「世界不思議発見11/26」に関する田中貴子氏のツイート

源氏に関する@takakotanaka 氏のツイートを拾わせて戴きました。 不備があれば加除致します。
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田中貴子 岩波新書『いちにち、古典〈とき〉をめぐる日本文学誌』刊行 @takakotanaka

今晩は食事が遅かったので、TVをつけたら「世界ふしぎ発見」という番組で「源氏物語」をやっていた。きっとしょうもないと思いつつ、うかうかと見てしまった・・・。→続く

2011-11-26 22:04:59
田中貴子 岩波新書『いちにち、古典〈とき〉をめぐる日本文学誌』刊行 @takakotanaka

→案の定、石○寺が出てきて、「紫式部はここで須磨、明石を書き始めた」。。これについては、以前京都新聞に書いたとき、「と寺では伝える」としたのにクレームがつき、泣く泣くその部分を削ったことがある。石○寺云々という「伝え」が生まれたのは中世の源氏注釈の世界であって、史実ではない。→

2011-11-26 22:08:58
田中貴子 岩波新書『いちにち、古典〈とき〉をめぐる日本文学誌』刊行 @takakotanaka

→私は「史実」かどうかを問題にするつもりはなく、「そういうことを中世の人が考えていたこと」を大切に考えたいだけなのだ。しかし、こういう番組を見た人は「本当かウソか」で価値判断をしてしまいがちである。それがもっとも怖い。「本当」が尊いのなら、「文学」なんて価値なくなるよ。

2011-11-26 22:12:12
田中貴子 岩波新書『いちにち、古典〈とき〉をめぐる日本文学誌』刊行 @takakotanaka

→『源氏物語』を過剰に紫式部という「作家個人」に即して語ろうとするのにも、危険を感じる。「個人としての作家」という概念は平安時代にはない、と私は考えているからである。この番組で少しでも日本の古典を読もうかと思ってくれる人がいればよいと思わなければならないのだろうがな。→

2011-11-26 22:17:00
田中貴子 岩波新書『いちにち、古典〈とき〉をめぐる日本文学誌』刊行 @takakotanaka

→しかし、見ていて面白かったこともある。一条天皇が猫をかわいがったあまりしたことを3択で答えるクイズの選択肢に「貴族に嫁がせた」「御殿を建てた」というのがあったのだ。猫の内親王が「ご降嫁」するという想像はたまらなく楽しいな。女性宮家じゃなくて、猫も宮家、か。

2011-11-26 22:20:46
田中貴子 岩波新書『いちにち、古典〈とき〉をめぐる日本文学誌』刊行 @takakotanaka

なお、『源氏物語』についてのいろいろな伝説について知りたい方は、伊井春樹氏の『源氏物語の伝説』を読まれるとよいでしょう。これ、今は絶版ですが、どこか文庫にしてくれませんかね。

2011-11-26 22:23:09
田中貴子 岩波新書『いちにち、古典〈とき〉をめぐる日本文学誌』刊行 @takakotanaka

もひとつ余談を。紫式部がいわしを焼いて食べた、というのは江戸時代の随筆の記述にあります。海が近いところの人はいわしといっても何とも思わないでしょうが、京都では魚介類は塩漬けか干物しかありません(平安時代はもちろん)。いわしの生など、入手すべくもなかったでしょう。→

2011-11-26 22:27:30
田中貴子 岩波新書『いちにち、古典〈とき〉をめぐる日本文学誌』刊行 @takakotanaka

石○寺と『源氏物語』のツイートをリツイートした人がけっこういたので、付け加えます。こうした説話は、源氏がどうして成立したか、ということがいつの世の人にも関心事であったということの表れです。私の関心は、中世の人々がどんなふうに『源氏』を受け止めたかという点にあります。

2011-11-26 23:33:43
田中貴子 岩波新書『いちにち、古典〈とき〉をめぐる日本文学誌』刊行 @takakotanaka

→私の年代の人なら、子ども時代は鰯はほとんど干物(丸干し)しか見たことなかったと思います。生の鰯が買えたのは節分の前くらいで、焼いても匂いが強くて誰も食べず、頭だけを柊の枝に刺して門口に掲げて厄除けにしました。翌日、鰯の頭は当然猫によってなくなっているのでした。

2011-11-26 22:30:46

伊井春樹/源氏物語の伝説
昭和出版 1976.10
http://www.amazon.co.jp/源氏物語の伝説-1976年-伊井-春樹/dp/B000J8UQXY