"AFURI"商標問題に学ぶ情報操作とSNSの危険性

チェリーピッキングする不誠実な言い分を鵜呑みにし、誠実に回答した側を叩く知性の欠けた人々により世論が操作される危険性
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前提

本件の係争内容については、当事者同士の問題であり、第三者には口を挟む権利はない。また、知識・理解の不足する者が口を挟めば無駄に混乱を招くだけである。よって、当事者でもなく、かつ、知識・理解のない者は口を挟むべきではない。

ここで問題提起していることは、係争のあり方の問題であって、商標登録のあり方の問題でも、どちらの主張が認められるべきかの話でもない。正々堂々と正面から勝負を挑まずに卑怯な手段で相手を陥れること、および、それに加担することがもたらす社会の混乱について書いている。これについては、閲覧者も利用対象とされた当事者である。また、本件の係争内容よりは遥かに簡単な問題である。

補足事項

知識・理解の不足を自覚しよう

法制度に従った行動や法制度に文句を言う人は多いが、その圧倒的多数は何もわかってないが故に文句を言っている。少なくとも、以下に説明する内容が理解できない者は論外である。基本的な知識・理解がないのに、自分のお気持ちだけを語りたがる輩は、本件の係争内容について口を挟む資格はない。

そして、最初に説明した通り、このまとめは、卑怯な手段で相手を陥れる行為の是非を問うものであって、本件の係争内容について口を挟むものではない。脱線した話を論じるに必要な基本的な知識・理解すらないのに、本まとめから逸脱したコメントをするのはご遠慮願いたい。

というか、素人が思いつくことは当然踏まえたうえで制度が設計されている。何故、専門家よりも自分がよくわかっていると思い上がれるのだろうか。

また、「AFURI」表記が商標として認められるべきかどうかは、法令の文言だけでなく、過去の膨大な判例を踏まえないことには判断できないことである。専門家であっても一概には言えないであろうことを、何故、何の知識もない素人に語れると思うのか?

権利は無制限に認められない

誰かの権利を行使することは、別の誰かの権利の制限と表裏一体である。例えば、自動車を利用したい人と安全や静音を求める人の権利は衝突する。自分の権利を行使することは、別の誰か権利を制限する。そして、自分に向けられた権利の制限を何が何でも受け入れないという態度は、その分だけ他人に権利の制限を強いることになる。

だからこそ、日本国憲法第12条では権利の濫用を禁止し、同第13条では公共の福祉に反しない範囲での権利尊重を謳い、権利と権利のバランスを取るのである。だから、自分の権利を際限なく主張するのではなく、どこが適切な落とし所となるかを探るのが理性的な大人の行動である。

法制度はあなたが思うより良くできている

「この法律はおかしい」と思う場合は、大抵、あなたの方がおかしい。もちろん、法制度にも問題のある抜け穴は存在するだろう。しかし、普通に生活していて、その問題にぶち当たることはそうそうない。なぜなら、法制度は、問題が見つかる都度、検討して改正を繰り返したものの集大成であるからだ。

あなたが思うよりも法制度は良くできている。法制度が理不尽に見える場合は、大抵は、そうなっている理由をあなたが理解していない。何か合理的理由があって、何らかの不正を防いだり、何らかの理不尽な事態が発生しないように、注意深く制度設計されていることを知らない人は、その制度を理不尽に思うだろう。だから、法制度に疑問を持ったなら、その制度がおかしいと文句を言う前に、まず、その制度の経緯、理念、目的、手段等を学ぶべきである。

ルール変更もルールに則って行う

気に入らない法律でも、法律として決められている以上は、従わなければならない。気に入らない法律を自己判断で勝手に破ることを認めては法秩序が崩壊する。異議申し立ては法的手続きに則って行うべきである。

その手続きすら気に入らないと思うなら、民主的な手段で法律を変えれば良い。多数の国民が同意するなら、法律を変えることは容易だろう。国民の同意が得られないなら、その異議はあなたの個人的我儘にすぎない。

商標登録制度

商標登録制度は、以下のバランスを取る制度である。

  • 商品に自由に名前をつける権利
  • 苦労して育てた(または、これから育てる)ブランドイメージにフリーライドされない権利

保護する対象はブランドイメージであって、その名称の由来等ではない。フリーライドを認めない対象は、その名称の由来等ではなく、育て上げたブランドイメージである。

商標登録は際限なくできるわけではなく、指定した区分における指定商品(又は指定役務)における専有権が設定できるだけにすぎない(法第25条)。商標登録できる名称にも制限があり(法第3条第1項、第4条等)、ありふれた名称を普通に用いられる方法で表示する標章等は登録できない。また、登録された商標の効力にも一定の制限がある。例えば、「鈴木一朗」という商標を登録したとする。その場合、全国の鈴木一朗さんは、その商標登録に関係なく、自己の販売する商品に「鈴木一朗」の名前をつけて販売することができる(法第26条第1項)。ただし、商標登録後に不正競争の目的でその名前を使う場合はこの限りではない(同条第2項)。つまり、商標登録前からの使用やその登録商標が有名になる前からの使用であれば、制限なく使用できる。さらに、存続期間も10年に制限されている(更新は可能)。以上の通り、限定された範囲でしか商標権は行使できない。

「あらゆる指定商品(又は指定役務)に事前に登録しておけば商標ゴロができるじゃないか」と思うかもしれない。しかし、出願(3,400円+区分数×8,600円)、登録(区分数×32,900円)、更新(区分数×43,600円)の都度、登録料を特許庁に納付しなければならない(法第25条)ので、1名称の商標を全45区分に登録するのに190万円弱、更新するのに190万円強がかかる。1名称45区分の年間維持に20万円弱必要であり、たとえば、100名称45区分を維持するには年間2千万円弱が必要となる。だから、商標ゴロはそんなに簡単にできるものではない。かつては分割出願制度を悪用して大量の商標を登録料を支払わずに事前登録する商標ゴロが存在したようだが、現在は法改正が行われてそのようなことはできないようになっている。

既に有名になったブランドで、かつ、商標登録されていない名称を第三者が勝手に商標登録する商標ゴロは珍しくないが、そのような商標登録は禁止されており(法第4条第1項第19号)、無効審判(法第46条)で無効化できる。また、知名度の高い名称を商標登録より前に使用していた者にはその名称の継続使用が認められる(法第32条第1項)。よって、有名ブランドを狙い撃ちした商法ゴロも、相手がよほどの無知でない限り、成立し得ない。専門家にちゃんと相談すれば商法ゴロに騙されることはない。

例えば、日本酒にハラホロヒレハレという商標を登録したとする。その場合、他の商品にハラホロヒレハレという名称を使うことは制限されない。また、会話の中でハラホロヒレハレと言うのも自由である。指定した区分における指定商品(又は指定役務)においてのみ、その名称を使うことができないだけである。

例えば、実在する〇〇市にちなんで「〇〇製麺」を商標登録したとする。「〇〇製麺」は、〇〇と製麺を組み合わせているので、「普通に用いられる方法で表示する商標」には該当しないので、既に同じ商標が使われていない限り法第26条は適用されない。尚、讃岐うどんは「〇〇製麺」より遥かに歴史がある全国で知名度の高い郷土料理である。この商標が登録された後に「〇〇製麺」と全く無関係な企業が「〇〇うどん」を販売したとする。「讃岐うどんと言えば〇〇市」とする評判が「〇〇製麺」以前に広く全国で知られていた場合は商標侵害には該当しない。ただし、〇〇市での販売実績もなく、〇〇市とは縁もゆかりもない場合は、「〇〇製麺」の知名度にあやかった名前として商標侵害と認定される可能性がある。もちろん、「讃岐うどんと言えば〇〇市」との評判を「〇〇製麺」が作り上げたなら、商標侵害と認定されるだろう。ここで重要なことは、〇〇市が実在する地名であるかどうかではなく、「讃岐うどんと言えば〇〇」とのブランドイメージを誰が築いたかである。たとえ、香川県とは縁もゆかりもない人物であっても、「讃岐うどんと言えば〇〇」とのブランドイメージを単独で築いたのであれば、そのブランドイメージは保護されなければならない。ただし、それはうどんという指定商品にのみ限定した保護であるし、以前から知名度の高かった「讃岐うどん」は保護対象にならない。

ということで、商標が登録されても、権利者以外が受ける不利益は小さい。先に使っていた商品名を他人に登録されてしまった場合は、自分の商品に一定の知名度があることを示せば、相手の商標を無効化できる。自分の商品に全く知名度がないなら、今の商品名を使えなくなっても大した損害はない。偶々、同じくらいの時期に同じ商品名を使い始めた場合は、それなりの損害を受ける場合もあるかもしれないが、それはお互い様である。そもそも、事前に商標登録したり、同一名で登録されていないか調べておけば、そのようなトラブルは起きない。

権利間のバランスを取る以上、権利が制限される人が出てくるのは当然である。重要なことは、一部の人の権利が制限されたかどうかではなく、適正なバランスが保たれているかどうかである。もちろん、適正なバランスを逸脱した権利制限などあってはならないが、適正なバランスを保つための権利制限はやむを得ない。

登録した側にしてみれば、苦労した育てたブランドにフリーライドされたらたまったものではない。だから、権利者が他者に登録した商標の使用を認めないのは当たり前のことである。ただし、昨今では、ブランドを立ち上げる前に登録するのが普通だろう。故に、登録時には全くの無名である。しかし、登録で保護するブランドイメージは将来育った時のことを想定しているのだから、登録時には全くの無名であることは、商標保護の正当性を何ら歪めない。

繰り返すが、商標法の保護対象はブランドイメージであって、その名称の由来等ではない。由来等を自由に使う権利とブランドイメージを守る権利のバランスを取るのが商標制度の目的である。よって、由来等を自由に使う権利のみをいくら主張しても、権利同士のバランスを考慮しないのでは、その主張に何の正当性もない。以上の説明で「そんな名前で登録するのはけしからーん!」とする主張の多くが無理解の産物だとわかるだろうか。

吉川醸造の主張

雨降(あふり)のエヌ @N_Jomu

ラーメンチェーン店『AFURI株式会社』より提訴されました。 kikkawa-jozo.com/blogs/news/sos…

2023-08-23 12:13:47
リンク 吉川醸造 | KIKKAWA JOZO AFURI株式会社からの提訴について 昨年8月、ラーメンチェーン店 AFURI株式会社(以下「AFURI社」といいます)から、当社商品である日本酒「雨降(あふり)」に付された商標(以下「当社商標」といいます)がAFURI社の商標権を侵害している旨の文書を受け取りました。 文書の大意としては、”AFURI”と記載した当社商標の使用はAFURI社の著名性にフリーライドしその商標権を侵害するものであり、商品を全て廃棄処分すること等を要求するものでした。 これにつき、双方弁護士を交えた協議を重ねて参りましたが、最終的に不調に終わったことから、AFUR 27 users 64

昨年8月、ラーメンチェーン店 AFURI株式会社(以下「AFURI社」といいます)から、当社商品である日本酒「雨降(あふり)」に付された商標(以下「当社商標」といいます)がAFURI社の商標権を侵害している旨の文書を受け取りました。
文書の大意としては、”AFURI”と記載した当社商標の使用はAFURI社の著名性にフリーライドしその商標権を侵害するものであり、商品を全て廃棄処分すること等を要求するものでした。

相手側の登録商標を侵害しているのであれば「著名性にフリーライドしその商標権を侵害」と表現されるのは当然のこと。
「商品を全て廃棄処分すること等を要求」については前後の文脈が書かれていない。相手の主張を無視して「”AFURI”と記載した当社商標の使用」を強行する前提であれば、廃棄処分を求められるのは当然のこと。別名販売なら廃棄処分を求める権限はないし、通常は、権限のないことまでは求めないはず。

これにつき、双方弁護士を交えた協議を重ねて参りましたが、最終的に不調に終わったことから、AFURI社は、当社商標の使用差止や損害賠償等を求めて東京地方裁判所に提訴しました。

係争事実を公表する理由が場外乱闘しか考えられない。訴訟継続が相手側の企業イメージを損なうように誘導し、訴えを取り下げさせようとする戦術にしか見えない。

当サイトにも記載の通り、「雨降(あふり)」銘柄は、丹沢大山の古名「あめふり(あふり)山」と、酒造の神を祀る近隣の大山阿夫利神社(以下「阿夫利神社」といいます)にちなんで命名したものであり、ラベル「雨降」の文字も阿夫利神社の神職に揮毫していただいたものです。

商標権が保護するのは由来となった山の名前等ではなく、商標権所有者が作り上げたブランドイメージである。「”AFURI”と記載した当社商標の使用はAFURI社の著名性にフリーライドしその商標権を侵害するもの」と書かれている通り、長年、国内のラーメンチェーンおよび海外の日本酒販売で築き上げた「AFURI社の著名性」へのフリーライドを認めないとしているだけである。「AFURI」の由来に対するフリーライドを認めないとは相手方も全く主張していない。

AFURI株式会社社長のFaceBookでも指摘されているように「八海山」とか「高千穂」等の商標もある。ゆえに、山の古名や神社名からつけたと言い張っても、それは「AFURI社の著名性にフリーライド」する言い訳にならない。

また、当社は「雨降」の読み方としてローマ字のAFURIと記載していること、またそもそも「阿夫利」「あふり」は地域・歴史・文化に根差した名称であることから、当社商標の使用はAFURI社の商標権を侵害するものではないと考えております。AFURI社にご理解を求めてきましたが、訴訟に至ったことは誠に残念です。

相手側が「AFURI」で商標登録し、かつ、自社が「AFURI」で商標登録していないなら、「読み方としてローマ字」であることは商標侵害を逃れる言い訳になり得ない。

商標侵害とされているのは「雨降」でも「阿夫利」でも「あふり」でもなく「AFURI」である。
よって、「雨降」「阿夫利」「あふり」の使用の正当性をいくら主張しようとも「AFURI」を使用する正当な理由にはならない。

AFURI社では現在「阿夫利」「AFURI」で構成される商標を、「ラーメン」以外に150種類以上の物品・役務について取得しております。

「ラーメンチェーン店」とだけ書き、相手側の酒類分野における事業展開の実績や予定には一切言及せず、「『ラーメン』以外に150種類以上の物品・役務について取得しております」と書くと、あたかも⁽¹⁾商標ゴロであるかのように見える。しかし、相手側の言い分を聞くとそうではない。この件については「双方弁護士を交えた協議」で聞いているはず。それなのに、あたかも商標ゴロであるかのように印象操作するのは悪質であろう。

(1)商標ゴロ:最初の前提で説明しているのでそちらを読んでもらいたい

伊勢原市の施設にAFURI社に対する商標関連の苦情文が届いたと聞いたこと、また最近では「あふり」に関する名称を持つ事業を営む地元企業の代表からも不安を打ち明けられたことなどから、当社としても一定の情報開示をする責任があるのではないかと考えるに至りました。

当社としては今回の最終判断を司法の場に委ねることとし、今後何らかの形で情報発信していく所存です。

阿夫利神社の皆様をはじめ、地域の方々やお取引先の皆様には大変ご心配をおかけし申し訳ございません。引き続きご支援、ご指導のほど何卒よろしくお願い申し上げます。

「今回の最終判断を司法の場に委ねる」ならば、公表しても司法の判断が覆るわけではないので、係争事実を公表する理由が成立しない。
「地元企業の代表からも不安を打ち明けられた」等は言い訳になってない。
何故なら、協議が不調に終わって判断を司法の場に委ねるなら、全く何も解決しておらず、不安の解消につながらないのだから。
また、地元企業にとって重要なことは、自社商品について、既に他者に商標権が取得されているかどうか、および、自社が商標権を取得できるかどうかであり、吉川醸造の係争内容は全く関係がない。
よって、「地元企業の代表からも不安を打ち明けられた」等は見え透いた言い訳であろう。
訴訟継続が相手側の企業イメージを損なうように誘導し、訴えを取り下げさせようとする戦術にしか見えない。

問題点

大衆を味方につけるために真実と異なる印象操作をするなどの卑怯な真似が目立つ。

  • 相手は商標ゴロである(相手方の言い分では違う)
  • 相手が正当な権利を超える過剰な要求をした(相手方の言い分では違う)

ちゃんと正々堂々と真正面から訴訟で争うべきではないか。たとえば、日本での酒類の商品展開が未だであることを理由に商標権の濫用を主張することも一つの手である。「日本では日本酒のAFURIブランドなんて誰も知らないじゃないか、山の古名や神社名の方がはるかに有名だ」と主張することも可能だろう。それを裁判官が認めるかどうかはともかく、争点としては争う余地があろう。そして、正々堂々と真正面から争うなら係争内容を公表する必要もない。そうした正攻法ではなく、邪道に走るのはいただけない。

司法に委ねてない

係争事実や係争内容を公表した理由が成立していない。後述の印象操作も合わせると、訴訟継続が相手側の企業イメージを損なうように誘導し、訴えを取り下げさせようとする戦術にしか見えない。無理を通して道理を引っ込めさせるために、大衆を味方につけるようとし、そのためなら、どんな卑怯な真似であってもなりふり構わない実行する姿勢は最悪であろう。

印象操作その1

この発表の最大の問題点は真実と違う印象を誘導してる点である。「ラーメンチェーン店」「商標を、『ラーメン』以外に150種類以上の物品・役務について取得しております」は、明らかに、⁽¹⁾商標ゴロであるかのように印象操作するための記述である。酒類分野における事業を展開していないにも関わらず、先に商標権を取得しておき、後から参入した企業に高価な使用料を請求する、といった悪どいことをやっていると思わせようとしている。事実、こちらの自称弁理士は、吉川醸造の主張のみを記載した記事と吉川醸造の主張を見て、相手側が「商品の垣根を超えて」商標権の侵害を主張していると誤認している。

しかし、AFURI株式会社の言い分によると、海外では酒類販売しており、コロナ禍で中断した国内向け販売計画を再開するところだったとのこと。この件については「双方弁護士を交えた協議」で聞いているはず。それなのに、あたかも商標ゴロであるかのように印象操作するのは悪質であろう。

(1)商標ゴロ:最初の前提で説明しているのでそちらを読んでもらいたい

もちろん、相手の主張内容に疑義があるなら、それを説明するのは構わない。それならば、「海外での実績や日本での商品展開予定を説明されたが、その内容が信用できない」と書けば良い。しかし、説明を受けたことに一切触れずに、あたかも商標ゴロであるかのように印象操作するのは卑怯である。

印象操作その2

「商品を全て廃棄処分すること等を要求」は前後の文脈が示されない切り取りである。AFURI株式会社の言い分によると、「『AFURI』の使用を中止するのであれば、在庫の販売は認めていた」とのことであり、無条件での廃棄を要求していたわけではない。商標侵害を強行する場合に限って廃棄を求めたのであり、それは在庫分の「『AFURI』の使用」を認めたと誤解されることを防ぐための表現と解釈できる。

以下の事情に照らすと、相手側が正当な権利を逸脱した要求をしてきたとは考えにくい。

  • 相手がならず者であることを窺わせる事情は何一つない
  • 法的効果を持たない要求が無意味であることは相手方も理解しているはず
  • 何も交換条件が示されていない

よって、法律で認められた権利を超えた過剰な要求ではないことが明らかである。それを、あたかも、相手側が過剰な要求しているかのように偽装するのは何故か。

商標の保護対象

「地域・歴史・文化に根差した名称であることから、当社商標の使用はAFURI社の商標権を侵害するものではない」との言い分が通れば、地域・歴史・文化に所縁のある商標は全て無効化されてしまう。商標に詳しい者から見れば、AFURI株式会社の商標権に抵触しないと主張せんがために、かなり無理な屁理屈を捏ねているように思われる。

ただ、商標の何たるかを知らない人には地名等の他人の褌で相撲をとっているかのように見せかけるのには都合が良い。実際には、AFURI株式会社が作り上げたブランドイメージを保護することを求めているだけなのだが、無知な者はコロッと騙されるだろう。

ラーメン屋(AFURI株式会社)の主張

【公式】AFURI 🍜 @AFURI_fineramen

吉川醸造株式会社への商標権侵害による提訴に関しまして、弊社HPをご確認いただきたくお願い申し上げます。 afuri.com/wp/press/680

2023-08-26 11:13:45

吉川醸造株式会社(以下、「吉川醸造社」といいます。)からのリリースのとおり、今般、当社と吉川醸造社との間で商標権侵害に関する係争が生じていることは事実です。

相手側が公表した以上、それに対して説明する必要が生じるのは当然のことだろう。

当社は、2017年からアメリカで日本酒を提供してまいりましたが、新事業の一環として、日本国内で日本酒事業への進出を図っており、現に国内外数店舗において、下記の「AFURI」ブランドの日本酒の提供を開始しています。

当社は、この日本酒事業の進出のために、2020年に日本酒に関する「AFURI」の商標登録(登録番号第6245408号)を取得致しました。新事業への進出に際して、その分野であらかじめ商標登録を取得する行為は、必要なことです。

しかしながら、期せずして新型コロナ感染拡大により、新事業である日本酒事業への進出を一時的に中止せざるを得ない状況に追い込まれてしまいました。コロナ禍の状況がやわらぎ、新事業である日本酒事業を再開しようとした矢先に、酒蔵を保有している吉川醸造社が、大手不動産会社であるシマダグループ株式会社によって買収され、酒蔵の再生ビジネスとして、吉川醸造社が、日本酒に「AFURI」を使用して販売している事実が発覚しました。

これが本当なら、AFURI株式会社の商標登録は正当なものである。決して、商標ゴロとは言えない。

尚、「大手不動産会社」「買収」「再生ビジネス」云々の記述を叩く者がいるが、これは全くの見当違いである。「買収」や「再生ビジネス」を悪く言う者がいることは事実であるが、ここではそのようなネガティブな意味でそれら言葉が使われているわけではない。むしろ、AFURI株式会社社長のFaceBookによれば「後継者問題など、様々な課題のある日本酒業界への他業種からの参入と言う事だし、地元の発展に取っても、とても意義深いものであると個人的には思う」とリスペクトされている。あくまで商標(無断)使用に至るまでの経緯が丁寧に説明されているだけである。

吉川醸造社は、「雨降山」を意味する「雨降」を商標登録しておりますが、「雨降」だけでなく、当社が日本酒に関しても登録している「AFURI」を使用していたのです。吉川醸造社が当社の商標権を侵害していることは、下記の写真を見れば明白です。

これが本当のことであれば、吉川醸造による「AFURI」の使用が商標権侵害であり、AFURI株式会社の抗議は正当なものである。

新事業として日本酒事業を再開しようとしていた当社は、このような状況を見過ごすことはできず、当社と吉川醸造社との間で数回に渡って話し合いの機会を持ち、再三に渡って日本酒への「AFURI」の使用の中止を真摯にお願いしてまいりました。今後「AFURI」の使用を中止するのであれば、在庫の販売は認めていたのであり、吉川醸造社に商品の廃棄を求めていたわけではありません。

これが本当のことであれば、吉川醸造が言う「商品を全て廃棄処分すること等を要求」は「”AFURI”と記載した当社商標の使用」を強行する場合に限定していたことになる。
それを、あたかも商品名の変更に限らずに「商品を全て廃棄処分すること等を要求」していたかのような印象操作をしたのであれば、吉川醸造の行為は極めて悪質であろう。

しかし、吉川醸造社には当社側のお願い、申し入れが聞き入れられず、やむなく最終的な判断を司法の場に求めることになりました。

以上の経緯が本当のことであれば訴訟はやむを得ないことだろう。

当社は、本業であるラーメン事業のみならず、他にもいくつかの事業を計画しており、その過程で必要に応じて商標登録を取得し維持を図っております。当社が「AFURI」に関する商標登録を取得する背景はこのようなものであり、当社のビジネスに必要のないものまで登録するものではございません。当社といたしましては、司法の公正な判断に委ねたいと存じます。日頃より「AFURI」をご愛顧頂いておりますお客様におかれましては、ご心配をお掛けしておりますが、くれぐれもご安心頂ければ幸いです。

「当社のビジネスに必要のないものまで登録するものではございません」が本当のことであれば、決して、商標ゴロではなかろう。

社長発言

AFURI株式会社社長のFaceBookの発言について問題視する者もいるので、その部分についても解説しておく。

そんな中、不動産業を大きくやられているシマダグループさんという企業が、コロナ禍に、伊勢原市の吉川醸造さんという酒蔵を買収し、リブランディングして「雨降AFURI」という日本酒を販売し始めたんですね。それはそれで、後継者問題など、様々な課題のある日本酒業界への他業種からの参入と言う事だし、地元の発展に取っても、とても意義深いものであると個人的には思うのですが。

「不動産業」「買収」等をネガティブに捉えて社長発言を叩く者がいる。しかし、「後継者問題など、様々な課題のある日本酒業界への他業種からの参入と言う事だし、地元の発展に取っても、とても意義深いものであると個人的には思う」と明記されているように、社長自身はネガティブな意味でこれらの言い回しを使っていない。あくまで、本係争の発端となる「雨降」ブランドが生まれた経緯を丁寧に説明しているに過ぎない。

例えば、「雨降」と書いて、「UKOU」と読ませるのはいかがですかと。そうすれば、阿夫利山は、元々は「雨降り山」から転じていると我々と同じルーツである事を伝えられるし、海外のAFURIの店舗でも吉川醸造さんの日本酒を同じ水源の仕込み水を使っている同郷の日本酒として全面的に推せますし。共にタッグを組んで世界に打って出ましょう!などなど、様々な提案をしましたが、結局受け入れては頂けず平行線で終わってしまって。

本来、権利者は商標の使用を認めるかどうかだけを伝えれば良い。商標の使用を認められない場合にどうすべきかは、認められなかった側が考えるべきことである。それなのに、AFURI社長は、吉川醸造のために代替案まで提示してあげている。このような親切を叩く連中はどうかしている。

「商標ゴロ」偽装の指摘

まつ|BizDev|メガベンチャーでマーケティング支援事業 @matsu_bizdev

ラーメンのAFURIが商標で酒造会社を提訴。AFURIが150以上の役務で商標を取得と知り、商標ゴロのイメージを持った。他方、AFURI社長によると「すでに酒造プロジェクトを動かしていた」と。そうなると話は違う。両方の話を聞いてから判断しないとね。 twitter.com/Jn_Matsumoto/s… pic.twitter.com/EQ5j6y9oY9

2023-08-25 13:17:49
松本淳|アースメディア代表|HRギルド主宰 @Jn_Matsumoto

ラーメンのAFURIが商標で酒造会社を訴えた件、SNSでは今のところAFURI側を非難する声が多数。酒造会社の声明文がとてもうまいですね。 『著名性にフリーライドし』『商品を全て廃棄処分すること等を要求』など、人の心をざわつかせる言葉選びがなされています。 原告側の姿勢がいかに「ひどい」ものかというイメージを、読む人の心情に強く訴えかけることに成功していると感じました。 文章全体としても、シンプルにうまくまとまっています。冷静でフェアに見えるバランス感もよく、メディア・SNS戦略に長けている人がいる(もしくは付いている)のでしょう。 AFURI側の公式発表が待たれますが、どのように出すかが極めて重要ですね。提訴の最終結果よりも、初手の対応がユーザーの印象を決定づけたりするものです。 すでに「もう一生AFURIのラーメン食べません」などの不買運動も始まっているようです。次の展開、どうなるかに注目しています。 https://t.co/7uaHZygPFf

2023-08-25 07:59:19
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no one cat🍥 @noonecat2

ラーメンのアフリっての知らない人間としては、え?地名のローマ字表記? 商標ゴロ? ってなっちゃうけど、よく見ると酒の開発として商標取ってるんならそら訴えるよなって話 問題は、ラーメン屋側の代表が、代表とは思えない文章で個人のFBで反論しているところ コーポレート対応がいかに重要かわかる twitter.com/jn_matsumoto/s…

2023-08-25 14:27:02

AFURI商標の存在を事前に認識していた?

PinoPellio @PinoPellio

@AFURI_fineramen 許可もらってるらしい。一緒に盛り上げましょう!らしい。 pic.twitter.com/UxMXk2BVZI

2023-08-26 13:53:30
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節操のないツイート1号 @WideRangeThink

@PinoPellio @AFURI_fineramen この画像が本物なら吉川醸造が相手の商標について認識しながら商標侵害をしたって証拠になるんだけど?

2023-08-27 19:13:29
Bi Bi @otoroshi

@WideRangeThink @PinoPellio @AFURI_fineramen 「雨降というお酒を作りたいのですがいいですか」という電話が阿夫利神社の紹介で吉川醸造からAFURI社長宛に入っていたことは事実のようですよ。歴史的古地名で阿夫利神社あやかり商品も地元では多くあり、神社公式の地域振興商品として出すのであれば呼び名の被りはOKだろうくらいの感覚だったのでは

2023-08-27 19:45:23
節操のないツイート1号 @WideRangeThink

@otoroshi @PinoPellio @AFURI_fineramen だから、それは、吉川醸造に不利な証拠にしかならん。 AFURIで酒類の商標登録されてることを知りながら、 「雨降というお酒を作りたい」としか言わず、 AFURIの表記を用いる許可を得てないならアウトですよ

2023-08-27 20:17:57

発信に関する指摘

松本淳|アースメディア代表|HRギルド主宰 @Jn_Matsumoto

ラーメンのAFURIが商標で酒造会社を訴えた件、SNSでは今のところAFURI側を非難する声が多数。酒造会社の声明文がとてもうまいですね。 『著名性にフリーライドし』『商品を全て廃棄処分すること等を要求』など、人の心をざわつかせる言葉選びがなされています。… twitter.com/i/web/status/1…

2023-08-25 07:59:19
松本淳|アースメディア代表|HRギルド主宰 @Jn_Matsumoto

AFURIの商標でラーメン屋さんと酒造会社さんが揉めてる件ですが、ラーメン屋さんの社長がFacebookで反論出しましたね。 これちょっとまずいなと思っていて、Facebookなので「知り合いへ自分の訴えを述べている」ノリになってます。まあ、普段の投稿の延長という感じなのでしょう。… twitter.com/i/web/status/1…

2023-08-25 18:32:28