「類は友を呼ぶ」怪談話

ジェイソンが出ると言われる2012年1月13日の金曜日に披露された、声優:岩永哲哉さんの実体験に基づく怪談話
0
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

13日の金曜日ですから…ツイッター怪談聞きたい人? ノ

2012-01-13 14:49:11
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

ジェイソンは今「川崎ラゾーナにいる」「あなたのすぐ後にいる!」など情報ありがとうございました。たくさんのご要望いただきましたので…13日の金曜日、ツイッター怪談…はじめる事にします。覚悟は良いですか? b

2012-01-13 15:10:24
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

…では過去にブログにアップした怪談をお話します。すべて実体験です。この間とは違い少し永くなりますが…ぜひお付き合いください。徐々に恐怖があなたを包んで行く事でしょう。そして話が終わったその時…何かが…あなたの……まわりで……

2012-01-13 15:17:05
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

養成所の仲間の住むアパートの一室に集まって、楽しむはずだった僕をおそった…突然の失恋。 辛い気持ちを吐露していた僕はこともあろうに、午前1時から3時まで怪談をし続けた。 お酒の力を借りていたのは確かだ。しかしなぜ怪談をしたのかは自分でもわからなかった。

2012-01-13 15:20:42
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

幸いにもそんな事で怯える仲間など、ひとりもいなかった。特に年上のA君はいつも通りニコニコして怪談を聞いてくれた。2時間もの怪談はあっという間に過ぎた。やがて…変化が起きはじめた。午前3時を過ぎたあたりだろうか?ひとつの話が終わり次の話をしようと思った時、仲間の一人が口を開いた。

2012-01-13 15:23:53
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

「てっちゃん…」その少し怯えたような声に、その仲間を見てみると顔が青くなっていた。 今まで楽しそうな顔をして話を聞いていた表情は一変していた。 「…てっちゃん。もうやめようよ。なんか…なんか…寒くなってきた。おかしいよ…」 その言葉にハッとした僕は他の仲間を見回した。

2012-01-13 15:25:29
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

すると…みんなが、両肘をかかえるように寒そうにしている。冷房などかけてないのに。しかも、夜中でも寒くなる時期ではない。 「うん。なんか急に寒くなってきて…おかしいよ。この部屋の空気も変わった気がする…」お酒に酔った僕にはその変化は分からなかったが、みんなが寒い寒いと訴えている。

2012-01-13 15:28:06
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

ここにいる僕以外が「何か」を感じとっていた。…ここで怪談は終了となった。 僕は飲みすぎたお酒のせいで気分が悪くなり、トイレに駆け込んだ。 やがて…夜が明けた。だがもし…夜が明けていなかったら、いったいどうなっていたのだろうか?

2012-01-13 15:29:13
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

それから一週間が過ぎ、レッスンの日がきた。レッスン場の扉を開けると、 あのいつもニコニコしたA君が僕の顔を見るなり、あわてて駆け寄ってきた。 「てっちゃん…参ったよ…」A君の顔に笑顔はなかった。 その目の奥に潜む恐怖の影を…僕は確かに感じ取っていた。

2012-01-13 15:31:26
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

それはあのアパートで、僕が午前3時まで怪談を続けた次の日の事。 A君は2時間も怪談を聞くはめになったけど…楽しかったなと家でくつろいでいた。前日の徹夜で、いくら若いとはいえ、さすがに疲れたA君はいつもより少し早めの10時過ぎに眠りについた。

2012-01-13 15:33:05
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

疲れからか…すぐに眠りにつけたのだが、何時だったろうか?ふと気がつき、 目を閉じたまま、妙な違和感を感じていた。 あれ?おかしい…体が動かない…そう、金縛りにあっていたのだ。 まずい。もともと霊感が強いA君は、何かが起りそうな「予感」を感じていた…。

2012-01-13 15:34:52
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

体をなんとか動かそうともがいてみたが自由は戻らない。 必死にもがきながら目を開けてみた。 すると…A君が寝ているベッドの正面の壁に…無数の人間の顔が浮かび、 へばりついている!

2012-01-13 15:35:55
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

「うあああああ!」 A君は声にならない声をあげた。 その顔たちは…苦しそうにもがく男の顔。悲しそうに見つめる老人の顔。憎しみをあらわにする髪の長い女。うっすらと微笑む子供の顔。ありとあらゆる「顔」が、無念の表情を浮かべ壁にへばりついているのだ。

2012-01-13 15:36:59
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

「うううううううううううう…」 まるで首を絞められたかのようにA君は苦しそうな声をあげた。 まずい!まずい!そう心で叫んだが声にならない。 消えてくれ!たのむ!!そう願うA君に、さらに追い打ちをかけた。

2012-01-13 15:37:55
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

…その無数の… …霊たちの顔が… 苦しみを…浮かべたまま… うなり声をあげて、 「はああああ…あああ…ああああ…」 一斉にこちらに近づいてきたのだ!!!

2012-01-13 15:38:17
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

「うわあああああああ!来た!」 様々な表情を浮かべた霊の顔が、 こちらに来る! どんどんA君の顔に近寄ってくる! このままでは… 本当にまずい… 必死にもがき、 なんとか右手だけが、 自由になった!

2012-01-13 15:39:03
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

A君はその手で、 枕元にあったコンポのリモコンで、 カセットテープを再生させた! …それはもう、 うごめく霊たちの顔が、 手に届くほどの距離にあった…瞬間だった。 やがて…レベッカの歌が、 けたたましい音で再生された。 …そしてA君は気を失った。

2012-01-13 15:39:35
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

朝、目が覚めると、 びっしょりと汗をかいていた。 あれは… 夢だったのかと思い、 コンポに目をやってみると、 レベッカのカセットは最後まで、 再生されていた。 あれは…現実だったのだ。

2012-01-13 15:40:03
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

「それ…本当なの?!」 思わず僕は口に出した。 無論、A君のその表情から、 確かめる必要などない事は、 分かっていた。 あのアパートで、 怪談をしている時に、 その話に様々な低級霊が、 集まってきたのだろう。

2012-01-13 15:41:38
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

だから… みんな部屋が寒い。 空気がおかしいと、 言っていたのだろう。 そしてあの部屋にいた中で、 もっとも感覚的に強い A君がすべて連れてかえって しまったのだろう…。

2012-01-13 15:42:06
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

「類は友を呼ぶ」 失恋して、辛い苦しいと思う マイナスの心が、 あの亡霊たちを呼んでしまった。

2012-01-13 15:42:53
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

波長が合う…などと言うが、 それは良い意味だけでなく、 悪いものにも言える事だったのだ。 自分のまわりには、 ろくな人間がいない… …自分は人に恵まれない… そう考えていたら… あなた自身が人に、 恵まれた存在と思われているか、 考えてみると良いのかもしれない。

2012-01-13 15:44:25
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

我に返った僕は、話を終えて少しホッとしている A君に言った。 「ごめん。僕が呼び寄せた霊を持って帰らせちゃって…でも…」 「でも…なに?てっちゃん」 「…でも…自分の家に来なくて良かった!!」 「こらっ。よく言うよ~。超怖かったんだよお」 ふたりは大きな声で笑った。

2012-01-13 15:47:36
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

人でも霊でも自分に見合った相手が目の前に現れる…。大きな教訓になった体験でした。

2012-01-13 15:49:11
岩永哲哉 @iwanagatetsuya

さて長々とお付き合いありがとうございました。いかがでしたか?こんな事言ってはどうかと思いますが…本当に怖くなるのは…夜になってからですよ……ええ。

2012-01-13 15:51:36