#prfbr

@prefab000

#prfbr 負けた……負け癖がつき始めている気がする。俺には向いてないんだ。もう何もしたくない。一刻も早く帰りたい。自転車を力なく走らせる。一寸先、歩道の中央に目立つ草があった。真横を通過した瞬間、心臓が跳ね上がる。眼がついてる……。

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#prfbr 通りすぎてから、止まって振り返る。そこには誇らしげに仁王立ちしているカマキリの姿があった。あと数センチずれていたら踏み潰すところだった……。もしもの方向へ想像を発展させる手前で我に返った。一部始終を見ていたお姉さんがすごい顔でこっちをにらんでいる。

@prefab000

#prfbr どういうことだよ……俺は別に踏んでないだろ……。しかも何で今日なんだ、別の日にしてくれよ……。ああ、駄目だ、恐い。何もかも怖い。だから、俺には向いてないんだって。

@prefab000

#prfbr 本来であれば、こんな日はさっさと帰って風呂に入って眠る。そうすれば全てなかったことにできる。そうしてまた負けに行く。

@prefab000

#prfbr お姉さんはしばらく俺をにらみつけた後、ひと仕事終えたかのような表情で視線を手元に戻す。手帳に何か記しているようだった。通り過ぎる際、覗き込んでみた。罪悪感などない。このくらい構わないだろう、何しろ俺は突然にらまれたんだから。

@prefab000

#prfbr 手帳には簡単ではあったがイラストと文字が見えた。「緑色の眼キレイ」？？ もしかして観察してたのか？ カマキリを？ 確かに都会では珍しいかも知れないが……。気付くと、お姉さんの顔がまた歪んでいる。今度ばかりはにらまれる理由になるなと思ったが俺の方を見ていなかった。

@prefab000

#prfbr 年中、雪が降る街。少年は雪だるまを作りたい。｢昔の人はよく作ったんだって。でも、今は誰もやらない。なぜか怒られるから」私は理由を知っていた。「そうだね、雪だるまは駄目なんだよ。じゃあこの街のミニチュアでもつくろうか」「そんなの、無理に決まってる」少年は笑った。

@prefab000

#prfbr 気晴らしになればと思い散歩に出る。彼女が空の星を数える。黒猫が一緒についてくる。なんだかこの光景には現実感がない。このままでは別世界の住人になってしまいそうだ。途中、いつも道端で見かける自転車が壊されてた。それを見てなんとなく｢ああ明日は仕事だったなあ」と思った。

@prefab000

「わざとらしい挨拶も嫌いだし、回りくどいのもだめ。申し訳ないけどＹが書く文章に興味もない。手紙なんて、読むと思ったの？」ビリビリと破かれる。海も夕日も真っ赤だった。巡り合せとしては最高だったのだ。だから私にとって、その時の彼の言葉は違和感でしかなかった。 #prfbr