工房径ついのべ集 2012年1月

工房径（koubou-kei） @pleaseinuplease

飲み込んでやる、お前ごと。くだらない中傷もままならない日々も、口に入っちまえば同じこと。だから何でも俺に見せなよ。身も心も抱き込んでやる。暑苦しい、愛のオブラートにくるんでさ。 #オブラート

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#twnovel 機嫌の悪い朝。「おはよう」君はとっときの柚子ジャムの瓶を差し出す。トーストにつけて食べると、次第に何でも許せる気がして。人間て単純だよなあ。君は俺のほつれた心を魔法のように繕うミシン。「君がいなきゃ俺、だめだわ」呟く俺に君はにんまり。「そう仕込んでるんだもん」

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#twnovel 課長から理不尽な雷を落とされ、凹む夕暮れ。女ひとりの映画館、ポップコーンを貪り、ヒロインの恋にどっぷり浸って泣きじゃくる。明るくなった場内で隣を見てびっくり。「よう、気が済んだか？」にやりと笑うのは憧れの上司。「飯食いに行くか」私の恋物語は、今封切られたばかり。

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#twnovel 桜を見に行くはずだった朝、生憎の雨にがっかり。洗い物をしながら「せめて買い物行かない？」と振り返れば、後ろから回される彼の腕。手元のティーカップがつるりと滑る。「なあ、せっかくだからいちゃいちゃしようぜ？」甘えた声を耳元に落とされ、爆ぜる心はポップコーン。

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#twnovel 見慣れぬベッドの上で目覚めた午前5時。隣に眠るのはずっと好きだった彼、床には夥しいビールの空缶。ベタな光景に頭を抱える。覚えているのは、鈍感な彼にキレて絡み酒になったところまで。「おはよ」彼が私を抱き寄せ、幸せそうな吐息を落とした。「愛してる」信じても、いい？

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#twnovel ココットの中のスフレみたいに、大事に大事に膨らませてきたの。「俺なんてやめとけ」なんて簡単にあしらわないで。もう何度目かの告白、胸につけたコサージュは、カモミールの花言葉どおり逆境にもめげない印。「お前には負けたよ」もう。苦笑いしてないで、抱きしめてよ。

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#twnovel 彼と初めてのデート。東京タワーの消灯を見ていたら突然の雨。「雨宿りしよ」と言われ、彼が向かったのはホテル。「先にシャワー使いなよ」こんなに手の早い人だなんて。裏切られたような気持ちでベッドに入ると「じゃ、おやすみ」と額にキス。それはそれで、えっと、何ていうか。

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#twnovel 大変だった一週間。でももう記憶にございません。週末分の食料とラブいDVD持って、あなたの家で遭難するの。ドアを開けたら、手袋を外す間もなく抱きしめて。ベッドで倒れた振りをするから「寝たら死ぬぞ！」って言ってよね。あ、それから気付け薬はブランデーよりキスでお願い。

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#twnvday アイスクリーム売場でフレーバーを味見してる君。「ねえ、あーんして？」なんて無邪気に俺を試すなよ。幼なじみの君に攻めあぐねてもう10年。我慢も限界なんだけど。「チェリー？　ミント？　それともア・タ・シ？」ふざけたつもりだろうが言質はとったぞ。「ああ、君だ！ 」

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#twnvday 家に駆け戻ってドアを閉めた。アイスの味見をする間、私を甘く見つめる瞳に動転して。「チェリー？　ミント？　それともア・タ・シ？」照れ隠しのつもりが、愛しい幼なじみの答は「ああ、君だ！」。コンコン、ノックの音がする。ああ、神様。開ける，開けない、正解はどっち？

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#twnvday 逃げた幼なじみを追って、勝手知ったる彼女の家へ。ノックすること数回、やっと開いたドアにするりと身を滑らせ、後ろ手に鍵を閉めた。怯えて後退る彼女の背後はすでに壁。真っ赤な顔の両脇に手をついた。「なあ、俺のこと好きか？」答えろよ。回答はひとつしか認めないけど。

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#twnvday ふたつ年上の彼が隣に引っ越してきたのは小学生のころ。きついことを言っても面倒見のいい優しい彼に、いつのまにか恋してた。友達 の悩みも試験勉強も、今まではみんな彼が助けてくれたのに。「なあ、俺のこと好きか？」あなたに迫られたら、いったい誰に頼ったらいいの？

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#twnvday 告白されて頭真っ白。ただ彼を涙目でみつめてた。「俺が好きか、って訊いてんの。テストにだって時間制限があるんだぜ？」テストだったらせめてひとりで考える時間をちょうだいよ。秒読みする彼の顔が近づく。「３・２・１」重なる唇はミント、チェリー？　ううん、甘い甘い蜜の味。

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#twnvday 「キスしてみようよ、試験的にさ」突拍子もないことを言うのは、顔はいいけど性格が残念な私の同期。「他を当たって」とかわすと「いいや、君でなきゃ」と彼は雑誌を指さした。「ほらここ。『好きな子とキスすると長生きするって本当？』」「どうやって証明するの、って、ええっ？」

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#twnvday 「テス、テス、只今マイクのテスト中」大好きな音響係の彼の声。たった今ゲネプロが終わり、明日はいよいよ舞台の本番。初めてのヒロイン、うまくできるかな。勇気を出したくて、彼に届けとばかりに台詞を叫んだ。「ずっと好きだったのー！」そのときマイクの声がぼそっと「俺も」

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#twnvday 大学入試、自動車免許、英検、就職の面接。ひとつでも取り零したら、今の私はあり得なかった。「行くぞ」私の運転する社用車に乗り込むのは、仕事の鬼と呼ばれる課長。「英語のスピーチ大丈夫か？」頷く私の頭を撫でて。「今日の商談、纏まったら温泉な」実は私の愛しい恋人。

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#twnvday 私の彼は白黒つけたがる理系男子。「淋しい」と言えば、「じゃ、うちにくる、こない？」慌てて家に行けば、まさかの「する、しない？」さすがに「もう、いい加減にして！」と睨めばリトマス試験紙ばりに赤くなる彼の顔。「ごめん、だって俺だけが君を欲しがってるみたいなんだもん」

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#twnvday 東京の女子大生になったら入ろうと決めていた高級ディスコ。黒服の試験に跳ねられ玄関の床に座り込む。「どうした？」通りがかったのはコンビの靴とDCブランドで身を包んだダンディ。「これでいいだろ」パサリと私に上着を掛けた。彼のウインクで、かぼちゃも馬車に変わる夜。

工房径（koubou-kei） @pleaseinuplease

#twnvday 今日も俺は君の窓辺に立って電話をかける。一度は愛し合ったかつての恋人。「１度壊れた恋は、やり直しても同じなの」君は頑なに拒むけど、あきらめが悪い俺なのさ。「俺は君の伝書鳩だよ。何度落第しても君の元に戻るから、クルックー」くすくすと笑う君。「合格よ、鳩さん」

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久々の庭仕事はつかれたびー。 @工房径さんは、「昼の密室」で登場人物が「恋する」、「線」という単語を使ったお話を考えて下さい。 #rendai http://t.co/NHrnjG9p botさんが昨日のついのべの日「試験」再挑戦を唆してくれちゃったので、やってみる！

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#twnvday 僕が恋する相手は会社の先輩。昼の会議室に呼び出し、後ろ手に鍵を閉めた。年下だから、後輩だから。そんな理由で一線を引くなら許さない。試験問題はたった１問。あなたが僕を好きか、だけ。いつも仕事じゃ強気のくせに、潤んだ瞳で見つめられても、採点はおまけしてあげないよ。

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#twnovel 憧れの彼との恋が実って、初めてのデートは高級レストラン。途中出たシャーベットに「もうデザート？」って驚いたら「お口直しです」だって。知識も教養もないのがばればれで顔は真っ赤に。ため息を吐いたら、くすっと笑う彼。「僕も同じこと思った。ハッピー・シャーベットだね」