掌小説語り~自作つぃのべる集~99

自作つぃのべるのまとめです。 2021年7月分。
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リュカ @ryuka511

彼女は花嫁衣装を真っ赤な血に染め倒れていた。背中から心臓を一突き、自殺ではあり得ない。だが、式前の花嫁控室を訪ねるような者はいない。一体誰が、なぜ彼女を。いや、私のせいか。私が解決した数々の事件で、癒えない傷を負った者達の顔がちらつく。探偵は、幸せになってはいけないのか #twnovel

2021-07-01 00:18:06
リュカ @ryuka511

大抵の客は私達を乱暴に扱うのに彼は紳士的だった。欲しかった愛まで囁いてくれるものだから皆彼の虜になった。けど彼は娼館を営む犯罪組織を壊滅させる為、私達を利用しただけだった。最低限の衣食住は得られた闇の世界から、何も無い光の下へ放り出し姿を消した彼を、恨んでいいか解らない #twnovel

2021-07-02 00:31:49
リュカ @ryuka511

花火に照らされながら歩く、祭の夜の帰り道。終電を気にする君に一言、「俺ん家来れば?」と言えば良かったのかだろうか。「じゃあ駅まで送るよ」と紳士ぶったのは間違いだったのか。駅が見えてくる。最後のチャンス。「良かったら、俺ん家に……」花火に返事はかき消され、君は改札口へ消えた #twnovel

2021-07-03 00:37:11
リュカ @ryuka511

人々に愛を解く天使が、なぜ他者を愛してはならないのか、長い間考えていた。天使が解く愛は神の愛。無限で平等な愛だ。対して特定の者への愛は、有限で不平等な罪深いもの。神の遣いが抱いてはならない。だが私はある者を深く愛した。この愛を罪だと思わない私は、天使にはもうもどれない。#twnovel

2021-07-04 00:30:24
リュカ @ryuka511

「動機は復讐、か。それで? 満足した?」「正直、よく分からない。だが、後悔はしていない」「そう。この後のことも覚悟の上、ってことでいいかな?」「あぁ。俺だけ許されようなんて思っちゃいない。酌量はいらない」「潔いね。助かるよ。最近悲劇の主人公ぶる奴が多くてね。じゃ、行こうか」 #twnovel

2021-07-04 23:37:11
リュカ @ryuka511

己の使命を見つけ巣立つ者。彼らの門出を祝いつつ、私の胸にはひとりぼっちにされたような淋しさが去来する。いけない。道を求める者を導くのが私の使命。それを選んだのも私だ。「吉報を待ってて下さい」「あぁ」そうだ、永遠の別れではない。きっと良い報せを持って会いに来てくれるだろう #twnovel

2021-07-06 00:20:24
リュカ @ryuka511

必ず生きて帰ると約束し君は待ってると言った。激闘の末魔王を倒し、真っ先に訪ねた君は家庭を築いてた。本当に生還できるとは思ってなかった、今は家族を愛してると君は背を向けた。人の心がいとも簡単に変わってしまうのに唖然としてる。神託に応じ旅立ったのは、何よりも君の為だったのに #twnovel

2021-07-06 23:36:01
リュカ @ryuka511

厳しい施政と重税に民衆は苦しんでいた。王は臣下にも厳しく不正や失策を決して許さなかった。臣民全てが王に恐怖を抱いていた。だが私はそれでも共に行くと誓う。王の施策はこれ以上列強国に蹂躙されない為、国を強く豊かにするもの。性急に事を進める王の真意を示し、暴徒から王を守らねば #twnovel

2021-07-08 00:42:11
リュカ @ryuka511

塔の屋上で風に当たっていると話し声が聞こえてきた。あちらは人目を避けて来たらしい。内緒話は僕の暗殺計画、声の主は継母と大臣だ。物陰に隠れ計画の全容を聞く。いい機会だ、殺されたフリして城下に逃れ、反乱軍を組織しよう。民衆は僕を支持してくれているが、城で信用できるのは、誰だ? #twnovel

2021-07-08 23:38:50
リュカ @ryuka511

今夜世界が終わるから、二人で思い出の場所に行こう。告白したあの公園、二人の始まりの場所。寝転がって手を繋いで星を眺めて、世界の終わりを待とう。どんな時も一緒だと決めたから。もしも、世界が終わるなんてタチの悪い冗談だったとしても、二人に終わりは無いんだって証明になるだろう? #twnovel

2021-07-10 00:09:44
リュカ @ryuka511

こんなにも早く別れが来ると知っていたなら、愛さなかっただろうか。だけど「私を忘れないで、でも幸せになって」と微笑んだ君を愛さなかったなどあり得ない。あの日の真っ白な部屋に射した光が、希望になるにはまだ時間が必要だ。君を決して忘れない、でも君がいない日々に幸せは見出せない #twnovel

2021-07-11 00:58:10
リュカ @ryuka511

あのまま何も知らずにいられたら良かったけれど、そういうわけには行かないのだろう。私もあなたも王国に忠義を尽くす騎士、王国同士が対立するなら、私とあなたも戦わねばならない。戦場で会うのは初めてだ。騎士として剣を交える前に、1人の人間として、出会えて良かったとあなたに言いたい #twnovel

2021-07-11 23:54:55
リュカ @ryuka511

密かに想いを通わせる私達の前には、身分という決して超えられない壁がありました。やがてあなたは縁談がまとまり、私は旦那様に仕え続けました。あれから十数年、私はこの恋慕を終わることすら出来ずに生きてきたのです。あなたが大切にされ幸せでありますようにと、今も密かに祈っています #twnovel

2021-07-13 00:06:16
リュカ @ryuka511

君は射殺許可まで出された反逆者で、僕は君を追いつめ銃口を向ける。世界の治安を守るのが僕の仕事。君は「貴方ならいいよ」と両手を広げ笑ってみせた。引鉄を引く。世界は連日僕を英雄と称える。これは悪い夢で、僕はいつか目覚めるんだ。君は変わらず僕の隣で「貴方ならいいよ」と笑うんだ #twnovel

2021-07-13 23:53:31
リュカ @ryuka511

「なぜ誰も親に等しいあの人の窮地を救おうとしないのだ」「それは命令違反だ」「あの人を救う事が誰の命令に反するのだ」「お前バグってるぞ」思考するより先にそいつを攻撃していた。気づいたら走り出していて、「ロボットの反逆だ!」叫ぶ人間を背に、あの人を救うべく研究所を飛び出した #twnovel

2021-07-14 23:24:53
リュカ @ryuka511

「世界のため、国のため。それじゃ、自分のためには何かできたの?」捕らえた将軍に問う。反逆し私を殺そうとした愚かな男。「我が命は王国と民のためにある。これ以上お前の好きにはさせない!」理解に苦しむ。だが興味が湧いた。殺すには惜しい。その言葉、どれ程本気か見てやろうじゃないか #twnovel

2021-07-15 23:16:51
リュカ @ryuka511

駆けつけた時、君は血濡れの刃を手に佇んでいた。復讐するという君の言葉を本気にしなかった俺のせいだ。君がいなくて包丁が無くなってると聞いて会社を飛び出した。謝罪も時間も、俺達の手も、何一つ君を救わなかった。俺を見て君は安心したように笑む。「貴方まで殺らずに済んで良かった」 #twnovel

2021-07-17 00:11:56
リュカ @ryuka511

「外の世界は危険なの?」問う幼い少年に頷いた。凶暴な魔物がたくさん出て危険だと、絶対にここから出ては駄目だと。怯えた顔で頷く少年を抱きしめる。愛しい子、怖い思いをさせてすまない。危険どころか、世界はもう存在しない。彼を最後の人類にしてしまった僕の罪、贖罪はどこにも無い #twnovel

2021-07-18 00:09:12
リュカ @ryuka511

僕を騙したままで君は、僕と結ばれようとしている。騙されているフリはもう無理だ。君は上手い事やった。君と彼女は両親も間違える程よく似た双子で、でも僕には分かる。君は僕が愛した彼女じゃない。双子の入れ替わりトリックなんて、ミステリーでも通用しないよ。彼女を殺したのは、君だね? #twnovel

2021-07-18 23:52:56
リュカ @ryuka511

あれが罠だと私は知っていた、貴方も知っていた。知らなかったのはあいつだけだ。妙に張り切って私達を仕切り、勝手に先陣を切るあいつを私達は疎んでいたのだ。初歩的な罠にかかって助けを求めるあいつを無視して私達は進んだ。あの程度の罠も見破れない奴に、救世の英雄を名乗る資格は無い #twnovel

2021-07-19 23:05:07
リュカ @ryuka511

貴方の想いに触れ、ただただ、貴方の為にとお屋敷を離れた。私は一介の使用人で貴方は侯爵家令嬢。住む世界が違う。だがお側にいるべきだったと悔いる。貴族階級を憎む者が街中のお屋敷に火を放った。貴方はまだ社会へ責任を負えないお歳なのに、なぜ社会の憎しみを受けねばならなかったのか #twnovel

2021-07-21 00:09:41
リュカ @ryuka511

世界を憎み、人間を滅ぼした。存外、一人きりでも生きていけるものだ。気ままで静かな暮らしを楽しんでいる。だがある日、僕を呼ぶ声が聞こえるようになった。「君は誰?この世界は何も無いよ。邪魔しないでくれ。」 #twnovel このままでは彼は衰弱してしまう。心を閉ざし眠り続ける彼を、助けたい。

2021-07-22 01:48:12
リュカ @ryuka511

あの日から僕の時はもう進まない。もうすぐ君と家族になるはずだった。新しい家は1人では広すぎるし、2人分の日用品は多過ぎた。持て余すそれらを手放す事もできず悲嘆に暮れる。真新しい指輪が左手で光っている。これを外す事は無い。黄泉路へついた君と揃いの指輪。僕が行くまで、待ってて #twnovel

2021-07-23 01:01:56
リュカ @ryuka511

君の力になろうとみんな修練したのに。僕は傷の治癒も解毒も呪いの解除も何でもできるようになったのに。君はいつも1人で抱え込む。神託を受けたのは自分だからと。そうして僕らを大事な仲間だと言う。痛いくせに、辛いくせに、それでも頼ってくれないくせに。君にとって仲間って何なんだよ? #twnovel

2021-07-24 00:28:33
リュカ @ryuka511

人々の平和と幸福の為に研究していた。決して悪用されてはならない、危険で巨大なエネルギーだと承知していた。国の下での研究なら安心だと思っていた。国は俺達の成果を奪いあれを軍事利用する気だ。だが、俺の頭にある仕様書がなければただのガラクタだ。だから神よ、どうか俺を殺してくれ #twnovel

2021-07-25 01:11:01