【翻訳】パワーポイント開発者デニス・オースティン、逝去「米軍を世界最強の軍隊に変えた真の功労者」

パワーポイントの生みの親、無自覚な軍事的殺傷力のパイオニア、逝去

デニス・ロバート・オースティン氏が9月1日、カリフォルニア州ロスアルトスの自宅で永眠したと家族がその訃報を発表しました。享年76歳でした。

1987年にデビューしたソフトウェア『パワーポイント』の主要な開発者であるオースティン氏は、オーバーヘッドプロジェクターの退屈さに終止符を打ち、同時にプレゼンテーションの質を向上させるプラットフォームを提供することを志していました。

ピッツバーグ出身の彼の計画は確かに成功しました。
しかし、このソフトウェアはすぐに職場環境において、従業員と上司、生徒と教師、そしておそらく最も顕著なのは下級軍人と将校を衝突させる、痛ましい役割を果たすこととなりました。

情熱的な円卓会議はなくなり、その代わりに箇条書き、円グラフ、棒グラフ、ヒストグラムなどが導入され、それぞれが "synergy（相乗効果）" や "readiness（即応性）" などの使い古された概念と共に、サイドテーブルと同じくらいの迫力がある、つまらない上司によって解説されます。

謎めいたグラフィックスで強調され、少なくとも232,000回もの「behooves（べき）」や「daggons（ああ、くそ）」といった発言がナレーターから繰り出される強制的な訓練は、何十年にもわたり、部隊の士気に大きな打撃を与えてきました。
実際、このソフトウェアは一部の軍の間で非常に嫌われており、退役軍人であるジム・マティス大将は2010年の会議で、真摯なマティスらしい率直さで「私たちをバカにしてる」と宣言しました。

もちろんオースティンは自身知るよしもありませんでした。自身の作った物が、頭が爆発しそうなほど頭字語を愛する人々、国防総省の象牙の塔に住むグラフィックスマニアたちの手に渡ると、泥に落とされ、まさに滅亡の溶岩に引きずり込まれる運命になるとは。

しかし希望の光もあります。
つまり世界最高の戦闘力を維持するための一つの方法は、部隊を常に怒りに満ちた状態に保てばよいのです。
そして駐車場の保守に関する3時間のパワーポイントプレゼンテーションや、「統合国防調達、技術、および物流ライフサイクル管理システム」などを用い、高血圧に迅速に導くことができるものが他にあるでしょうか。

不屈の敵ですら撃破する怒りを創り出す。
オースティンはおそらく無意識に、アメリカがかつて知りえた中で最大の軍事的殺傷力の支援者になってしまったのかもしれません。
私たちは敬意を表します。

R. i. PowerPoint. さて、次のスライドを開こうか。

※Rest in Power　R.i.P「安らかに眠れ」の逆バージョン「権力によって眠らされる」的なニュアンスのアレ、そのパロディで「パワーポイントによって眠れ」