『デデデデ 後章』人間はみんな凡人で、多くの「普通の」人は黙って見ているだけで、「普通じゃないと勘違いしている」人は勝手な正義感で暴走するだけだから、せめて身近な誰かの大切な人になることが唯一の「絶対」だよね!という世界認識は「冷笑」という話

『デデデデ 後章』の世界認識は冷笑という話
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しの @mouse15278

『デデデデ 後章』人間はみんな凡人で、世界がいつどうなろうと多くの「普通の」人は黙って見ていることしかできないし、「普通じゃないと勘違いしている」人は勝手な正義感で暴走するだけだから、せめて身近な誰かの大切な人になることが唯一の「絶対」だよね! という世界認識、単なる冷笑だと思う

2024-05-26 00:45:56
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』「きみ」を選択するセカイ系なんて他にもあるけど、本作の場合はその選択の責任を誰もとらない。というか選択したことすら曖昧だ。前章でやたら勿体ぶって見せたクリフハンガーは後処理的な説明で処理され、世界の行く末すら半ば義務的に描かれる感じ。この放棄っぷりは意図的だろう

2024-05-26 00:47:35
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』この世に善悪なんてなくて、あるとしてもそれは「意識高い系」か「厨二病」かだけ。どうせ世界はなるようにしかならないんだから、セカイ系的な命題なんて気にせず、君の「絶対」を見つけよう。その愛が巡り巡って世界を変えるかもよ! ……聞こえはいいが、それこそが欺瞞ではと思う

2024-05-26 00:48:21
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』冒頭、おんたんが「みんな煩い!」と叫ぶシーンは象徴的だが、本作では世界に対し善悪の価値判断をする人を「煩い」ものとして描いている。過去の門出が破滅に向かった理由もそういう価値判断にあった。だから世界に絶対はなく、唯一あるとすれば身近な誰かの「絶対」になることだと

2024-05-26 00:49:13
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』しかし、「世界中を敵に回してでも誰かひとりの味方でいようとする」ことは、果たして世界に対する価値判断ではないのだろうか。そんなことはないわけで、ここに自己矛盾がある。世界はなるようにしかならないと言いつつ、明らかに彼女の価値判断こそが世界を決定的に変えているのだ

2024-05-26 00:49:41
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』つまり、個人と世界はどう頑張っても切り離せない。いくらアンチテーゼを描こうとしても、そこには世界を必要としてしまうのだから。おんたんは記憶を薄ぼんやりとしか保持していないので、やり直しの世界で彼女の価値判断を行いつつ、この矛盾から巧妙に逃れている。都合がいい話だ

2024-05-26 00:50:06
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』また、当然おんたんの日常に存在するのは門出だけではなく、各々の家族も、その他の友人も、門出とのいかがわしい関係を揶揄う対象だっている。彼女たちの日常はそういう周辺の人々なしには成立し得ない。しかし本作は、そんな彼らを恣意的に前景化したり後景化したりしてしまう

2024-05-26 00:50:40
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』前章で投入したキャラクター達はほぼ深掘りされず、単に「それでも続く日常」を演出する役としてある時は画面を彩り、ある時は無差別に死亡したりする。そんな「なるようにしかならない」日常を、おんたんと門出は互いという「絶対」のお陰で強く生きていく……壮大なマッチポンプだ

2024-05-26 00:51:10
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』さらにさらに、本作は都合よくおんたんを価値判断の責任から守る作りにしておいて、その価値判断の良い部分だけを能動的に読み取って世界を救おうとしてくれる大葉という役を配置している。おいおい結局はそういう便利な「いそべやん」を必要としてしまってるじゃん、と言いたくなる

2024-05-26 00:51:34
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』大葉とのロマンスは、おんたんが門出以外の「絶対」を見つけるという、狂った世界で描かれる等身大の成長譚なのかもしれない。しかし、本作において彼はほとんど前章の復習&説明役だし、おんたんに寄り添うことが運命づけられた便利キャラにしか見えないので、「他者」とは違うだろう

2024-05-26 00:52:08
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』総括すると、現代人が感じている世界への無力感を「むしろ何とかしようと真面目に考える奴なんて意識高い系か厨二病だよ」という冷笑によって肯定しているだけなのに、それを「身近な人を大切にするだけでいいんだよ」という甘言で欺瞞的にコーティングしているのが相容れない作品だ

2024-05-26 00:53:12
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』あと、クリフハンガーを馬鹿正直にもう一度引用して説明し始める退屈さや、キャラクターが都合よく出し入れされる身も蓋もなさ、日常と無関係に進行する「クソやばい」事態に冷笑以上の機能がないことによる興味の持てなさなどは、単純に二部作の映画の後編としても面白くなかった

2024-05-26 00:53:40
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』ビジュアルに関しても、前章に続きどうにもアニメーションとしての動きの面白さや、「非日常のなかの日常」を光景として提示するSF的な面白さに最後まで欠けていたと思う。シンエヴァがああいう形でケリを付けた今、モロにエヴァなイメージを縮小再生産する意義も分からない

2024-05-26 00:54:42
しの @mouse15278

『デデデデ 後章』いい加減こういう、「世界について真剣に考える余裕のない現代人の言ってほしい言葉」が安易にエンタメにされるのを見るのに自分は結構飽きてきた。表層的には女の子の「尊い」絆を描いているが、それ含め本質的には冷笑や諦観に閉じている印象で、あらゆる意味で不毛な企画だった

2024-05-26 00:57:20
ランゲブルーノ砲 @fo7618

@mouse15278 概ね同意。 この作者と「そこらへん」の人々はこの手の冷笑に耽溺しすぎ。 花沢某と親交があると聞いて納得した。

2024-05-26 19:55:21
マクガイヤー@次回ニコ生5/27(月) @AngusMacgyer

この一連のpost、ほんとその通りで、いにおの冷笑的悪癖が出てるところだと思うのだけど、映画は大葉くんが第三の主人公になることで上手く回避してると思うんだよね。 x.com/mouse15278/sta…

2024-05-26 15:05:46
大島育宙【ドラマ考察/評論/実況/無限まやかし】 @zyasuoki_d

これはかなりわかるな…と思ってしまった。2024年の感覚で見ると、エンドがエンドに見えず、ちょっと苦しかった。 x.com/mouse15278/sta…

2024-05-26 15:58:18

冷笑というより諦念

苹果 @dptz_n

冷笑というか諦念ですかね。もうこの世界ってどうしようもないから、今は目の前の人を大切にしよう、ってことだと思った。 ただ確かに「絶対」を求めるのは陳腐というか、あまりに楽観的かつ対人希求が強すぎないか?とも思う。緩く連帯していきたい。 x.com/mouse15278/sta…

2024-05-27 00:31:27

冷笑的には見えなかった

パリス @unity_begin

すんごい長いから読み違えてたら申し訳ないけど、個人的には冷笑的には見えなかった。 なぜなら、おんたんが門出や大葉を「絶対」だと認識するのは、彼らが「世界を守りたい」と思うような人達だから。 そういう人たちを大事にすることが「普通の」人にできることって話なんじゃないのかな。 x.com/mouse15278/sta…

2024-05-27 01:50:22
ウナ・老師 @tooo114514

全然冷笑系ではなくねえか?という相違以外は概ね一致 x.com/mouse15278/sta…

2024-05-26 13:49:43