縁切りの刃

かがち @Kagachi10202014

#30MMNOG 「…はあ…」 セドリック…いや、【ランビリス】と別れた後、アゾリアシティを後にする。 小型艇を操作して、重い気分のままレアルタへと帰ってきた。 ヴィゾフニルもこちらに寄港予定のはずだが、まだ到着していないようだ。 その時になって、彼に銃を向けられるだろうか。 pic.twitter.com/PwOQyG72eY x.com/Kagachi1020201…

かがち @Kagachi10202014

#30MMNOG 「…間に合った、かな」 皆に背を押され、イヴはセドリックに会うことにした。 先日もらった連絡先にかけた所、即アポイントがとれた。 あちらも会って話がしたかったとのことで、場所はアゾリアシティ。日付と時間を話し合って決めた。 それが今日のこの時間であった。 pic.twitter.com/PodK0sVBng x.com/Kagachi1020201…

2024-06-07 09:44:10

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かがち @Kagachi10202014

レアルタの駐機場から、【くくるびた】へ足を向ける。 ふつ、と何か糸が切れたような感触を全身で感じた。 「？」 蜘蛛の糸でも引っ掛けただろうか？と身体の周りをはたいてみるが、得になにもない。気のせいだろうと判断して、【くくるびた】へと足を踏み入れる。

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入り口ロビーにはチェックインとアウトを行う人たちが何人かいたので、邪魔にならないように端に避けて中に入ろうとしたその時だった。 声をかけられたのは。 pic.twitter.com/zypzWZzZDu

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壱 @makamikouya

@Kagachi10202014 モブ1「あの人にゃ」 モブニャイガーの一体が【把握していない者が従業員通路に入ろうとしている】事をGTに伝える GT「そちらの御方。ここは従業員専用となります お手数ですが、身元の確認を」 更には、彼女は女将から新規バイトの予定は聞いていない あの人物は内部の出入りには敏感なのだ pic.twitter.com/oxWka6l8iO

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かがち @Kagachi10202014

@makamikouya 「…えっ？」 思わず周囲を見回す。 自分たち以外誰もいない。 ニャイガー達とも一緒に働いていたことはあるが、知らないニャイガーだろうか？ それにしては、GTの物言いがおかしい。まるで知らない相手に言うような… 「あ、あの？あたしですけど…」 おずおずと言いながら、彼女の顔を覗き込む。 pic.twitter.com/Ln7nfRfXSV

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壱 @makamikouya

@Kagachi10202014 GT「……？」(あれ、この声……いやしかし…) モブ１「～～？？」 掛けられた声。覗き返した顔に若干の違和感を覚える、が GT「ともかく、宿泊予定でしたら身分提示をお願いいたします そちらは従業員以外立ち入り禁止ですので…」 業務を疎かには出来ない。彼女はそれを拭いながらそう続ける pic.twitter.com/lAJ3oqHfsF

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かがち @Kagachi10202014

@makamikouya 「…え？いやあの、GTさん！ あたし、イヴェリアです！イヴェリア・アルバータ！ ここでよく働かせてもらってるし、あたしの家族もここに…」 尚も言い募るが、二人の表情は混乱が深まるばかりだ。 何かがおかしい。だが、それを冷静に分析できるほどの余裕はイヴにはなかった。 pic.twitter.com/IUiAWeU2Rt

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@makamikouya 「どうかしたのか？」 聞きなれた声が通路に響く。 「こんなところで口論とは珍しい。 困り事か？」 滝のように豊かな赤い髪 黒いシャツにスラックスの出で立ち。 そしてその横について歩く自分と良く似た面立ちの娘。 「義母さん！メノウ！」 ようやっと味方が現れた、とイヴが胸を撫で下ろす。 pic.twitter.com/QdUZwKEgAu

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@makamikouya 「…君は……」 しかし 「誰だ？」 グラディスとメノウが心底怪訝そうな顔でイヴェリアを見つめる。 「……え」 背中が冷たくなる。 膝に力が入らなくなる。 「……誰かは知らないが、ここは関係者のみの立ち入りだ。ロビーへ早く出なさい」

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@makamikouya 「受付をすればちゃんと宿泊できるはずだ。密航の疑いをかけられては嫌だろう？」 善意だ。全くの善意の言葉で、自身に忠告している。 そう理解した瞬間、何かがすっぽりと抜け落ちた。 眼前が暗くなり、思わず壁に手をつく。 メノウが心配げに見ているが、それももうわからない。

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@makamikouya あとはどうやって外へ出たのかわからない。気がついたら、レアルタの街中をフラフラと歩いていた。 pic.twitter.com/2UT0mXCY4d

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@makamikouya 「…今のは、誰だ？」 メノウが顎に手を当てて訝しむ。 「いや…私にもわからん。 …いや、待ってくれ。そもそも、どんな姿だった？」 グラディスの言葉に、その場にいた全員が顔を曇らせた。 姿が思い出せない。 髪の色も、顔形も、どんな服を着ていたかさえ───！ pic.twitter.com/XSHA5OchjY

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@makamikouya そうして レアルタを、そして世界を何か風のようなものが吹きすぎた時 【太陽の魔女】の存在を覚えている者、知覚できる者はいなくなった。 pic.twitter.com/1X7boEP8Jn

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かがち @Kagachi10202014

#30MMUKN レアルタ内の通路を歩く光里。 (ともあれまずは、【蛇ノ眼傘】に帰って…) フリアやレティにも長いこと会っていない。早く元気な顔を見せないと、心配しているだろう…などと考えていた矢先の事だった。 ふつ…と何かが斬れる感触。 馴染みのある妖気。 光里の背に冷たいものが走る。 pic.twitter.com/2E7taQRZ0R x.com/Kagachi1020201…

かがち @Kagachi10202014

#30MMUKNFMN 「いやあ…参りましたねえ」 レアルタのハンガーで、光里は呟いた。 眼前には大破した愛機、ストランジェが横たわっている。 前回の事件で無茶をしすぎたせいで、中枢がイカれてしまった。 四肢と頭部は比較的無事だが、大がかりなメンテが必須なのは間違いない。 pic.twitter.com/lwX233rvKO x.com/Kagachi1020201…

2024-06-08 12:24:10

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かがち @Kagachi10202014

「今のは……【橋姫】！！？」 やられた。何者かわからないが、間違いなく【橋姫】の力だ。 (…くそっ！！) 折られたのは把握している。 だが、切っ先が行方不明なのだ。 起動させるには膨大な妖力が必要なため、そうそう悪用もできまいと思っていたが、甘すぎた。 内心で毒づきながら、光里が走った。

かがち @Kagachi10202014

どこまで斬られた？ 確かめるために【蛇ノ眼傘】へ入ろうと、認証のための生体ロックに手を触れ── (……開か、ない……) 嫌な汗が吹き出す。 かなり深く縁を斬られている。 【橋姫】の本領は【縁切】だ。 込められた妖力で斬れる縁は変わってくる。こういった電子機器が反応しない、ということは… pic.twitter.com/4xqJbfjZQ4

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そもそも妖は機械とは縁が遠い。 それと縁を切るのは、不可能ではなかろう。 (…まずは、外へ出よう) 知り合いも多いこの土地だ。 誰と繋がっているかくらいは確認できよう……とその時。 「良かったね、フリア君。【シエンピエス】のこと」 「うん、ほんとにね。 少ししたら、帰ってくるみたいだし」

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少女と、少年の声。 ああ、知っている。知らいでか。 自らの養い子だ。とても、とてもだいじな…… 「フリ……」 「エルカちゃんも少しお茶でも飲んでってよ。詳しい話もしたいからさ」 楽しげに話す少年が、光里の横をすり抜ける。 まるでそこに誰もいないかのように。 pic.twitter.com/BOTiy9VraW

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かがち @Kagachi10202014

「いいの？じゃあ、お邪魔するね！」 少女も、こちらの姿が見えていない。 すっ、とそばをすり抜けていく。 そうしてフリアがロックを開け エルカと連れだって【蛇ノ眼傘】へと消えていき 光里はただ、その場でただ自失することしかできなかった。 pic.twitter.com/y8uJRmkIPr

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かがち @Kagachi10202014

#30MMNOG #30MMUKN 「……上手く起動したようだな」 【橋姫】の切っ先が納められたポッドの前で、【アクリス】が呟いた。 「これは、我々には影響がないのですか？」 少し後ろに控えていた【クレークル】が主に問う。 pic.twitter.com/dtkXVTvzYE

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かがち @Kagachi10202014

「そうだ。自らに仇為す者の縁を切る。今回は我々に敵対する【鵺】とイヴェリアの縁を切った。 近しい縁から深めに切ったつもりだが、加減が上手くわからん。 だがその内、連中の存在は誰にも認識できなくなる。 影響は恐らく【鵺】の方が大きかろう。もはや家族にはその姿、見てもらえまい」