@mi_zak 狂うことすらできない彼に救われる道などはなかった。いつしか彼は己の運命を呪い始める。誰か壊してくれはしないのか、永い時を生きる彼の中に残された唯一の希望、それは己の破壊。ただその一点であった
2012-01-02 22:17:58@mayupp …長い、長い時の果て、彼は異変に気付いた。それは人気のない湖面で。久方ぶりに見た自分の姿――英雄として讃えられた姿はなかった。 手袋に覆われていた指先は闇のごとき漆黒に。汚染は瞬く間に進んだ。爪先から頭の先まで汚染は進み、彼は笑った―――【ばいきんまん】として
2012-01-02 22:23:44@mi_zak なんということだろうか、己は生き長らえるうちにもっとも忌むべき者と成り代わっていたのである、そして―彼は気付く。この先己に待ち構える運命に。いつしか己の前に現れるだろう者の姿に。それこそが、
2012-01-02 22:28:47@mayupp それこそが―――…あぁ、そうか。つまるところ、おれの使命と言うものは、〈ああ〉ではなくて〈こう〉だったのだ。 かつての彼はどう思っただろう?彼もいつかは英雄だったなら、ねぇ。おれにも―――できるか?次は悪党としてよぅ、物語にアり続けること。おれは…
2012-01-02 22:33:31@mi_zak ねぇ、いつか君も気付くんだろうか。この先自分が辿る運命に。そう思うと彼がひどく哀れに思えた。その先を往くのが他ならぬ己自身だというのに、である。それを思うと己がひどく滑稽な存在のように思えた。事実それは否定しようのないことであるが。
2012-01-02 22:45:36@mayupp じゃあ―――おれは。君を。不毛な道程を行くであろう君を遮ろう。恨まれようと憎まれようと構わない。 かつてのぼくを殺せないなら――ならば、君を殺すことで。
2012-01-02 22:51:53@mi_zak 君を遮ることでぼくを終わらせよう。この連鎖を絶ち切ってやろうじゃないか。それが叶わないならせめて、君の手でぼくが終わることを願って。
2012-01-02 23:00:15@mayupp <ぼく>の運命を断ち切るために、ぼくが<ぼく>を追い掛ける。ぼくもまた《ぼく》という運命に追われて。逃げるから追って、追うから追われる。君にはまだ後ろ髪がある。運命とは違う。運命から逃げられる前に、幾千のぼくはせめて、いつかのぼくを殺せるように。
2012-01-02 23:07:03@mi_zak そして願う、もしもこの世に神というものがいるのならばその名を叫んで。恐らくはぼくも彼もてのひらの上、現世で踊る憐れな傀儡。だから願うのだ、彼への謀反を。
2012-01-02 23:19:18@mayupp あれもこれもそれもどれもお前の娯楽でしかないって言うなら、疑いようのないこのリアルさで呪うよ。その首おいてけ、おれと同じ存在に成り下がって見せろ。
2012-01-02 23:26:22