小沢健二『刹那』全曲レビュー

2011年12月9日に、購入後何年も経って今更に、突如アルバム『刹那』に撃たれた者による突発的で勢いに満ちた全曲レビュー。
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おかざきよしとも @YstmOkzk

7.夜と日時計:前曲の激アマな世界から急転、この曲で急に素に戻ったかのようになるのは少し笑えます。このアルバム中唯一の『犬キャラ』(本人が嫌がってる略称(笑))期の曲で、『犬キャラ』の時折痛々しささえ感じさせるひたむきさがこの曲からも感じられます。言葉数も急に少ない!真摯感ある。

2011-12-09 22:54:03
おかざきよしとも @YstmOkzk

殆どアコギのみで構築された伴奏はしかし、本作中のこれまでの曲とはまた違った甘みがあることも事実です。指をスライドする音、絶妙な部屋チックリバーブ感が、「素顔の小沢くん」が(失礼!)甘い!この曲でライラックという単語を知ったのは私です(その後冬に咲く5cmくらいの小さな花と誤認)。

2011-12-09 22:58:29
おかざきよしとも @YstmOkzk

8.いちょう並木のセレナーデ:本作にもうひとつだけ、「裏の」山場の存在が許されるとするならば、この『LIFE』収録曲のライブテイクがそれに当たるのでしょう。楽曲の素晴らしさは今更言うこと無い、陶酔的な叙情性と心地良い冗長性に満ちた、切なくも美しい名曲。しかしセレナーデって何です?

2011-12-09 23:02:32
おかざきよしとも @YstmOkzk

この曲がアルバム中の裏の山場であると言える理由は、この曲がライブテイクであるためです。つまり「喜びを他の誰かと分かりあう!」当時の小沢の信念をまさにコンサート上で「実践」しているところにあります。他のどの渋谷系アーティストが手拍子の中で歌うでしょうか!?(歌ってたらすいません)

2011-12-09 23:05:23
おかざきよしとも @YstmOkzk

お客のユルい手拍子をリズムにして、間奏の口笛では歓声が飛んじゃう、この甘ったるさも切なさも美しさもお客様と「分かりあ」おうとする姿勢、これこそまさにこの時期の小沢の特異性そのもの、紅白にも出ちゃう小沢健二だからできる、彼独特の幸福な瞬間、「光る海」すなわち「刹那」なのです。

2011-12-09 23:07:59
おかざきよしとも @YstmOkzk

9.流星ビバップ(インスト):これを書く理由だった綺麗なオチがついたところで、そのまさに小沢の「奇跡」の断片が終わった後に残った本作の結末、それがこの「小沢健二不在」のインストというのがまさに、小沢本人によるこの時期の自分に対する「批評」なのだと、それっぽく言ってみたりもします。

2011-12-09 23:11:19
おかざきよしとも @YstmOkzk

正直ここにインストを持ってくるのはずるいです。意味が過剰すぎます!一体どういうことですかどういう意志なんですか!販売当時これを聴き終わった自分は大変当惑しました。あまりに切なすぎる!所々入る「ヘイ!ヘイ!」が悲しすぎる!あのパンパンになった言葉達は一体、どこへ行ってしまったのか?

2011-12-09 23:13:56
おかざきよしとも @YstmOkzk

…しかし、というかそして、我々は今すでに、小沢健二が「ひふみよ」なる意味深長かつ多少の胡散臭さも感じる(笑)コンサートを行った(そしてあの感動的な岡崎京子との再開を果たした)未来に生きております。当時の小沢自身を徹底的に意味を込めて封じ込めた『刹那』が、今日どのように在るのか。

2011-12-09 23:16:35
おかざきよしとも @YstmOkzk

それは、本人がこれからまた明かすことかもしれませんし、又は我々が勝手に、熱にうなされたり「光る海」を見たくなったり「今のこの気持ちほんとだよね」と思ったりした時に、突如「降りてくる」ように勘違いしたりするものなのかもしれません。おわり。

2011-12-09 23:18:32