#百 前編

陰斗景 @kimyou1818

#百 ただでさえ瀕死の男。 非力な私でも容易いはず。 私はロープを持ってあの男の病室に入りました。 部屋には、寝ている男と、 女がひとり。 あぁ夢に出てくるのは、この女だと思いました。

陰斗景 @kimyou1818

#百 女は泥に塗れていました。 目があうと、小首を傾げて微笑んで、 「ソレも良いね」 とだけ言うと、音もなく近づいてきて、私の手からロープを掠め取りました。 その間、私は足の感覚がなくなっていくのを感じていて。 すでに、私の身体は手遅れになっていたんでしょうね。

陰斗景 @kimyou1818

#百 寝ている男の上に跨った泥だらけの女は、手にしたロープを男の首に巻きつけました。 たぶん、両端をゆっくりと引っ張っているんでしょう。男のうめき声が聞こえたから。 私はというと、 もう、身体が溶けていく感覚というか。 ベッドの下しか見えないし、 身体も熱いし、 まるで泥みたいに

陰斗景 @kimyou1818

#百 あの患者さんは、身体がねじれるように亡くなっていました。 ほら、縄が互いに編みこまれてるみたいに。 ベッドの側では、ロープを持った同僚の子が。 あの子は、呪いの連鎖を止める為に、犠牲になったんだと思います。

陰斗景 @kimyou1818

#百 なんであいついなくなったからおわるんじゃないの？なんでわたしのところにおんながくるのなんでなんで