紗羅香執筆『聖夜・1 始まりの朝』 #sarassSP

紗羅香執筆『聖夜・1 始まりの朝』 ギニュー特戦隊・ザーボン、別世界ギニュー特選隊(←文字注意)・ザーボン王子・ザーボンのお話:非公式 をまとめたぞ^^ #sarassSP
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@saraka4237

『聖夜・1 始まりの朝』 #sarassSP

2011-12-24 13:20:04
@saraka4237

どこからか、鼻歌が聞こえてくる。明るく楽しげなそのメロディは、最近この季節によく耳にするクリスマスソングのようだ。流れてくるメロディを辿ると、王室内の大広間に行き着いた。中ではザーボン王子が、この日のために用意された大きなツリーに飾り付けをしていた。 #sarassSP

2011-12-24 13:20:54
@saraka4237

この飾りは、地球マニアである王子がわざわざ取り寄せてまで用意したものだった。毎年飾りを増やしていくので、今では賑やかなクリスマスツリーになっている。「よし!これで完成だな!」王子は仕上がりに満足して、大きく頷いた。 #sarassSP

2011-12-24 13:21:13
@saraka4237

「今年のクリスマスは、一段と賑やかになるな!」王子の顔に笑みが広がる。何故なら、逢う機会の少ない兄のザーボンが、数日の休暇を得て帰って来るのだ。滅多に休みを取らない彼が、しかもこの時期に帰省するのはかなり稀である。そして驚くことはもう一つあった。 #sarassSP

2011-12-24 13:21:47
@saraka4237

それは、自分が彼と兄弟であると知らされたことだ。驚愕の事実を知るまで、ずっと従兄弟だと教えられて生きてきた。二人一緒にいれば区別がつかないほど瓜二つな顔に、多少の疑問は感じていたが、まさか双子とは夢にも思わなかった。 #sarassSP

2011-12-24 13:22:16
@saraka4237

英雄と称えられる元王子と同じ顔であるが故に、つらい時期もあった。が、今は兄弟であることを素直に喜んでいる。やはりザーボンは英雄であり、憧れの的なのだ。「そうだ!彼らも来るんだった!」王子の脳裏に、あの五人の姿が浮かぶ。 #sarassSP

2011-12-24 13:23:07
@saraka4237

数か月前。ある鏡を通じて知り合った『ギニュー特選隊』にそっくりな彼ら。今回は彼らもパーティーに招待したのだ。「今夜が楽しみだ!」ウキウキ気分でツリーを眺める王子に、声を掛けてきた人物がいた。「あははっ!なんて顔してんだよ、王子!」 #sarassSP

2011-12-24 13:24:21
@saraka4237

振り向くと、そこにはジースがいた。ギニュー料理長の弟子であり、彼がプロデュースしたスイーツ店の店長である。「な、なんだ、ジース!勝手に入ってきた上に、いきなり笑うとは!」嗜める王子に対してジース店長は、あっけらかんと答える。 #sarassSP

2011-12-24 13:27:07
@saraka4237

「勝手じゃないぜー?さっきから呼んでいるのに、返事しなかったじゃん!」王子は、あっ、と小さい声を上げて、「そ、そうか…それは悪かったな」と謝った。「それで、何か用か?」店長は呆れた顔で言った。「朝飯の時間だから呼びに来たんだよ!」 #sarassSP

2011-12-24 15:42:26
@saraka4237

「朝食か!飾り付けに夢中になり過ぎて、すっかり忘れておった!では行くぞ、ジース!」王子は、呼びに来た店長よりも先に大広間を出て行った。「なんだ?やけに張り切ってるな…」首を傾げながら、店長は大広間の中央に備えられたツリーを見上げた。 #sarassSP

2011-12-24 15:42:55
@saraka4237

店長は、用心深く周囲を見回した。「…誰もいないな。よし、今だ!」店長の身体が宙に浮いた。そのまま上昇すると、星飾りに手を伸ばした。「やっぱ、近くで見るほうがキレイだ!」素材は分からないが、水晶のような透明感があった。陽の光が当たると、キラキラと光る。 #sarassSP

2011-12-24 15:43:58
@saraka4237

「意外に軽いんだな」そう思った瞬間だった。 #sarassSP

2011-12-24 15:44:17
@saraka4237

パリーン!と、乾いた音が大広間に響いた。破片は床に散乱し、朝日を受けて光を反射させていた。「どうしよう…」顔を真っ青にして呟く店長だったが、「片付けなきゃ!」と、掃除道具を取りに走った。 #sarassSP

2011-12-24 16:06:17