紗羅香執筆『聖夜・3 鍵』 #sarassSP

紗羅香執筆『聖夜・3 鍵』 ギニュー特戦隊・ザーボン、別世界ギニュー特選隊(←文字注意)・ザーボン王子・ザーボンのお話:非公式 をまとめたぞ^^ #sarassSP
0
@saraka4237

ここは、ある鏡で繋がっている、ザーボン王子が済む世界とは別な世界。ここにもフリーザ軍は存在し、基地もある。その一角にある部屋に、彼らは集まっていた。「よし、全員揃ったな。準備はいいか?」威勢のいい、ギニューの声が部屋に響く。 #sarassSP

2011-12-25 06:16:53
@saraka4237

「バッチリですぜ、隊長!」リクームが言った。「荷物は全部持ってきたっすよ!」バータと二人で手にしている荷物を見せた。ギニューはそれを確認すると、「では出発するか」と言って、鏡の前に立った。その鏡は、一部の壁を占めるほどの大きな鏡だった。 #sarassSP

2011-12-25 06:17:09
@saraka4237

これこそが、ザーボン王子の世界と、彼らの世界と繋ぐ、唯一の鏡である。そして鏡の所有者は、この部屋の主でもある。「待ってください、隊長!アイツが来ていません!」ジースの声に、ギニューのこめかみがピクリと動く。「何だと!ヤツがいなければ、行かれないではないか!」#sarassSP

2011-12-25 06:25:31
@saraka4237

何故かザーボンがいないと、鏡は扉としての機能を果たさない。つまり、彼らがザーボンの部屋に集合しても、何の意味もないのだ。「間違いなく伝えたんだろうな?」ギニューの問いに、ジースは答える。「もちろんですよ!ただ…ヤツがオレたちの言うこと聞けば、ですが」 #sarassSP

2011-12-25 06:30:09
@saraka4237

ギニューもザーボンの性格は知っているので、簡単に自分たちの意のまま、動かせるとは思ってもない。「仕方がないな…」と言って、ギニューは袋から綺麗に包まれた箱を取り出した。「コレをヤツに渡せ」ジースが箱を受け取ると、皆から不満の声が上がった。 #sarassSP

2011-12-25 06:34:07
@saraka4237

「あっ!それは…プレゼント!」「ズルいっすよ〜っ!ザーボンだけ!」「オレも欲しいーっ!」四人に責められるギニューだが、表情を変えることなく言った。「心配するな。ちゃんと人数分用意してある」「やったーっ!」四人は、まるで子供のように喜ぶ。 #sarassSP

2011-12-25 06:51:25
@saraka4237

「分かったなら、早くヤツを連れてこい!」「はーいっ!」「返事を伸ばすなっ!」「は、はい!行ってきます!」ギニューから叱責を受けたジースは、慌てて部屋を出て行った。「全く。初めからアレを使えば良かった」ギニューは腕を組み、溜め息を吐いた。 #sarassSP

2011-12-25 07:33:40
@saraka4237

その頃。ザーボンは中庭に来ていた。「やはり、一人が落ち着くな…」静かな空気が流れる中を、ザーボンは歩き始めた。数日前。突然ジースがやって来て、「今日は、絶対に予定を入れるな!」と叫んでいたが、あの騒がしい連中と一緒にはいたくない。 #sarassSP

2011-12-25 08:11:14
@saraka4237

姿をくらまそうとしたが、他に行くあてもないので、こうして中庭を散歩しているのだ。「さて。これからどう過ごそうか…」ギニューの策略で今日一日、休暇を取ることになってしまった。フリーザとしては、毎日のお菓子攻撃から逃れられると、彼らの休暇を快諾した。 #sarassSP

2011-12-25 08:28:59
@saraka4237

しかしその分、仕事の負担がドドリアに回ってくるのだが、誰も気にしなかった。「部屋に戻りたいが、ヤツらが居座っているからな…」ザーボンが頭を悩ませた時だった。「あーっ!見つけたぞ!」耳障りな声が聞こえてきた。振り向かずとも声の主は分かっていた。 #sarassSP

2011-12-25 08:44:41
@saraka4237

「ジース…」ザーボンは深く息を吐いた。「ザーボン!早く来いよ!ギニュー隊長がお怒りだぞ!」ジースはザーボンの腕を掴んだ。「よくここが分かったな」「当たり前だ!スカウターがあるからな!」「そう…だったな」ザーボンは自分の愚問に苦笑した。 #sarassSP

2011-12-25 08:57:28
@saraka4237

「ほらっ!隊長からだ!」ザーボンは、ジースから小さな箱を渡された。「…何だ?これは」首を傾げるザーボンにジースは、「プレゼントに決まっているだろう!」と、当然のように言った。「私にか…?」ザーボンは更に疑問を投げかける。「他に誰がいるんだよ…」 #sarassSP

2011-12-25 09:28:05
@saraka4237

ジースは周囲を見回して、「お前しかいないだろ?」と言った。「いや、そういう意味ではないのだが…」頭を抱えたくなったザーボンだが、何を言っても無駄だろうと判断し、言葉を続けるのを止めた。「それ…何が入っているんだろうな!」ジースが箱の中身に興味を示した。 #sarassSP

2011-12-25 09:28:37
@saraka4237

「なあ、開けてみろよ!」ジースが急かした。「何故私が、お前に指図されなければならない?」ザーボンは顔をしかめた。それでもジースは諦めない。「いいじゃねぇか、見せてくれても…ケチだな」「ケチ呼ばわりされる覚えはない」「えーっ?いいから見せろよ〜」 #sarassSP

2011-12-25 10:53:59
@saraka4237

ジースのしつこさに根負けしたザーボンは、渋々プレゼントを開けた。中身を見た瞬間、ジースは声を上げた。「あっ!マシュマロだ!美味そうだな!」それは、カラフルなマシュマロが入った瓶だった。「一つくれよ!」ジースがせがむ。「…子供か、お前は」 #sarassSP

2011-12-25 10:55:41
@saraka4237

ザーボンは、ケチと言われたのが心外だったのか、素直に瓶の蓋を開けた。「いただきまーす!」満面の笑みで、ジースはマシュマロを頬張った。「うめぇ!」ザーボンも、釣られて一つ口に放り込む。「…やはり美味いな」「だろ〜?」ジースは、さも自分が作ったかのように言った。 #sarassSP

2011-12-25 10:57:19
@saraka4237

「へへっ!今日は楽しみだな!だって、あっちの世界にいる隊長のお菓子も食えるんだぜ!」ジースの一言に、ザーボンは決心した。「…よし。一緒に行ってやろう」「おっ?やっぱ、お前も食いたいんだろ?じゃ、気が変わらぬうちに行こうぜ!」ジースはザーボンの腕を再び掴んだ。 #sarassSP

2011-12-25 10:58:42
@saraka4237

「い、いや、私は決して菓子などに釣られたわけでは…」言い訳をするザーボンだが、ジースの耳には届かなかった。「お前がいないと、あっちに行けないからなーっ!」ジースにしてみれば、ザーボンさえいてくれればそれでいいのである。ギニューの策略に嵌まったザーボンだった。 #sarassSP

2011-12-25 11:04:08