- rouillewrite
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にっこりと笑う様は、そう、いつもの食えない笑みを浮かべるイアンで。 しかし、それにすぐに反論できるすべを持つ者はいなかった。
2024-03-03 21:35:49「イアン、だったら俺は、お前を止める!」 その重々しい空気すら破ったのは、許すという選択をしたギルバートだ。
2024-03-03 21:36:24「───この船から無事に降りることが出来たのなら、お前がどうしようもない渦にまた飲まれて、自分を追い詰めるっていうんなら、俺が止める! こんな場所じゃなくて、お前がまた戻れるように、妹さんが報われるように…お前を、捕まえる。絶対にだ!!」 「……そう」
2024-03-03 21:37:06『さて、二度目の鐘を鳴らすわ。 今度は“アメリア・クロフォード”。 あなた達はどんな選択を見せてくれるのかしらね?』
2024-03-03 21:40:00「承認欲求を満たすため、なんて子供らしい理由ね。やってることは酷く残酷なんだけれど、 それでも“友達”だから。 ────あたしは貴女を責めたくないわ」 「………」 pic.twitter.com/qEirA8JDRI
2024-03-03 21:41:21そう告げる声は、優しい。 膝を曲げ視線をアメリアに合わせ、耳にかかった髪を少しだけかきあげる様な仕草をしながら、ミアは笑った。 自分から犯罪に加担しているのに、どうしてそう優しい言葉をかけられるのだろう。
2024-03-03 21:41:48「許されることではないのはわかっています。…でも、アメリアと同じ立場だったら、アタシもそうしてます。 それに我儘なのはわかっていますがアタシは…貴方に…友達に…死んでほしくない…」
2024-03-03 21:43:37そうこぼす言葉に、力は無い。 懇願するばかりの無力さが床に吸い込んでいくように思えて、キャロラインはゆっくりと下を向く。 その間もアメリアの言葉なく、ただ黙ってその様子を見つめていた。
2024-03-03 21:44:28「エリクサーと同じ、だよね。アメリアも大人の道具にされた。断ったら殺される状況だった。 だから、許す。 でもこの船から降りたあとその組織に戻るのなら許せない。 ……ねぇ、アメリア。 貴方は今でもその組織に帰りたいの…?」
2024-03-03 21:45:49「...勿論、帰りたいですよ。 あそこは私の家であり私の居場所ですから。ここから出たら私は帰ります」 「……そっか」
2024-03-03 21:46:43その言葉を聞いて、クラリッサは少しだけ息を吐く。 残念だ、とそう言っているようで、その指先は指輪の飾りを二度叩くに終わった。 どうやら彼女の中で、その答えは“許さない”に値するようだった。
2024-03-03 21:47:37くるりと背を向けて、アメリアの傍から離れるクラリッサの目線の先に見えたのは、廊下の真ん中からじっと動かないシャールだ。
2024-03-03 21:48:16「さっきは相棒が深刻そうだったから言い損ねてしまったのだけれど。 イアン君。 ……復讐は無意味と取られてもおかしくは無いさ。復讐を無意味と思えるのはソイツが傷ついたことがないからね。それに妹さんに復讐を望むか聞くことも出来ない船の上だ。」
2024-03-03 21:48:53「……でもボクは敢えて言うよ、イアン君。"ありがとう、殺してくれて" 。 少女を手にかける奴なんて死んでいいね。あ、妹さんの代わりとしての言葉ではないよ?」
2024-03-03 21:49:12その言葉は、どうやら許す選択をしたようだった。 彼女がどうしてこんな前置きをしたのかは、次の言葉が物語っている。
2024-03-03 21:49:52杖を廊下の床に突き刺し、アメリアに向けられたその視線は鋭い。 普段前髪で隠れているその瞳が、言いようのない冷たさを孕んでいて、隣にいたギルバートは息を飲んだ。
2024-03-03 21:50:16「……と、ここまでボクの意見を言ったがキミには全く別の言葉を与えるよ。 ボクは意志のない犯罪行為が死ぬほど退屈で嫌いだ。 ─────何かを守るための殺人と 自らを求められるための目を背ける行為、どちらの方が筋が通ってるかなんか明白だろう」 pic.twitter.com/bZiICXPDBn
2024-03-03 21:50:54廊下の端まで冷たさが伝わるような声だった。 しかしその視線にすら臆することも無く、アメリアはそっと呟くようにして言った。
2024-03-03 21:52:32