工房径ついのべ集 2012年1月

1月は鶏庭子様の企画に参加させていただきました。  「キーワードはオブラート☆」 http://togetter.com/li/239557  「お題de小説」 http://togetter.com/li/242658 は「通勤電車・スーツ」「眼鏡」「年下・制服」です  1月14日のついのべの日 お題は「試験」でした。  ほとんどのついのべは3題などのお題を拝借。 続きを読む
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工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 雷雨の夜。泣きながら恋人を呼びつけ、愚痴をこぼしてべたべた甘えた。嘘のように晴れ渡った翌朝、恥ずかしくて彼の顔が見られない。すっぽり被った毛布越しに彼の声。「起きないつもりなら、お前を俺の好きにしていいな」がばりと飛び起きれば彼の笑顔。「腹減った。ごはんにしよ」

2012-01-16 18:20:48
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 促されて彼の作った朝食を食べる。香り高いコーヒー、とろとろのオムレツ。切れ長の瞳は私を甘く見つめて。こんな男が何で私の恋人なの? と怪しんでしまう。異世界からきた幻獣じゃないかしらん。「とっとと食べろよ。出かける前に今度は俺が甘える番な」そう、幻獣の餌は私です!

2012-01-16 18:49:39

「 #moe_novel 」は「お題de小説」 http://togetter.com/li/242658 に参加したものです。
お題はひとつめが「通勤電車・スーツ」、ふたつめは「眼鏡」です。

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#moe_novel 最近通勤電車が楽しみなのは、憧れの彼と会えるから。今日も近くのつり革を掴んだら、揺れでバランスを崩し彼へ突進。顔を上げるとスーツの胸ポケットに、ばっちり薔薇色のキスマーク。「ごめんなさい!」真っ青になって謝れば彼は笑って。「色っぽいエンブレムも悪くないね」

2012-01-17 13:26:38
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#moe_novel 「お弁当忘れたよ!」電車に乗り込もうとする作業服の俺に声をかけるのは、愛しい隣家の幼なじみ。「おう、わりいな」ぽんと頭を叩けばにこりと笑う。作業服は俺のスーツ。いつかお前に洗って欲しいぜ。願いを込めて見つめれば「見ないでよ、馬鹿」と赤い顔して彼女が拗ねた。

2012-01-17 13:26:49
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 失恋した君を連れて冬の海へ。「愛のお守りなんて嘘ね」ムーンストーンの指輪を引き抜き波間に放れば、君の涙も流れ星みたいに千切れてく。まむう、まむう、とザトウクジラのように鳴く風よ。あんな奴の思い出なんか、跡形もなく吹き飛ばせ。俺ならきっと、愛しい君を離しはしない。

2012-01-17 18:18:56
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#moe_novel 日曜の昼下がり。料理を作る私の背後に、彼がぴったりくっつき邪魔をする。「もう! 満員電車じゃないんだから」手をひっぱたいて咎めても、後ろから回る腕は緩まない。スーツを脱ぐとまるでだだっ子、の彼。「だってさあ」なんて言いながら、首の黒子にキスをするのは反則よ。

2012-01-17 20:52:14
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#moe_novel 夕方のラッシュアワー。こんなに混んだ電車の中なら、わからないだろ。会社でつらい目にあって泣いてた君を自分の胸に押しつけた。「スーツ、だめになっちゃうよ」馬鹿だな、そんなのどうでもいいよ。いつも無理に強がって、笑顔で頑張り過ぎる君。泣くなら俺の胸で泣け。

2012-01-18 06:09:40
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 仕事終わりの君をバーで待つ。「今日は残業で遅いわよ?」電話で念を押されたけれど、さっき指輪が出来たんだ。もう俺は待てやしない。心臓の音が時計のチクタクを追い越して、どうしよう、緊張するな。「お待たせ」現れた君の姿の眩しいこと。あれ、プロポーズの言葉、なんだっけ?

2012-01-18 12:27:27
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 「エスプレッソで舌が焼けちまったか?」したり顔で微笑むのはいつものカフェのマスター。仕事帰り、熱い珈琲でひと息ついたところで「好きだよ」なんて。思わぬ恋のブラックホールに言葉も出ない。「大体油断しすぎなんだよ」彼は顎をしごいて大人の余裕。お願い。今日は帰らせて?

2012-01-18 19:09:04
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#moe_novel 深夜のベランダで、駅の方角を眺めてた。もう終も出た時間。ワーカホリックの彼に裏切られ、何回目かのひとりぼっちの誕生日。こんな日々が永遠に続くのかな。ため息をついたと同時にドアフォンが鳴る。「誕生日おめでと」スーツ姿の彼が大きな花束を持って立っていた。

2012-01-18 21:41:47
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel ふられるなら彼自身の言葉で果てたい。弾丸のように硬く冷たい言葉の雨で。蜂の巣にして、残る未練を打ち砕いてしまってよ。「婚約おめでとう」やっと言えた。「何の話だ」眉を上げる彼に「指輪を買ったって誰かが」と伝えると「ああ」彼はポケットを探った。「どうぞ? 君のだ」

2012-01-19 18:36:43
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#moe_novel 夜明け前。白い息を雲のように膨らませ階段を上る。一番乗り、と仕事場のドアを開ければ珈琲の香り。「おはよう」カップを上げたのは私の恋する係長。「また徹夜。自分に厳し過ぎますよ」と労れば彼の頬がふっと緩む。「俺、欲望には忠実だけど」え、なぜそこで眼鏡を上げるの?

2012-01-19 18:37:00
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#moe_novel 送別会の後、同期の彼と忍び込んだ深夜の職場。泣きながら残業した机、仮眠したソファ。今にも課長の怒号が聞こえてきそう。「新人の頃の赤い眼鏡、可愛かった」私のリムレスフレームを外す彼。明日私はこの人の妻になる。「最後に課長の机でキスしよ」社内恋愛はこれでお終い。

2012-01-19 22:06:22
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 「水族館行こ」夜勤明けの彼は不眠不休。「少し休めば?」と忠告しても、開館時間に待ち合わせだと言ってきかない。案の定イルカのプールで居眠りする彼に苦笑すれば、「君と来るのだけを楽しみに、仕事がんばってきたんだぜ」。蜜柑を剥いた瞬間のように、ぱあっと喜びが香る朝。

2012-01-20 08:10:32
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#moe_novel 「頭痛いわ」椅子で伸びをしながら、眼鏡を外す俺の先輩。そうしていると女らしい身体の線も、意外と幼い顔立ちも、みんな丸わかりなんだけど。「肩凝りですよ」俺は肩を揉む振りで素早く彼女の身体を隠す。だめだよ。スーツと眼鏡の下は、俺だけのものにする予定なんだから。

2012-01-20 17:58:02
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

@工房径君。『くわしくを使って短文を作りなさい#tanbun http://t.co/c4IR0HXW これに挑戦しつつ萌えノベを。

2012-01-20 17:42:49
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#moe_novel 「相談て?」会議室に来た先輩を押し込み、鍵を閉めた。「相談なんて嘘ですよ」ほくそ笑む俺に先輩は必死の抵抗。「そんなことするなんて引くわ。仕組むなんてあなたらしくない!」「後輩らしくするのも限界なんだ」俺は強がる彼女の眼鏡を外す。「もっとあなたに近づきたい」

2012-01-20 17:44:25
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel テレビの深夜映画を見て夜を明かした。彼と初めて映画館で見た映画だ。ポップコーンはふたりでひとつ。手が当たるたび、どきどきして。忙しかった彼はクライマックスで居眠りして、あとで悔しがってたっけ。「ただいま」帰ってきたのは夜勤明けの夫。あのころと同じ眠たそうな瞳で。

2012-01-21 07:54:42

【お題】「しかし」で短文を作りなさい。

工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 「もう少し待って」図書館で借りる本を選んでいる私の傍らで、かしかし爪を噛むあなた、苛ついたときの癖。借り終わるなりカードと本をひったくるようにして、私を車に押し込んだ。「どうしたの、わっ」突然抱きつかれて、目の前が暗くなる。「俺は君の貸し出しを待ってたの!」

2012-01-21 15:40:13
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel どうしてわかった? 今日は何だかカレー気分で、食べたいなあって思っていたら「おかえり」玄関を開けるとカレーの匂い。「ふふ、やったね」と君は笑って、僕の好きなじゃがいもをごろっと多めに装ってくれる。母の味もいいけれど、ぼくはやっぱり君の味。 #カレーライスの日

2012-01-22 11:05:09
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel おひとり様の週末は、真夜中のレンタルショップ。瞳がきれいな受付の彼に会うのも楽しみで。今日も彼に見惚れながらDVDを手渡すと、貸出袋と一緒に渡されたレジ脇のチョコレート。見れば箱に「その作品、僕も好き。感想聞かせて」の文字が。彼への返事、いつ返却したらいい?

2012-01-23 17:34:57
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel ぼろぼろに疲れた悪友の彼が、誘う先は甘味処。「男ひとりじゃ入りにくくて」去年亡くなった彼の母が好きだったあんみつ。母を偲ぶ彼を見ながら、茂吉の短歌に思いを馳せる。足乳ねの母。所詮男は母親か。手強いライバルにため息をつけば「お前がいてくれてよかった」と彼が笑った。

2012-01-23 18:12:13
工房径(koubou-kei) @pleaseinuplease

#twnovel 夜が明けたばかりの駅のホームで、ゆうべ彼が言った言葉をなぞっていた。「きみが好き」。たった5文字が、延々と頭を巡って。もうすぐ彼の乗る電車がやってくる。ドアが開いて、彼に会ったら、どんな言葉を返そうか。幸せなときめきを持て余す、今日はふたりの誕生日。

2012-01-24 08:15:59