紗羅香執筆『聖夜・4 なくしたもの』 #sarassSP

紗羅香執筆『聖夜・4 なくしたもの』 ギニュー特戦隊・ザーボン、別世界ギニュー特選隊(←文字注意)・ザーボン王子・ザーボンのお話:非公式 をまとめたぞ^^ #sarassSP
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@saraka4237

『聖夜・4 なくしたもの』 #sarassSP

2011-12-25 13:41:38
@saraka4237

朝食を終えたザーボン王子は準備の続きをするため、大広間に戻った。中へ入り、連れて来たバータとグルドに指示を与えた。「…ったく!なんで王子の手伝いをしなけりゃならないんだよ!」愚痴るグルドの横で、バータは言った。「お前は当然だろ?この城の小間使いなんだから」 #sarassSP

2011-12-25 13:42:07
@saraka4237

「オレなんか、スイーツ店の副店長やってるだけだぜ?」「それはお前がジースと仲が良いからだろ?」「そうなのか?」「そうだよ!」二人のたわいない会話は、突如聞こえてきた王子の叫び声で中断された。「あーっ!ない!ないぞ!星飾りがない!」 #sarassSP

2011-12-25 13:42:55
@saraka4237

その声に二人は王子の元へ駆け寄り、ツリーを見上げた。確かに星飾りがない。「本当に飾ったのか?」と、小間使いは言う。「忘れっぽいからな、王子は」だが、そんな嫌味も通じないほど、王子は落胆していた。「な、なあ、探してみようぜ?どこかにあるかもしれないぞ?」 #sarassSP

2011-12-25 13:43:28
@saraka4237

落胆する王子を励ますため、副店長は声を掛けるが、横にいる小間使いは「見つかるかなぁ…」などと水を差す。「お前は…余計なこと言うなよ!」「だって…」もめる二人に、王子は手を挙げて制止した。「お前たちが喧嘩をする必要はない。そうだな。飾り忘れかもしれぬな」 #sarassSP

2011-12-25 13:44:04
@saraka4237

魂が抜けたような王子に、どうしたものか思案していた副店長だが、ふと彼がいないことに気が付いた。「あれ?ジースはどこいったんだ?」それを聞いた王子は、あっ!と声を上げ、「そう言えば、この部屋を最後に出たのはジースだ!おい、今、アイツはどこにおる?」 #sarassSP

2011-12-25 13:58:37
@saraka4237

二人は顔を見合わせ、首を傾げる。「朝飯の時はいたけどな…」「料理長に使いでも頼まれたんじゃねぇのか?」と、記憶を辿り始めた時だった。「あっ!王子!」皆一斉に声がした方へ振り向いた。部屋に入って来たのは、噂の人物だった。ひどく青ざめた顔で立ち尽くしていた。 #sarassSP

2011-12-25 16:05:11
@saraka4237

「ジース!今までどこに…それより、ツリーの上にあった星飾りを知らぬか?それとも、まだ飾ってなかったか?」「ごめん、王子。あの飾り、壊れちやった…」袋の中には、星飾りの破片が入っていた。 #sarassSP

2011-12-25 16:05:34
@saraka4237

「同じ物を探しに行ったんだけど、全然見つからなくてさ…」しょんぼりした顔で言った。「こんな朝早くにか?まだ店は開いておらぬだろう」「うん。でも頼み込んで開けてもらってさ、聞いて回ったんだけど…こんな珍しい物、そう簡単には手に入らないよ、って言われて…」 #sarassSP

2011-12-25 16:05:57
@saraka4237

店長は、今にも泣きそうな顔をしていた。王子はゆっくりと息を吐き出すと、「まあ…形有るもの、いずれ壊れるからな。仕方なかろう」と、店長の肩に手を置いた。「ありがとう。朝から大変だったな。さあ、ギニューの手伝いがあるのだろう?早く行かないと、雷が落ちるぞ?」 #sarassSP

2011-12-25 16:06:21
@saraka4237

「二人とも、喧嘩している暇などないぞ?早く準備の続きをせぬか」王子は力無く言うと、小間使いの態度に怒りもせず、フラフラとした足取りで大広間を出て行った。「…マズいんじゃないのか?」小間使いは言った。「かなりへこんでいるぜ?あれは…」それを聞いて、副店長は頷く。 #sarassSP

2011-12-27 06:37:43
@saraka4237

「マズいってもんじゃないだろ…」うーんと唸り、腕を組む。あれこれ思案する二人に、「なに辛気くさい顔してんだよ!」と、能天気に話し掛ける人物がいた。「リクーム!」巨漢を誇る彼は、見た目に似合わず、バレエ教室を開いている。 #sarassSP

2011-12-29 23:28:25
@saraka4237

「さっきすれ違ったけど、王子も暗い顔してたなぁ…何かあったのか?」と尋ねる室長に、副店長はこれまでの経緯を説明した。話を聞いた室長は顔色も変えず、「壊れちまったんだから、仕方ねぇだろ」と言った。「お前なぁ…」室長の言葉に、副店長は眉間にシワを寄せる。 #sarassSP

2011-12-29 23:28:38
@saraka4237

「身もふたもないこと、言うなよ。何とかしないと、今夜のパーティーが中止になるぞ?」『それは困る!』室長と小間使いは、声を揃えて言った。真剣に悩む三人だったが、「あっ!そうだ、アイツらに聞いてみたらどうだ?」と、室長が声を上げた。 #sarassSP

2011-12-29 23:28:53
@saraka4237

「アイツら?」他の二人は、首を傾げて訊き返した。「今日、来るんだろ?向こうの世界から!何か珍しいこと、知ってんじゃねぇか?」「そうだな・・・よし、そうと決まれば!行こうぜ、『鏡の間』に!」三人は頷き合うと、準備もそっちのけで、鏡の間がある地下へ走って行った。 #sarassSP

2011-12-29 23:29:09