しろちち氏による、「庭園」についての考察

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しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

城と各国歴史、提督業等を嗜むお兄さん。TLとサークル「異端審問官城」にてビザンツ&金沢城研究・ナウシカ考察を展開中。 BOOTH⇒shirochichi.booth.pm メロブ⇒melonbooks.co.jp/circle/index.p…

しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

漫画版 #ナウシカ に曰く「精神の偉大さは苦悩の深さで決まる」という。では、娑婆の苦悩から一切解放され、庭園の「客人」となった者は、精神的に死者に等しくなるのではないか? pic.twitter.com/iGorhvAlvw

2023-11-02 21:16:53
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しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

以前に何度か考察したように、「庭園」は「人間の遺産として認められるもの」だけを保管し、その保管対象には当の人間が含まれない一種のタイムカプセル、人類の「墓標」としての性格があります。であればその住民が「死人」となるのも然程おかしくはないかもしれません。 twitter.com/shirochichi070…

2023-11-02 21:21:09
しろちち@C102日曜東ヒ14b @shirochichi0707

(墓所と異なり)外部に依存すること無く半永久的に自立して人類の遺産「だけ」を伝えていく…その性質は人類の墓碑、真の「墓所」とすら言えます。或いは、ノア一家が乗らなかった「方舟」だけが永遠の洪水の中に浮かんでいると言えるかもしれません。世界再建を諦めた神(旧人類)が遺した世界の欠片… pic.twitter.com/AWIUHAzHy2

2023-10-28 23:09:03
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

(墓所と異なり)外部に依存すること無く半永久的に自立して人類の遺産「だけ」を伝えていく…その性質は人類の墓碑、真の「墓所」とすら言えます。或いは、ノア一家が乗らなかった「方舟」だけが永遠の洪水の中に浮かんでいると言えるかもしれません。世界再建を諦めた神(旧人類)が遺した世界の欠片… pic.twitter.com/AWIUHAzHy2

2023-10-28 23:09:03
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が、ここで想起されるのは、シュワの場所で「墓所の主」が語った「理想郷」です。いわく、浄化後は人類は穏やかな種族として世界の一部を形成し、知性も技術も役目を終えて音楽と詩が最も大切なものとなる、と。そう、これは「庭園」の世界そのものです。これは何を意味するのか? pic.twitter.com/3sKY9vovrC

2023-11-02 21:25:41
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しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

まず「音楽と詩」というチョイスです。一見して分かる人文主義教養的色彩の中でも音楽と詩の二つが特に選ばれるのは何故か?それはやはり「地球環境の破滅を齎した巨大産業文明」へのアンチテーゼでしょう。「技術は役目を終える」という墓所の主の台詞からもそれは明らかです。

2023-11-02 21:30:12
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

そしてその「醜い歴史」を遺す気も無い。だから恐らく「庭園」の書庫には巨大産業文明に直結する理系技術書は勿論、「歴史」をはじめ社会科学分野の本も無く、社会風刺やノンフィクションに近い「文学」も無いのではないか(そういった「危険性」を検閲除去した純文学?ならあるかもですが…)。

2023-11-02 21:34:15
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

もっと言えば、「墓所」や「庭園」の建造者が否定した、人間の「醜さ」に繋がりうる…と見なされる一切が保管対象外でしょう。たぶん私の蔵書(大量のウス=異本を含む)は全滅ですね(笑)。閑話休題。そうした「箱庭の理想郷」に「普通の人間」は耐えられるものでしょうか?

2023-11-02 21:38:18
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

より正確に言えば、「墓所」や「庭園」の設計者という「他者」がかくあれかしと期待した理想純度100%の世界に、普通の人間が何の疑問も抱かず適合できるでしょうか?結論から言えば、「そんなものは人間とは言えん」(byヴ王)。 pic.twitter.com/1KURuySDdN

2023-11-02 21:46:53
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しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

即ち、設計者の理想/願望で完結した「閉じた世界」に他者が入ることそのものが不可能であり、人間とは言えないもの≒精神的死者にならざるを得ないものであると考えられます。だからこそ技術だけでなく「知性」も役割を終える。何も苦悩せず箱庭の世界で食料を自給し、与えられた音楽と詩を享受する…

2023-11-02 21:50:56
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

ですがソレで何か「新しいもの」が生まれることはないでしょう。苦悩=考え創造するチカラが存在しないのですから。その意味で牧人が「庭園」に来た人々を「客」と評したのは極めて示唆的です。そう、彼らは「庭園」の客人であり主人ではない。 pic.twitter.com/Q5XJHYprjT

2023-11-02 21:56:47
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しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

この「庭園」―或いは「墓所」が想定する浄化世界―の真の「主人」とはこの箱庭の設計者、今はもう存在しない千年前の亡霊達であり、牧人や墓所の主はその遺志を継いで実行する後継者、或いは影法師に他ならない。だがそれは何と歪なことなのか。

2023-11-02 22:00:34
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

結局、この歪さを解消するには「旧人類のように凶暴でない、穏やかで賢い」新人類を創造するか、新人類同様に精神改造するしかなかったわけです。これも、「かくあって欲しい理想社会」「後世に遺したい精華」だけが先行し、「目の前の現実(の人間)」に背を向けた必然的結末だったのかもしれません。

2023-11-02 22:04:14
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

今回の考察はこんなところで。今回辺りまでの考察を冬コミ新刊にまとめてみたいと思います。来週の当落発表、どうか受かりますように…!

2023-11-02 22:06:32
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

以下宣伝。総集編Ⅰ~Ⅴは電子版をBOOTHにて頒布中ですので併せて是非ご覧ください。 Ⅰ:人物及び世界観(墓所)考察 Ⅱ:トルメキア戦役考 Ⅲ:連載版/単行本版比較 Ⅳ:日常生活編 Ⅴ:腐海考察編 shirochichi.booth.pm

2023-11-02 22:07:45