のり氏(nornigataikai)の、旧日本陸軍の「決断」についてのお話

「判決」とか何それ怖い……
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のり @DDH_182_no2ri

たまには夜中に軍クラらしい話でもしましょうか。

2011-11-20 03:02:54
のり @DDH_182_no2ri

旧日本軍と米軍の状況判断の方法を比べてみると大きな違いがあります。米軍の状況判断は、ある任務に対して各々の参謀が担当ごとにその任務が遂行可能かどうか、可能ならばどれぐらいで達成可能かの「見積もり」を出し、指揮官はそれを受けてその任務の可否及び作戦内容の「決断」をします。

2011-11-20 03:06:49
のり @DDH_182_no2ri

米軍式では、指揮官は参謀達の見積もり如何によっては「本任務は遂行不能」という決断を下すことも有り得るのです。対して旧軍式では、まず任務が決定されます。つまりその任務が出来る、出来ないという次元は最初から存在せず、指揮官や作戦参謀がその決定された任務をいかに遂行するか思案します。

2011-11-20 03:10:02
のり @DDH_182_no2ri

決定された任務を遂行するための各種状況判断を踏まえ、「判決」を下します。この「判決」は米軍の「決断」とは違い、最初から「出来る」という前提で任務遂行の大枠を決めたものとなります。あとは各参謀がその判決に従い仔細を煮詰め作戦案を作り上げていくという形式を取るのです。

2011-11-20 03:14:00
のり @DDH_182_no2ri

@CK_Ariaze すんごく地味な用兵の話ですすみません><

2011-11-20 03:14:41
のり @DDH_182_no2ri

旧軍式では、判決を下した時とは状況が変わった時にその内容を変更し難く、また最初から「出来る」という前提で作戦が立案されるので、客観的に考えて「出来ない」任務だったとしても、その任務を完遂させようとしていたずらに損害を重ねてしまう恐れがあります。

2011-11-20 03:17:44
bouninng @bouninng

@nornigataikai 迂闊にできないって言うとあっという間に自決させられる恐怖のチキンレース……

2011-11-20 03:19:02
のり @DDH_182_no2ri

前大戦で旧軍が味わった悲劇の大半はこれが原因です。「~しなければならない」という必要性が、「出来るか出来ないか」という可能性に対し優越してしまい、幾多の尊い命を靖国へ送りました。  この病理は敗戦後もしぶとく生き残り、今の日本にも巣食っているように感じますね。

2011-11-20 03:21:19
のり @DDH_182_no2ri

旧軍の病理を垣間見せられるシーンですな RT @bouninng: nornigataikai 迂闊にできないって言うとあっという間に自決させられる恐怖のチキンレース……

2011-11-20 03:23:49
のり @DDH_182_no2ri

ではなぜ旧軍は必要性が可能性に優越する方式の状況判断方法を導入したのか。これは旧軍、特に陸軍が伝統的に攻勢主義を取っていたことに由来します。日露戦争の勝利後に陸軍が追求した「我が国独特の戦略、戦術」は、昭和に入り確立したと考えられました。

2011-11-20 03:28:50
のり @DDH_182_no2ri

その土台となっているのは「勝利に必要なのは敵に勝る意志、損害に屈せず攻撃を続ける意志」を持っている軍隊が勝つとする考えです。証拠として「統帥綱領(昭和3年)」には勝敗の主因は精神的要素に存ずるとあり、同7年の「統帥参考書」に至っては勝ちは将が勝つと思って始まり、負けは将が(続く

2011-11-20 03:32:23
のり @DDH_182_no2ri

続き)負けを認めて負けるものだとまで書かれています。陸軍中将の鈴木率道は「退却や防御は日本軍の本質から言って有り得ない」とまで言い切ってます。このような意見が支配する軍においては、「~しなければ」式=攻勢のみ、となり、それに反論する者は例え合理的であっても排斥されることになります

2011-11-20 03:35:38
のり @DDH_182_no2ri

ここに、旧軍の状況判断方法の弱点が内在するのです。平たく言えば、旧軍においては状況判断の場が状況を判断する場ではなく、「~してみせる」というやる気の掛け声の発声場になってしまっていたというわけです。

2011-11-20 03:38:25
のり @DDH_182_no2ri

正しい判断をするというのは難しいものです。戦争とはいかに自軍の過誤を少なくした方が勝つという言葉があるぐらい、間違いだらけの判断をしてしまうもの。 しかし、判断する場すら与えられないというのはそれ以前の問題です。これに気付かなかった旧軍が負けたのも当然であると言えましょう。

2011-11-20 03:42:25
のり @DDH_182_no2ri

ですが、ドイツからメッケル少佐が陸大で教鞭をとっていた時から、陸軍軍人は「可能性の問題」が「必要性」より上位に位置することを理解しなかったエピソードがあるので、これはもっと根の深い問題なのかも知れません。

2011-11-20 03:53:09