灰になった縄を鬼婆がぐっとつかむと、 食い始めた。

2023-01-31 20:35:21
稲川淳二 @Junji_Inagawa

もぐもぐ、もぐもぐ さんざん食って、 「あーっ、食った」と言ってね、

2023-01-31 20:35:46
稲川淳二 @Junji_Inagawa

その灰のついた口でもって、 にやーっと笑って、

2023-01-31 20:36:04
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