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「異なる考えを持つ文章を理解するためには、自分を守る「常識」というセキュリティをいったん解除しなくてはいけない。当然、イライラする。不快になる。良い言い方をすれば、ドキドキする。スリルがある。いずれにしろ、こういう緊張は他人の考えを深く理解するためには必要なものだ。
2023-08-05 00:31:07そのためには書き手をいったん信頼しなくてはいけないが、どうも信頼できる範囲が狭まっている。読書を安心して快適な体験にしたいがために、自分と似たようなものしか、セキュリティを通過できないみたいである。」 (綿野恵太『「逆張り」の研究』p51)
2023-08-05 00:33:10「確かに「かわいそうランキング」というスラングはリベラルな社会の矛盾をうまく指摘している。「かわいそう」にはかたよりがある。人間の「共感」にはバイアスがあるからだ。ぼくたちの脳は自分と同じような人間に共感を寄せやすい。同じ人種、民族、性別、年齢の人にどうしても同情してしまう。
2023-08-05 16:52:21また、かわいい動物や美しい人間といった多くの人に好まれるルックスであればあるほど、共感を集めやすい。」 (綿野恵太『「逆張り」の研究』p91)
2023-08-05 16:53:40歴史ある名門校の生徒は裕福な家庭の子供が多い。高等教育に進むひとが少なかった戦前に創立されたのであれば、なおさらそうだ。お金を大事にすること、勝負には必ず勝て、としつこく話をする必要はない。生徒たちは初めからお金持ちで勝者だからだ。 (綿野恵太『「逆張り」の研究』p110)
2023-08-05 16:55:54つまり、ややこしいけれど、レッテルとしての「逆張り」は、相手が部族主義に陥っていると断定する、それ自体が部族主義的な言葉なのである。政治的な立場が異なるだけで、対話不可能な「敵」とみなしあう「政治的部族主義」を象徴している。 (綿野恵太『「逆張り」の研究』p134)
2023-08-05 17:25:01「優等生と不良のあいだにも非対称な力の差がある。だが、優等生はマイノリティ=弱者ばかりを支援する。不良たちからすると、弱者の支援やケアが「えこひいき」に見えてしまう。自分たちは何も気にかけてくれない。不公平だと思い込む。
2023-08-09 12:05:07リベラル=優等生はいじめる/いじめられるの力関係に敏感である。しかし優等生/不良の知の力関係には鈍感である。たいしてネトウヨ=不良は優等生との知の力関係に敏感である。しかし、いじめる/いじめられるの力関係には鈍感である。 (綿野恵太『「逆張り」の研究』p172)
2023-08-09 12:10:13簡単にまとめると、ここ最近のインターネットの学級会は「傷ついた」という「身体的な体験」に基づくポピュリズム(リベラル)と、不都合な真実を暴露する「エビデンス主義」(アンチ・ポピュリズム)が互いに争っている。 (綿野恵太『「逆張り」の研究』p192)
2023-08-09 12:12:59それぞれのものが持つ固有の時間に付き合わなければ、ものはつくれない。芸術性の低い文章を書いているぼくでさえ、たしかにこんな感覚がある。生活を維持するための労働も、政治を変えるための活動も「いま」の奪い合いに巻き込まれている。 (綿野恵太『「逆張り」の研究』p234)
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