シャドー・コン #2

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……イヤーッ!」イチローはPVC木人に踏み込み、中腰のポン・パンチを叩き込んだ。ナムサン!深く杭打ちされた鋼の芯棒が一撃で叩き折れ、木人は回転しながら吹き飛んで壁に深々めり込んだ!「……!」モミジは目を丸くし、破壊された木人とイチローを交互に見た。 25

2011-12-27 20:50:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前……!」モミジはイチローの肩を弱い握力で掴んだ。「お、俺だって腐っちゃいるがニンジャだ。そんなものを見せられて、一目でわからないわけがねぇ。お前、お前のワザマエ、ザイバツのマスター位階とだって、きっとやりあえる!」顔を近づけ、「誰だ?名前を隠してるか?名を言えよ!」 26

2011-12-27 20:56:18
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」イチローは指差した。壁の白黒写真を。「アイアンリングだ」「何」モミジは息を呑んだ。「アイアンリング=サンだと?何を考えてやがるお前!」「私には時間が無い」「お前まさか」イチローはモミジを見返した。「そのまさかだ。アイアンリングは回復した。このままファランクスと戦う」 27

2011-12-27 21:08:10
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前……」「ファランクスを倒せば、次はアンダーテンプルのニンジャトーナメントに参加できる。そうだな」「ああ、うむ、そうだ」モミジは頷いた「詳しいのか、お前」「そこではサラマンダーが表へ出てくる」「……そうだ。だがお前……糞ッ、またサラマンダーか」「サラマンダーに用がある」 28

2011-12-27 22:43:01
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

一瞬ではあったが、そのときイチローの目に宿った決断的殺意を、モミジのニンジャ洞察力は確かに捉えていた。「……」「モミジ=サン。実際無茶な話かもしれん。全てを話す事もできん。だが」イチローは頭を下げた。「頼む。必ず勝つ。だから力を貸してくれ」 29

2011-12-27 22:52:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「お前」モミジは呻いた。「ロクな事になる気がしねえ。何を企んでやがる」「必ず勝つ」イチローは繰り返した。そして一瞬言葉に詰まり、ためらったのち、苦しげに言った。「そうすれば……オヌシはこのドージョーを立て直せる。カネで」「お前、やはり悪魔だ」モミジは無感情に言った。 30

2011-12-27 22:59:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「到着ドスエ」エレベーターが開き、ボンボリで照らされた短い廊下を渡る。護衛ニンジャが深々とオジギするのを横目に見ながら、サラマンダーはフスマを開き入室した。ゼンめいたタタミ敷きの玄室がサラマンダーを出迎える。四方の壁は黒く、中央にイロリがある。正座したキモノ姿の女が一人。 32

2011-12-27 23:20:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ドーモ」黒髪の女は三つ指をつき、頭を下げた。これはドゲザではない。奥ゆかしいチャドー作法である。女は顔を上げ、曇りガラスめいた、死んだ目でサラマンダーを見た。「……サラマンダー=サン」「ドーモ。ユカノ=サン」サラマンダーは尊大にアイサツを返した。「まことの名には馴れたか」 33

2011-12-27 23:27:56
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(第二部「キョート殺伐都市」より:「シャドー・コン」 #2 終わり。 #3へ続く

2011-12-27 23:28:42