スクールガール・アサシン・サイバー・マッドネス #4

公式note https://diehardtales.com/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【スクールガール・アサシン・サイバー・マッドネス】#4

2024-03-11 23:17:23
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「シアツのようにはいかないね」埋込式サイバーサングラスの闇医者は、施術台にうつ伏せになったリンホを見ながら、PVC手袋を嵌めた。「まあ、わかってるだろうけどね」「わかってるッつうの」リンホは溜息をついた。「カネ払ってンだ。文句ねえだろ。最高のアサシンに最高のサービスをしろ」 21

2024-03-11 23:20:30
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「アサシンねえ?」闇医者はマスクの下で、笑いとも訝しみともつかぬ表情をした。そして、付き添いじみて部屋の隅で身を固くして座るモニコを一瞥した。「アサシンねえーェ?」「ナメンジャネー」モニコは顔を上げ、闇医者を睨んだ。「今すぐテメエの心臓、全摘してやろッか、ア?」 22

2024-03-11 23:23:33
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「オーホホホ!」闇医者は笑った。「やめなよッて!文句無いし、疑ってなんかないッたら!」「そんならおちょくってる場合じゃないッてわかるよな?」モニコは既に銃を構え、闇医者に定めている。闇医者は緊張をごまかす為か、本当に面白いのか、声をあげて笑った。「イーヒヒ!わかったから!」 23

2024-03-11 23:27:10
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闇医者は身を屈め、リンホの背筋の上、採寸するように指をスライドさせた。「若いッてのはイイね、後先考えないからね。年をとるとそうもいかねンだわ」「なんでもいいよ。早くやンな」リンホが促す。闇医者は咳払いした。「脊椎ッてのはクリティカル部位だから、まずは補強する。インプラントで」24

2024-03-11 23:31:08
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「なんでも良いから早く直せ。生身の時より強くしろよ」「ッたく急かすねえ。告知事項ッてのがあるだろうが」「アタシの相棒が読む。だよな!」「う……うん」モニコは膝の上でUNIXを開いた。「ちゃ……ちゃんと見てッかンな!ナメンナヨ!」「おうおう、おもしれえな」新たな声。 25

2024-03-11 23:34:50
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「アイエッ!」モニコは反射的に悲鳴をあげた。天井よりも背の高い、ヤクザスーツの男が、ぬう、と入ってきたのだ。身を屈めた男は全身から獣じみた殺気を立ち上らせていた。「そいつが噂のアレか……アサシン女子高生か、アーン?」「ア……ドーモ、ギリ=サン」闇医者は「ギリ」にオジギした。 26

2024-03-11 23:37:54
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「このあとイキのいいヤツ連れてくるからよ、腕をキメてやってくれや」「いつもお世話になっております」「オイ!勝手に入ってくるンじゃねえよオッサン!」リンホは猛った。「そ…そうだぞ!」モニコは銃を向けた。ギリはホールドアップした。「ははは、その意気や良し。この前の話、考えたか?」 27

2024-03-11 23:40:58
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「……!」モニコは黙った。リンホは気にした。「何の話だよ」「な……なんでもないよ」「いや、お前の話だよ女子高生!」ギリは笑いながら食い下がった。「こっちは少し調べてあるぜ。お前のお友達にはこの前アイサツしたんだ。それで、話は持ちかけたんだがよ」「し……シラネーヨ」と、モニコ。 28

2024-03-11 23:44:35
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ギリはモニコを無視し、リンホに語りかけた。「あのな、ウチがスポンサーになってやろうって話だよ」「テメー誰だよ」「俺はギリ。ゾウラン・ダイ・カイのヤクザよ。うちのオヤブンは、デカい戦争をおっぱじめるつもりでよ。イキのいいアサシンは何人居てもいいもんだぜ」「……」 29

2024-03-11 23:47:00
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「俺がスポンサーになって、サイバネだの何だの支援してやろうッて話よ。借金も無期限、無利子だ」「……」「あのな、お前のその腕、曰く付きのシロモノだぜ。厄介な事に……いや厄介じゃねえが……お前のニューロンと深く結びついちまってるがな。もっとパワーを引き出してえだろ?」「……」 30

2024-03-11 23:52:07
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「その背中もよ、今からどんな手術やるのか知らねえが、ケチなこと考えねえで、バキバキにいかねえか?ア?」「……」モニコはリンホを見た。リンホの顔が見えない。リンホは返事をしない。モニコは立ち上がり、ギリに銃を突きつけた。「出てけよドヤクザ!ウッセーンダヨ!」 31

2024-03-11 23:56:12
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「カカカ!」ギリは笑い、ホールドアップしながら後退りした。「嫌いじゃない、嫌いじゃないぜそういうのは!まあとにかく、よしなにやってくれや。ハウリンウルフは図体ばかりでけえヤクザで、勝手に潰してくれるなら都合がいい」「出てけッ!」「アサシン女子高生!お前にも名刺置いていくぜ!」32

2024-03-11 23:59:01
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ヤクザは去った。闇医者は、涙を拭うモニコを見た。リンホが足をバタバタ動かした。「早くしろ!いつまで待たせンだよ!」「ああ、よし、それじゃやるかねェー……次の客もある」「そうだぞ、カス医者!」闇医者は天井から垂れ下がるデバイスを引き下ろした。リンホは顔を動かし、モニコを見た。 33

2024-03-12 00:02:54
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モニコは声を詰まらせた。リンホは尋ねた。「何でアタシに言わねンだよ」「だって……」「だってじゃねえ」リンホは溜息をつき、モニコは嗚咽した。リンホは言った。「信用ねえな。何が悲しくてクソヤクザの犬にならなきゃいけねえんだよ、リンホ様が!」「わ、わたし……」「殺るか!アイツも!」34

2024-03-12 00:06:19
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モニコは少し震え、拳に力を込めて答えた。「じゃ、じゃあ、それまで死なないでよね!死んじゃダメだからね!」「死なねえよ!」リンホは笑った。「カス医者!こいつ、しつッこいから、早く始めろ!」「後先考えない、好きだねえ……」闇医者はデバイスをリンホの背中に押し当てた。 35

2024-03-12 00:10:24
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アタバキ・ブシド・ハイスクールの校門前には屈強な体育教師が腕組み姿勢で佇み、始業間際に校門に走り込んでくる生徒たちに睨みを効かせていた。その隣で、リンホは腕組みし、仁王立ち。体育教師は訝しんだ。「クロキ?」「話しかけんじゃねえ」体育教師は腕時計を確認した。「時間だ。入れ!」 37

2024-03-12 00:14:47
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「入らねえよ」リンホは通学路を睨んだまま言った。「アイツ来てない」「何?先に入れ。遅刻にするぞ」「だから来てねンだっつの」「門を閉じる!」「ウルッセーヨ!勝手に閉じてろ!」体育教師はそそくさと敷地内に入り、リンホを置き去りにして、門を閉じた。 38

2024-03-12 00:17:22
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「ツレーナイー、オマエノ、ヒトリモノー……」ビブラートを効かせてノスタルジックな歌を口ずさみながら、トジカタ・ウルフ=オヤブンは、壁の「不如帰」のショドーの額縁を持ち上げ、神経質に、その角度を直した。「イナーホノ、ウミニーキエルー……」そして、壁に吊るした武器を見た。 41

2024-03-12 00:25:06
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左から、ナギナタ、カタナ、木刀、金属バット、シナイ。食器棚の上にはクロームのマネキネコがある。マネキネコの横には、赤ん坊を抱いて微笑む若い女性の写真がある。「オマーエ、サンダヨ、カゾクダヨー……」トジカタはカタナに指で触れ、隣の木刀を取り、やはりやめた。そしてシナイを選んだ。 42

2024-03-12 00:29:12
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シナイを手で弄びながら、彼は廊下に出た。向かいの部屋の扉の横で、手を後ろに組んだヤクザが二人、無言で立っている。双子のように似ている。クローンヤクザであった。昔ながらのオーセンティックヤクザを自認するハウリンウルフが、クローンヤクザを?然り。人間の部下には極秘の案件ゆえに。 43

2024-03-12 00:32:16
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一連の女子高生アサシン事案と後手の対応が知れれば、クランは崩壊する。この期に及んで、トジカタの懸念はそれだった。最大武闘派のボルタまでもが暗殺された。これ以上の被害を許すわけにはいかない。しかしクラン総出で女子高生を追い回すなど以ての外だ。オーテ・ツミに近い。だが。 44

2024-03-12 00:34:55