【成田悠輔×羽生善治】 対談「天才たちの深すぎるAI談義」の感想 ――将棋とAI、システムと生態系、人生と「道」

今回は先日公開された「講談社 with」の連載企画で、経済学者の「成田悠輔」氏と、将棋棋士の「羽生善治」氏の対談、「天才たちの深すぎるAI談義」について、感想を書いていきます。 天才と言われるお二人の対談、非常に刺激になるお言葉がたくさんあったので、それに触発されたまとめ主が考察しました。 対談でもメインテーマの「将棋とAI」の関係を軸にして、教育、投資など、他の分野に応用できるような考えを展開していきます。
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しろうと @sirouto

asahi.com/articles/ASN2T… もうひとり、アマチュアからプロ入りした折田棋士も、アマ時代に「将棋AI」との練習のおかげで強くなった、という趣旨のことを、本人が語った動画を見た記憶がある。昔なので、どの動画かはもう忘れてしまったが。

2023-06-10 22:26:45
しろうと @sirouto

それから、もちろんアマチュアの話で、プロの域にはまったく及ばないが、私自身もいちおう将棋の有段者(二段)なので、将棋AIの練習が効果的だということは、よく実感している。また、AIはたんに強いだけでなく、人間と違う「筋」で指してくるとも感じている。

2023-06-10 22:30:44
しろうと @sirouto

shogi.or.jp/column/2019/07… とくに「AI将棋」らしいと感じた戦法は、数年前に流行した「(対矢倉)居角左美濃急戦」だ。人間に思いつかないような細い攻め筋をつなげて、矢倉を上から攻め潰したのは驚きだった。その後、新たな対策も出て、流行のピークはもう過ぎたが、矢倉戦の歴史に残る戦法だろう。

2023-06-10 22:38:46
しろうと @sirouto

驚いたことは、「居角左美濃急戦」自体が強かったことに加えて、矢倉を避けて「雁木」に組む動きが見られたことだ。「雁木」は江戸時代からある戦法だが、現代将棋では「矢倉がA級戦法、雁木はB級戦法」、というような扱いだったので、AIが(一時的でも)将棋戦法に革命(復古運動?)をもたらした。

2023-06-10 22:42:53
しろうと @sirouto

私が中途半端に将棋に詳しいので、言いたいことは色々あるが、ここで少しまとめておこう。数少ないアマからプロへの編入者が、「AI」での訓練が有効だと言う。なので、日本は少子化で人的資本が不足するし、大人のリスキリングも含めた、教育へのAI導入が、ここから日本経済が復活する鍵だと思う。

2023-06-10 22:46:46
しろうと @sirouto

>「成田:歴史に淘汰されるゲームと生き残って繁栄するゲームには、どんな違いがあると思いますか? 羽生:明確な必勝法などの結論が出てしまうゲームは飽きられてしまいますよね。答えが分かってしまったら面白くないじゃないですか(笑)」(引用)

2023-06-10 22:50:11
しろうと @sirouto

羽生氏が仰る、「結論」が出ると終わる、というのはまったくその通りだと思った。将棋の戦法にしても、どちらかが一方的に有利になる定跡は、不利になる側が手前でそのルートを回避して、指されなくなる。だから、「将棋に必勝法なし」と言われるのだ。

2023-06-10 22:56:00
しろうと @sirouto

ところでこれは、「投資に聖杯なし」と似た構造に見える。というのも、(株式)市場はある程度の効率性を持ち、確実に得/損しそうな銘柄は、すぐに価格が調整され、そうそう一方的に勝てる局面にはならない。生き残るゲームや市場には、「生態系」のようなバランス調整機能があるということだ。

2023-06-10 23:03:16
しろうと @sirouto

ここから、「システム理論」の話につなげると、あるシステムが破綻するか生き残るかは、フィードバックによる制御が働くかどうかに掛かっている。どういうことか、ごく簡単に言うと、アクセルとブレーキなどの制動が効くかどうか。

2023-06-10 23:14:09
しろうと @sirouto

shugiin.go.jp/internet/itdb_… 憲法による「三権分立」のように、権力を独占できないようにする仕組みがある。ほかにもたとえば、「立憲君主制」というのも、権力の分離だろう。またそもそも、「民主主義」「選挙」というのも、権力を多数の国民に分散させるシステムだ。投票制は市場に似ている。

2023-06-10 23:20:00
しろうと @sirouto

>「成田:ゲームのプレーヤーをAI化することは進んでいますよね。それなら、ゲームのルール自体をAIが探索することもできるんだろうなと 羽生:「面白い将棋のルールを作ってください」みたいな? いいですね、今度やってみます。それですごいルールが出てきたらどうしようかな」(引用)

2023-06-10 23:23:03
しろうと @sirouto

ゲーム(ルール)自体を、AIが生成することも可能だ、という成田氏の発想を、さらに拡張すれば、メタバースの新しい場所(NPCなども含んだ)を生成することもできそうだ。オンラインゲームでの「ローグライク」「インスタンスダンジョン」や、「AI Vtuber」はすでにあるので、その延長で可能だろう。

2023-06-10 23:30:15
しろうと @sirouto

さらに発展すれば、リアル世界で、会社や自治体をAIが作ることも想定できる。ただ、AIによる自動企業は、「DAO」絡みで、すでに出ているアイディアなので、ここでは自治体について考えてみよう。

2023-06-10 23:34:46
しろうと @sirouto

AIが自治体を作るというのは、統計データなどから、世界の成功している地域のルールを、自動的に適用するということ。ただもちろん、実現には多大な抵抗が予想されるので、全国的ではなく「戦略特区」のように、局所的に導入する位なら可能ではという話。あるいは、江戸時代の「出島」のようなもの。

2023-06-10 23:37:43
しろうと @sirouto

>「成田:(将棋の)業界慣習について変えたいと思われるものはありますか? 羽生:ほとんどのタイトル戦は、新聞社がスポンサー(略)つまり活字文化と密接な関係性を築くことで100年の歴史を守ってきた(略)ネットなどの新たな文化にも対応していくことがこれからの課題」(引用)

2023-06-10 23:43:58
しろうと @sirouto

mainichi.jp/articles/20230… 羽生氏の上記発言は、「将棋連盟会長」として、非常に重要な点を指摘している。現在の棋戦は新聞社がスポンサーなので、新聞を含めた活字文化が衰退すると、将棋も道連れで衰退することになり、将棋界にとって深刻な問題なのだ。

2023-06-10 23:49:49
しろうと @sirouto

ひとつの方向性として、新聞の時代からネットの時代になるので、新興のIT企業にスポンサーになってもらう道がある。じっさい以前、「ニコニコ動画」で「電王戦」というイベントが開催されていた。また「ABEMA」では、「将棋」チャンネルが放送されている。「将棋ウォーズ」という公認アプリもある。

2023-06-10 23:54:11
しろうと @sirouto

また、「楽天経済圏」というものがある。そういう「企業経済圏」を、「企業文化圏」にも拡張したらどうか、という発想も個人的に考えている。たとえば、その企業の電子マネーやポイントで、クラウドファンディング的にイベント(将棋なら棋戦)開催を支援できるようにするとか。

2023-06-10 23:56:45
しろうと @sirouto

あるいは、また違う方向性になるが、ゲーム版「二次創作」の母体として、将棋を機能させるというのも、個人的に考えている。どういうことか? まず、そもそも将棋自体が「チャトランガ」から派生したゲームだ。将棋と「チェス」のルールがよく似ているのも、親戚的なつながりのあるゲームだからだ。

2023-06-11 00:01:46
しろうと @sirouto

それなら、さらに二次創作的なゲームを、多数拡散させていけばいいのではと考える。なぜなら、コンピュータゲームが爆発的に数が増えていて、可処分時間が奪われているから、プレイ人口が伸びないという側面があるだろう。なら、将棋派生のコンピュータゲームを増やして、将棋への入口にすればいい。

2023-06-11 00:03:59
しろうと @sirouto

shogi.or.jp/column/2016/11… 「どうぶつしょうぎ」は、子供への入門的な位置づけとして、良い役割を果たしているだろう。ただ、昔のFLASHゲームのようなカジュアルゲームの感覚で、もっと大量に派生版があっても、別にいいと思う。

2023-06-11 00:09:09
しろうと @sirouto

shogi.or.jp/column/2016/09… こういう小さいサイズの将棋なら、派生版を出しやすいし、それこそ成田氏が仰ったように、AIで自動生成することも可能だろう。あるていど量産すると、子供にとって入口になりやすい。

2023-06-11 00:11:32
しろうと @sirouto

ところで、企業から資金を得られるとして、派生版的なゲームが出せるとして、プロ棋士以外の一般人にとって、「将棋」自体の存在価値はどこにあるのだろうか? 最後にこの問いに正面から答えてみたい。たとえアマチュアではあっても、私も子供の頃から将棋を指しているので。

2023-06-11 00:15:26
しろうと @sirouto

今どき、「プレイステーション」のような家庭用ゲーム機で、「Steam」のようなPCゲーム(プラットフォーム)で、ソシャゲなどのオンラインゲームで、スマホアプリのカジュアルゲームで、遊びきれないほどゲームはたくさんある。なぜ、その中から、わざわざ将棋のような伝統的ゲームを選ぶのか?

2023-06-11 00:17:45
しろうと @sirouto

一言でいうと、「道」になるから、というのが私の答え。道とは、「柔道」や「書道」、「茶道」などのことだ。つまり、「将棋道」に意味があると考える。逆に、道にならないのは、ごく短期で終わるゲームだ。たとえば、一日遊んでそれっきり、では道にならない。「ローマは一日にして成らず」。

2023-06-11 00:21:04