小説やマンガや映画もファクターの掛け算という面はあって、伊丹映画が上手かったのは、『〇〇の女』というタイトルからわかるように、脱税とかラーメンとかいったそれだけではそんなに人を惹きつけないテーマに女というファクターを掛け算することで面白い映画に仕立て上げていたわけだ。
2023-09-22 17:05:43三題噺という言葉があるくらいで、もはや定着した感のある異世界転生ものとかもファクターの掛け算で作る話と言えるところがある。日本人はそういうのが好きなのかもしれん。
2023-09-22 17:11:49伊丹十三は「今度は『エンコーの女』でも作ろうかな」なんて話してもいたそうだが、それは冗談ではなく半分本気だったと思う。社会問題的なテーマに女というファクターを掛け算して面白い映画を作るというのが伊丹映画の定番だったから。
2023-09-22 17:16:19『タンポポ』という伊丹映画があるが、あれは女性が起業する物語とも解釈できる。ラーメン屋を1軒作るのだって立派な起業なのだから。その観点でもう一度観てみたら再発見があるかもしれない。
2023-09-22 17:20:00予告編を見るとわかるが、ウエスタンというファクターも掛け算されていることがわかる。ラーメン×女×ウエスタンでまさしく三題噺だ。最後のほうに「これは五目うま煮映画だ」というテロップが流れるが、これこそまさに伊丹映画の作り方の答えをずばり書いていたのではないか。youtu.be/a4IEz0ZA7L4
2023-09-22 18:10:04映画『タンポポ』は正確には起業ではなく経営改善の物語だな。駄目なラーメン屋を経営する未亡人に男たちがあれこれ世話を焼き面倒をみて経営改善するという。ま、経営改善とはいってもラーメンの味をよくすることがほぼほぼだが。
2023-09-23 21:36:20で、ふと気づいたのは『スーパーの女』も同じく経営改善の物語だなと。ただ、異なるのは駄目なスーパーを経営する駄目な男に宮本信子演じる主人公が世話を焼く形で経営を改善させていくというもの。『タンポポ』とは男女の果たす役割が逆になっている。
2023-09-23 21:39:08スーパーの女は宮本信子を駄目スーパーの店長にすることもできたろうが、それだと『タンポポ』と同じ話だと観客が気づいちゃうから津川雅彦にしたんだろうな多分。そして、女が男に世話を焼くには、小学校の同級生という設定が必要になったと。
2023-10-17 20:30:54考えてみると伊丹映画というのは経営改善を始めとする改革をテーマにした物語なのかもしれない。そして、〇〇の女というタイトルが示唆的だが、女性には改革を為す力があるというメッセージも含まれているのではないだろうか。
2023-09-23 21:44:02むさくるしい男が店主のまずいラーメン屋があったとして、誰も世話を焼こうとは思わないだろう。「まじーラーメンだな潰れろ」で終わりだろう。ところが、店主が女性なら世話を焼こうとする男たちが出てくる。
2023-09-23 21:47:55『タンポポ』においてひとつ感じるのは世話を焼いてもらえるがゆえの経営における女性の優位性かもなと。そしてそれはそのまま女性の改革者としての能力でもあり、伊丹映画のひとつのメッセージ性だったのかもなと。
2023-09-23 21:50:32伊丹映画を何種類かにカテゴライズしたら、『タンポポ』と『ミンボーの女』と『スーパーの女』は同じカテゴリーに入ると思う。経営改善がテーマというか。
2023-10-17 20:33:43伊丹十三は「日本人論をやってるつもりなんです」と述べている。これは、その後に述べている女性論とも繋がる重要な発言だと思う。つまり、伊丹十三は変革という観点から日本人にライトを当ててみたのではないか。そこで浮かび上がる男の弱さと女の強さみたいな。youtu.be/yaOcM3gHMl8?t=…
2023-10-17 21:17:04変革というのはビジネスや政治の用語で言えば構造改革だろう。これについて日本の男がめっぽう弱いが女はそうでもないというか。近接した話だと、三島由紀夫は「日本に内発的革命が起きなかったから天皇制が存在しているのか?天皇制が存在するから内発的革命が起きなかったのか?」と発言している。
2023-10-17 21:19:56伊丹十三はよく考えればジャーナリストでもあったのだろう。ジャーナリズムの世界でも、取り上げるべきテーマがあったとして、いかに美味しく味付けして提供するかが大事というのは昔から言われてきたこと。
2023-10-17 22:28:23ツイッターで可視化されたと思うが、既存メディアでは報道しきれなかった無数の社会問題がこの世に存在している。それら無数の社会問題をファクターの掛け算なりでうまいこと映像作品として美味しく仕上げることができれば誰もが伊丹十三になれる可能性がある。伊丹もそれを望んでいるのではないか。
2023-10-17 22:45:16