【マリアリ】エイプリルフール

ハチ🐾 @hachisu716

今日がエイプリルフールだということを忘れて「好きだ。結婚しよう」と本気でプロポーズした魔理沙と、同じくエイプリルフールとは気づかずに本気でＯＫの返事したアリスと、 魔理沙に結婚しようって言われたからＯＫしたってアリスから聞かされて、ふーんってエイプリルフールだから流したレイサナ

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そのあと、アリスが嘘をつかない妖怪だって思い出すふたり。 「えっいや待って、結婚しようって言われたの？　今日？」 「そう」 「今日……ってちなみになんの日か知って、る？」 「？　いいえ？」 ここでひえ……ってなって見合わせるレイサナ。

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早苗「ねえこれ私たち、今、おっきな地雷踏み抜いてます？」 霊夢「いやあ、さすがにあいつも、こんなひどい嘘はつかない……と……思うけど……」 早「ワンチャン、なんか別の話題振りたくて行き違ってるとか……？　ねえ、ねえ、この話掘り下げるの、めっちゃ怖いんですけど」 コソコソするレイサナ

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説明不足かもしれない。 レイサナは、アリスが「プロポーズされたから結婚する」と嘘をついたと思った。 ↓ でもアリスは嘘をつかない妖怪なのでこれは嘘ではないと気づいた。 ↓ 魔理沙は嘘をつくので、今日プロポーズしたのが本当な以上、魔理沙がアリスに嘘のプロポーズをした可能性に気づいた。

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魔理沙が「結婚しよう」って嘘ついて、今日がエイプリルフールだと知らないアリスが真に受けちゃってるんだとしたら、これめちゃくちゃやばくない……？ とレイサナは思っている。

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で、ここはとりあえず触れずにやり過ごして魔理沙に聞くか……って思ってるところに、咲夜登場。 結婚することになった、とアリスに言われる（律儀だから友人に会えば報告するつもりでいる）。 咲夜「？　でも今日エイプリルフールだからそれ嘘なんじゃないの？」

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い、十六夜ーーーーっ！！！！！？ 人の心を知らない！！！！！ って顔で固まるレイサナ。 きょとんとするアリス。 まばたきした後、なんとなく上を見上げて、 アリス「ああ、そうか。今日はそういう日ね」 あいまいに社交的な笑顔を浮かべたままダラダラと冷や汗がとまらないレイサナ。

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それでなんだか色々納得いったようで、レイサナに向かって微笑む。 アリス「大丈夫よ。嘘じゃないから」 早苗「え、でも、ほんとに……？　えーいや、ふたりの気持ちを疑うわけじゃなくて、なんていうか、例年だとこういうのって魔理沙さんが一番はりきるイベントというか」

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おろおろしている早苗。 ごめん、と変な態度を詫びて、頭をかく霊夢。 霊夢「まああいつって、そういうシャレになんない嘘はつかないと思うんだけど。なにしろタイミングがタイミングだったから」 ねえ、と霊夢と顔を見合わせる早苗。 くすりと笑うアリス。

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椅子に腰掛けた膝の上で、そっと自分の手を重ねるアリス。 アリス「……まだ、何も知らない他人だから。魔理沙の全部の言葉を嘘か本当か見抜けるわけじゃないけど」 そう言って、重ねた自分の手を撫でる。 アリ「でも、これが嘘じゃないってときは、なんとなく顔で分かるから」

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重ねた手をそっとどけると、薬指の指輪が現れる。覗き込んで、あっと声をあげるレイサナ。立ったまま長身を傾けてひょいと覗き見る咲夜。 アリ「でも、あの子も抜けてるわよねえ。今日が何の日か忘れてたんじゃないかしら。まあ、わたしも知らなかったんだけれどね」 カラカラとおかしそうに笑うアリス

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アリ「ああおかしい。お互いとぼけてて、こんな日に真面目な顔して真剣に婚約するなんて。でたらめで混沌としたものは魔女が好むところだけれど、それを意識してないのはあんまりね」 口唇に指の関節をあてて、零れるように笑うアリス。 珍しく声を出して笑うアリスに呆気にとられてるレイサナ。

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咲夜がそっと進み出て、アリスの後ろにつく。椅子の背に指をかけて、少し身を乗り出す。 咲夜「結婚おめでとう、アリス」 表情がないときは雪のように冷たい能面に、今はわずかな微笑みを載せながら咲夜が言う。 笑っていたアリスが上を見て、咲夜と視線を合わせる。咲夜の指に手を重ねる。

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アリ「ありがとう、咲夜」 その様子を見たレイサナも、ようやくほっと肩をおろし、友人として言うべきことを言った。 「おめでとう」 さて、そのあと遊びに来た魔理沙に、なんで今日言ったの、と聞く霊夢。 なんのことか分からず、は？　という顔をしていた魔理沙の表情が、一瞬後で消える。

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どっと冷や汗を流す魔理沙。 魔理沙「あああああああああ……」 霊「まじで忘れてたの。莫迦……」 魔理「正しいからなにも言えない……莫迦だから……」

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魔理「えっ、あいや、アリスは、っあれ……？」 冗談でプロポーズをしたとアリスに思われたのではと動揺し始める魔理沙に、霊夢がため息をつく。 霊夢「アリスが嘘をつかないって知ってるでしょ。あんたが嘘をついたところで、あの子が『はい』と言えば『はい』。落ち着きなさい」

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まだやや青ざめた顔で、ぱちぱちとまばたきをしながら霊夢を見る魔理沙。 霊「……あっちも気がついてなかったみたいよ。四月莫迦の日だって」 それを聞いて、体中の力が抜けたようにほおーっと息を漏らして、たまたま手をかけていた障子に体をあずける魔理沙。 魔理「はあ……」 霊「莫迦」

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魔理「……莫迦です……」 珍しく素直にしょげてる魔理沙をくさす気も失せて、はあ、と一緒に浅いため息をつく霊夢。 霊「一緒になって気づいてなかったみたいねって笑ってたわ。あんたのこと疑ってなかった。お熱いわね」

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魔理「……うん、まあ緊張で、めちゃめちゃかっこわるかったからな……指震えて、なかなか指輪通らなかったし……指輪落としかけるし……どもるし言葉噛むし、とちったせいでもっと声震えるし……」 思い出したのかじわじわ耳まで赤くなって障子に腕をついて顔を埋めてもたれる魔理沙。

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霊「まあそれが全部嘘だったら、迫真の演技だわね」 どうやら思った以上にかっこがつかなかったようで、カラカラと笑う霊夢。 霊「でも嬉しそうに報告してたわよ。あんまり自分のこと話さないのにね」 魔理「……良かった……アリスにフォローもサンキュ……」

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霊「いやー迷ったわよほんと、早苗とふたりでアリスからそれ聞かされたとき、聞いていいもんかどうか。そしたらたまたま来た咲夜がさっくり聞くもんだから、うまく話が転がったんだけど。ヒヤヒヤもんだったわ」

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おばちゃんのように手を振って、せんべい食べながらカカっと笑う霊夢。 霊「ばーかばーか」 魔理「はい莫迦です……」 犬だったら耳がぺたんこになるくらいしおれている魔理沙に、霊夢がまたケラケラ笑う。

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魔理「……なんにも考えてなかったんだ。言うって決めて、いつ言うかってそわそわして。色々準備して……とにかく今日！って決めて……ほか、なんも考えてなかった……ぜんぶ吹っ飛んでて」 腕からほんの少しずらした顔を覗かせて、ぽつぽつと告げる魔理沙。

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魔理「あああー……よりにもよって今日……お互い気づいてないからよかったけど。なんて日にしてんだ……」 霊「なんか、あんた、いつもびっくりするくらい悪賢いのに、そういうとこ抜けてるのよねえ」 魔理「うううー……」 仔犬のように唸る魔理沙を、おせんべをパキンと割りながら見やる霊夢。

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霊「いいんじゃないの。ぜんぶが嘘の日に告白して、本人たちは大真面目でお互い真剣にやりとりしてるの、なんかトボけててあんた達らしいし。似たもの夫婦ってところね。これからは。それに」 言葉を切って、ゆっくりお茶を飲む霊夢。