夜市にて

「夜市」で始まるついのべをまとめてみました。 もうちょっと増やしたいです。
0
雪月 @setugetufuka

夜市で迷子になった。親を探して見つけた「妖精の卵」と書かれた看板。いくつもの透明な球体の中で何か動いている。店主が「卵は子供の泣き声に弱いんだ。泣いちゃダメだよ」と一つわけてくれた。それなのに。親と再会して思わず号泣。妖精の卵はキラキラした粉に変わってしまった。 #twnovel

2011-11-06 23:10:40
雪月 @setugetufuka

夜市に出かけた。「月の兎」と書かれた看板に足をとめる。塗料のせいなのか薄く光る兎たち。連れ帰った1羽はいつの間にか光らなくなった。ある日、家に帰ると兎が窓の側で光っている。ふいに店主の言葉を思い出した。「満月には月光浴を」兎が月を見上げて嬉しそうに耳を動かした。 #twnovel

2011-11-09 22:32:36
雪月 @setugetufuka

夜市を歩いていた。「懐鏡」という看板に目が留まる。何気なく鏡を覗き驚いた。亡くなった母が映っていたのだ。店主の「映ったものには絶対に話しかけちゃいけない」という忠告付きで鏡を買った。ある日鏡の母に名前を呼ばれうっかり返事をした。鏡は割れ、もう母は映らなくなった。 #twnovel

2011-11-10 20:56:12
雪月 @setugetufuka

夜市に行った。満月に照らされた看板に『魔法の粉』の文字。「振りかけると体が浮きます」と店主が言う。試しますかと私にかけた。ふわり、と体が浮く。どこまでも。慌てる私に「月の兎が、餅つきの手が足りないって言ってきたんだ。バイト代は出すから」悪いねと店主が手を振った。 #twnovel

2011-12-06 21:43:00
雪月 @setugetufuka

夜市に行った。「時の欠片」の看板に足を止める。店には艶やかな石が並べられていた。店主は「蒼い石は夜、朱い石は昼の時間が1時間長くなる」と言う。朝の時間は需要が高く、なかなか出回らないらしい。私は悩んだ末に蒼い石を買った。だから今までより1時間多く寝ている…はず。 #twnovel

2012-01-13 21:06:24
雪月 @setugetufuka

夜市が立った。「お面」と書かれた店に並んだ狐の面に目が止まる。くださいと言って持ち上げると、その面には身体が付いていた。店主は剥皮刀を握りながら「耳は付けるかい?」と聞いてくる。慌てて丸ごと頂きますと言うと、自分でやるとは豪気だと大笑いして、料金をまけてくれた。 #twnovel

2012-01-16 19:52:18
雪月 @setugetufuka

夜市に出かけると「祈り紙」という看板があった。「祈りながら折るんだ」という店主に勧められ、彼との再会を祈りながら鶴を折る。出来はひどい。店主の苦笑に送られて店を出ると、鶴が飛び立った。えっ?と思ったら人混みの中へ落ちる。ぐしゃっと踏んだのは懐かしい彼だった。 #twnovel

2012-02-01 22:47:04
雪月 @setugetufuka

夜市で「幸せの種」を買った。店主は地面に蒔けと言ったがベランダの植木鉢に蒔いた。夜中になって馬車が生えた。植木鉢サイズ。これじゃ乗れない。しょげる私を馬車が引っ張り始めた。このままだとベランダから落ちる。振り払うと馬車が…私の幸せがどこかに飛んでいってしまった。 #twnovel

2012-03-06 22:30:32
雪月 @setugetufuka

夜市で見つけた「六周年記念」の看板。並んでいるのは液体の入ったガラス瓶。中には小さい何かが泳いでいた。店主の「彼らの呟きが聞こえるよ」の声に促され、蓋に耳を付ける。様々な感情や情報が流れ込んできた。すごい。長生きする? と聞いたら店主は「君次第だよ」と答えた。 #twnvday

2012-03-21 17:32:36
雪月 @setugetufuka

夜市で傘を売っていた。開くと内側が見事な桜模様。と、ひらりと花びらが舞った。店主は「その傘からは時々花びらが落ちるんだよ」と言う。半信半疑で買って帰り、夫の枕元に傘を差した。畳に散らばった花びらを見た夫が「春になったら桜を見に行こうか」と久しぶりの笑顔で言った。 #twnovel

2012-03-29 18:54:30
雪月 @setugetufuka

夜市で「罪」という看板を見つけた。店主は「あれは売り物の事じゃない。あんたには罪と読めるのか。じゃあその罪を買い取ってやろう」と言った。 #twnovel はっと気が付く。「大したことはしてなかったな。対価はあれだ」店主の指した先に、昔喧嘩別れしたあいつがいた。「よぉ。久しぶり」

2012-04-26 21:05:19
雪月 @setugetufuka

夜市で「夢」という看板を見つけた。店主は「あれは売り物の事じゃない。君には夢と読めるのか。ぜひその夢を買い取らせてくれ」と言う。私の夢? #twnovel はっと気が付いた。「これが君の夢から作った商品だ。どうぞ」クッキーだった。食べたら激痩せした。「太る方は有料だけど。買う?」

2012-04-26 21:55:08
雪月 @setugetufuka

夜市で『お好みの金魚作ります』という看板を見つけた。「紫のを」と言うと、店主は水を張ったタライに紫の絵の具を注ぎ始めた。絵の具は水に落ちると金魚を形作っていく。最後に注ぎ口からまっすぐ伸びた絵の具を糸の様に掴むと、金魚が風船みたいに浮かんでひらりと尾鰭を振った。 #twnovel

2012-08-01 23:16:11