レアルタ襲撃

かがち @Kagachi10202014

#30MMUKN 「俺たちは立たねばならない──！」 多くの人々が集まった会場内で、その声は勇ましく響き渡った。 「我々は自由を吟いながらも弱者を虐げるこのレアルタを、真の自由に、平等に導かねばならない！」 スポットライトに照らされた壇上で、彼は叫んだ。 pic.twitter.com/Lwb6oU8AFo twitter.com/Kagachi1020201…

かがち @Kagachi10202014

#30MMUKN 男は苛立っていた。 自由都市レアルタ。 ここに来れば、何でも上手く行くはずだった。 従軍経験もあり、その辺の奴らには負けない。生身でも、EXMでも。 そんな自負があった。 だが、現実はどうだ？ 小銭を稼ごうと闘技場にエントリーすれば惨敗。

2023-06-04 20:39:39

拡大

拡大

かがち @Kagachi10202014

「この苦境は何故だ？！ それはここにさえ真の自由がないからだ！我々を受け入れる器量がないからだ！」 彼の言葉に同意の声が上がる。 「ならば俺たちが導こう！真の自由の為に！真の平等の為に！ このレアルタを、我らが一つの意思となって正しき姿に導くのだ！！」 会場内に奇妙な熱が生まれる。 pic.twitter.com/7tpaZy6sme

拡大

かがち @Kagachi10202014

「我らは多数にして一つ！ 個にして全！全にして個！ 我らは【レアルタ解放戦線】である！！」 怒涛のような歓声が場内を埋めつくし、蹂躙する。 今、この瞬間に。 【レアルタ解放戦線】を名乗る暴力組織が生まれたのだった。 pic.twitter.com/p01LQnD3qT

拡大

拡大

かがち @Kagachi10202014

(……容易い) 薄暗い会場。 絞られ、集中された照明。 自らの存在を肯定し、ここにいる全ての者が革命家だと煽動する演説。 無論、数名のサクラは仕込んだ。 (それにしても愚かすぎる。 いつの世も人間は愚かだ) 煙草を投げ捨て、足で踏みにじる。 「私だ。次の作戦に行くぞ」

かがち @Kagachi10202014

愚者どもの集う場を後にして、その男は端末越しに次の指示を飛ばすのだった……。 pic.twitter.com/HUtlLuedHX

拡大

かがち @Kagachi10202014

#30MMUKN #30MMUKNSFH 時は変わって昼間のレアルタ。 港には定期的にやってくる旅艦【くくるびた】から降りる人々の姿があった。 単に観光の者、夢を抱く者、抱えきれぬ悩みを持つ者、再起を計る者……様々な思惑の者がいる。 簡単な手荷物検査を受け、問題がなければすんなりとレアルタに入れる。 twitter.com/Kagachi1020201…

かがち @Kagachi10202014

そんな中、レアルタポートの出入り口をくぐり、一人の少女がレアルタの大地を踏みしめた。 「ここがレアルタ…本当に浮いてるんだ…」 実際に目にするまで、浮遊する島など今一つ信じきれなかったが、本物だ。 トランク一つを手にしながら、少女が辺りを物珍しそうに見回しつつ歩き出す。 pic.twitter.com/cgCRJs1EeU

拡大

かがち @Kagachi10202014

「……来たぞ。目的のガキだ」 『周囲に人は？』 「今はかなりまばらだ。 やれなくはない」 『了解した。『レアルタに解放を』』 「『レアルタに解放を』」 pic.twitter.com/XCZNLYoyPn

拡大

拡大

かがち @Kagachi10202014

赤い車が急発進する。 それは歩く少女目掛けて一直線に。 ドアが薄く開き、彼女の細い腰を引き寄せようと中から手が伸びる。 異変に気づいて振り返ろうとする少女の手を、グッと力強く引っ張る者があった。 「ひゃっ？！」 たたらを踏んで転ぶ少女。 掴み損ねて空を切る腕。 pic.twitter.com/Lu7brq2NOB

拡大

かがち @Kagachi10202014

急ブレーキと共に車体を回転させ、中から二人の男が飛び出してくる。 「お姉ちゃん、確認したいんだけど」 少女の前に、小さな影が立つ。 それは男達を遮るように、しっかりと大地を踏みしめていた。 「あの二人、迎えに来た人とかじゃないよね？心当たりは？」

かがち @Kagachi10202014

今一つ状況を飲み込めていない少女がフルフルと左右に首を振る。 「じゃあ、悪いやつだ」 燃えるような赤に瞳が染まる。 ザリッ、と砂を踏みしめる音と共に、その影は男の一人に肉薄し 「えいっ！」 綺麗な足払いで地面とキスさせる。

かがち @Kagachi10202014

転ぶまいととっさに手を伸ばした男が足を掴んだ為、仲間の方もその場で派手にすっ転んだ。 「早く！」 小さな影…見た限り、少女よりも小さい少年が、手を引いて少女を立たせる。 「え？えっ？」 「お姉さん、お金持ちの人？ あれ、人攫いだよ！」 「ええっ？！」 pic.twitter.com/ScYPdqG9Mc

拡大

拡大

かがち @Kagachi10202014

「とにかく、人の多い所に行こ！ そしたら無茶はできないはずだから！」 とんだお使いになっちゃったな、と内心で呟きながら、少年…【フリア・アンブレラ】は見知らぬ少女の手を引いて、ひたすらに駆けていくのだった…。 pic.twitter.com/twtMzhFsZ9

拡大

拡大

かがち @Kagachi10202014

#30MMUKN #30MMUKNSFH しばらく走っていくと、大通りが見えてきた。もう少し行けば、ひとまず安心だ…とフリアが思ったその時 「けほっ、けほっ！ま、まっ、て、おね、がい…！」 咳き込む声に驚いて立ち止まり、振り返る。 自らが助けた少女が、息を切らして小さく咳き込んでいた。 twitter.com/Kagachi1020201…

かがち @Kagachi10202014

(速すぎたんだ…！) 周りが大人ばかりで失念していた。 フリアの身体能力は、子供のそれではない。普通の少女がついていくには、酷と言うものだろう。 「ご、ごめんなさい！僕、速く走りすぎちゃって…！」 「だい、大丈夫…でも…」 フリアが後方からの人影を見咎める。

かがち @Kagachi10202014

左右の路地からも、こちらに迫る足音が聞こえる。 相手はここらの地理に詳しいようだ。 「…お姉ちゃん、これ、持ってて」 フリアが買い物袋を少女に差し出す。 「卵入ってるから、優しく持っててね」 悪戯っぽく笑うと、少女を背に建物の角に陣取る。これで背後からの奇襲はない。 pic.twitter.com/DCFLG32YOc

拡大

拡大

かがち @Kagachi10202014

【ターゲットリプ】 「【蛇ノ眼傘】は燃え尽きない！」 気合一喝。 フリアが腰を浅く落とし、少女を守るべく構えをとった……。 pic.twitter.com/Unc2W1Hgt6

拡大

かがち @Kagachi10202014

#30MMUKN #30MMUKNSFH 「……なに？失敗した？」 レアルタ解放戦線に用意されたアジトにて、そんな知らせが入ってきた。 「おやおや、それは困りましたね…。 しかし、何があったので？」 「…報告によると、妙なガキの邪魔が入った後、おかしな連中が介入して来たらしい」 pic.twitter.com/qKfKQJyHQN twitter.com/Kagachi1020201…

拡大

拡大

かがち @Kagachi10202014

「妙なガキ、ですか。 男の子ですかね？」 「そうらしいが…心当たりでも？」 「大人相手に器用に立ち回れる子供なんてそうはいません。 間違っていなければ、【蛇ノ眼傘】の養い子でしょうね」 「【蛇ノ眼傘】！？」 聞いたことがある。 かなり荒っぽい女の何でも屋で、危険な相手だと言う。

かがち @Kagachi10202014

「厄介なことになったな……」 「なぁに、心配いりません。 こちらも追加戦力を募ればいいのです」 「追加戦力？」 「ここはレアルタ、曲がりなりにも自由を謳う都市です。金次第でなんとでも……ね？」 「その分は標的の身代金に上乗せすればいい、か」 「それだけではありませんよ」 「何？」 pic.twitter.com/VkiNegGmSj

拡大

拡大

かがち @Kagachi10202014

「上手く養い子を人質にすれば、【蛇ノ眼傘】を封じられる、いや、こちらの手駒としても使えます。 悪い手でもないでしょう」 「なるほど…確かに。 よし、そっちの手配は頼む。 こっちは例の物の準備と標的の確保に回る。精々騒ぎを大きく頼む」 「タイミングはそちらにお任せしますよ」