フレデリック・ワイズマン監督トーク載録(週刊読書人11月25日号より)

10月29日、渋谷のユーロスペースで行なわれたワイズマン監督のトークショー(聞き手=鈴木一誌氏)のほぼ9割を再現した中から、発言をピックアップ。読書人の記事は全12400字。『ボクシング・ジム』や『クレイジー・ホース』、『チチカット・フォーリーズ』について語ります。自分の映画作りの秘訣なども。
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明石健五 @kengoa1965

「週刊読書人」11月25日発売号、本日高田馬場芳林堂、神保町広文館で先行発売。1・2面=フレデリック・ワイズマン監督トークショー載録(聞き手=鈴木一誌氏)。「現代アメリカ最大の映画作家」。12200字。渋谷ユーロスペースでのトークの9割を再現。これから発言PUします。

2011-11-22 10:17:19
明石健五 @kengoa1965

「『ボクシング・ジム』の大きな印象を言いますと、エンディングの空の色が印象的です。練習が終わり、ジムの外に出て、見上げると、透明感のある、これまでに見たことがないような不思議な色の空が広がっている。これはデジタル編集の効果なのでしょうか。」(鈴木氏の発言より)

2011-11-22 10:18:26
明石健五 @kengoa1965

「この映画(『ボクシング・ジム』)について語るのは、なかなか難しいんですが、空を映しだしたのは、そこで空の色を訴えたいという思いがありました。そのメッセージがしっかり伝わっていたのが、今わかったので、非常に嬉しく思います。(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:19:20
明石健五 @kengoa1965

「『クレイジー・ホース』でも、かなりのカラー補正をしています。なぜか。デジタルっぽい画面ではなくて、フィルムっぽい画面にしたかったからです。本来は、『クレイジー・ホース』もフィルム撮影をしたかったんですよ。ただ資金繰りの問題があって、そうはできずに・・」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:20:22
明石健五 @kengoa1965

「(カリフォルニア大学で)二五〇時間ぶんの素材を撮影しました。今回もハイビジョンの撮影です。編集をやっている最中ですが、作業が終わるのが、来年の夏になるかと思います。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:21:34
明石健五 @kengoa1965

「十三年前に来日されたとき、「天国からサミュエル・ゴールドウィンが、「フィルムで撮れ」と指令してきているので、私はフィルムで撮りつづける」とおっしゃったそうですね。この話は、日本では伝説化しています。その指令については?」(鈴木氏監督発言より)

2011-11-22 10:22:09
明石健五 @kengoa1965

「『ボクシング・ジム』は、ストーリーから離れて見ると、多彩なリズムに満ちた映画だと言えるのではないでしょうか。」(鈴木氏監督発言より)

2011-11-22 10:22:39
明石健五 @kengoa1965

「リング上にいるボクサーのフットワークの音や、ジムを歩くときの地面をひきずるような音、あるいはさまざまな自然の音がジムのなかに溢れています。そういった音が相まって、この映画全体の音楽になっていると、私は思っています。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:23:35
明石健五 @kengoa1965

「『ボクシング・ジム』が私にとって衝撃的なのは、長いあいだの誤解を解いてくれたからです。」(鈴木氏発言より)

2011-11-22 10:24:21
明石健五 @kengoa1965

「ある機関のなかにいる一個人、あるいは、ひとりかふたりだけの人を取り上げるのではなくて、ひとつの場所を取りあげるときに、その場所のなかで行なわれている多様な活動すべてを網羅していく。ひとりの個人、主役がいるという形ではなく、場所自体が主役である。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:25:04
明石健五 @kengoa1965

「編集中は、映像のなかに溢れているいろいろな自然の音、たとえば現場で流れている音楽の場合もありますし、足音や会話、人々の笑い声、そういったものすべてに耳を傾けて、足でリズムを取りながら編集しています。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:25:57
明石健五 @kengoa1965

「時間に関して、常に私は意識しています。編集をするときにも、時間の経過を示唆できる形で編集しようと心がけています。とても重要なことだからです。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:26:24
明石健五 @kengoa1965

「『ボクシング・ジム』の場合は、ある意味で、時間というもの自体が抽象的なひとつのテーマでもあります。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:27:27
明石健五 @kengoa1965

「『チチカット・フォーリーズ」は私のデビュー作ですが、今おっしゃった「四無い主義」をはっきりと実践していこうと決めていました。とにかく素材を蓄積して、編集をするなかでテーマを見つけていく。この手法で行こうと決めていました。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:28:04
明石健五 @kengoa1965

「観客のかたたちは、自分が目にするさまざまな事象や、聞こえてくる音、そのど真ん中に自らを据えて、周りで起きていることと自分とのあいだに関係性を見出しつつ、己で解釈していくことができる。その点がいいと思われているのではないでしょうか。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:28:46
明石健五 @kengoa1965

「演劇、小説、フィクションを書く作家と同じような形で、編集作業中に、たとえばキャラクターの設定やメタファーについて悩みながら、全体の構成を立てていく。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:29:20
明石健五 @kengoa1965

「最後に短くお聞きしますが、ノーナレーションを含むワイズマン・スタイルを、なぜデビュー作で獲得できたのでしょうか。」(鈴木氏発言より)

2011-11-22 10:29:56
明石健五 @kengoa1965

「映画作りの一番のポイントは、映画のあちこちに、何か考えるきっかけになるような要素を散りばめて、それを見ていただいたかたたちに、自分との関連性を考えながら、解釈していただくことだと思っています。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:30:41
明石健五 @kengoa1965

「テーマ設定のプロセスという質問ですが、対象の設定に関するプロセスというものもあると思うんですね。つまり何を撮影対象にするのかということと、テーマを決めることとでは、まったくプロセスは違ってきます。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:31:27
明石健五 @kengoa1965

「編集に入って、六か月、八か月して、はじめて一本のフィルムに繋がる。そうやって繋げているときに、ようやくテーマが見つかります。だから最初にテーマありきではありません。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:32:14
明石健五 @kengoa1965

「原発に関して、特に私が興味を惹かれているテーマとしては、東京電力が、常に嘘にまみれながら、原発を作ってきたことです。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:32:50
明石健五 @kengoa1965

「私の場合、実際に現場に行って、自分が観察し、そこで六か月とか十二か月かけて学んだことを、映画という形で報告するという手法です。そういう意味で言えば、マイケル・ムーア監督のやっていることと真逆です。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:33:37
明石健五 @kengoa1965

「観客も、ただぼーっと眺めているわけにはいかないというのが、私の映画だと思っています。何もしないで、欲しいものがすべてもたらされることはない。十分な情報は、映画を通して提示してあります。」(ワイズマン監督発言より)

2011-11-22 10:34:13