<a class="info_title emj" href="https://togetter.com/li/250189" title="「ピアノマンで物語を書く」まとめ">「ピアノマンで物語を書く」まとめ

@sousakuTL それから、僕の世界は一変した。かわいいと思っていたウエイトレスに興味がなくなり、いつも２人で話し込んでいるポールとデイヴィの仲を疑うようになった。ついにはジョンとマネージャーに心配されてしまったが、理由は言えなかった。

2012-01-31 13:57:10

@sousakuTL 僕は後悔していたのだと思う。彼にされた全てのことに悪い気はしなかった。ただ、そんな自分にショックを受けはした。しばらくして考えがまとまってからは、彼に会いたくて仕方なかった。彼の名前を聞きたかった。彼がそうしたように、ちゃんと目を見て答えたかった。

2012-01-31 13:58:24

@sousakuTL 「――もうピアノはおしまいかい？」チップを入れた客に問われてはっとした。「いえ。では、お誉めいただいたお礼に何かリクエストでも」「じゃあ歌ってくれよ。何か聴きたい気分なんだ。わかるだろ？任せるからさ」「わかりました」

2012-01-31 13:59:15

@sousakuTL すっと背を伸ばして鍵盤に手をかざす。思い浮かんだのは、切ないけれど甘い恋の歌。彼がもう一度ここへ来てくれたら、僕はどこへだって行こう。それまではここでピアノを弾き続ける。死ぬまでこうしていることになるかもしれないけれど。【おわり】

2012-01-31 13:59:43

新矢晋 @sin_niya

ピアノマンSS。状況の説明かなり排除。まるっとご想像にお任せしております。言葉がちょい下品？//午後九時 | 新矢晋 #pixiv http://t.co/1rcGhyYx

2012-01-31 15:48:48

0 くすぶってる感が否めませんが、「ピアノマン」短編を投下します。1~8まで、1000字未満です。参考→https://t.co/mhVpSzN1

2012-01-31 17:30:56

1 土曜の夜九時、劇場に程近い、薄汚れた虹色のオイルみたいなこの店。普段はもっとどんちゃん騒ぎだけど、今日はなんだか品が良い。そう言えば今日があの舞台の千秋楽だっけ。するとこの老人も俳優だろう。あんまり呂律の回らぬ口で、ぼくに昔の話をする。みんなが店の顔なじみだ。

2012-01-31 17:31:35

2 バーマンのＪとはよく話す。気が利いているいい奴だ。あいつはぽつりと呟いた。 “俺はここでいいんだよ。どうせここから出られないんだ。まあ、もしもここから抜けだせたなら、俺も舞台のスターになれるさ。” 結局カウンターから出ようとしないのをぼくはちゃんと知っている。

2012-01-31 17:32:06

3 そこにいるＰは物書きで、物語に取り憑かれてる。そのくせ全然売れないもので、だからずっと独り身だ。Ｄは物語にはまるで関心無いけど、たまにＰに会いに来ては新作を見せて貰ってる。曰く、Ｐの文だけは読めるらしい。酒を呑み交わして作者と読者は談義する。

2012-01-31 17:32:37

4 つまり三つの人種に分けられる。物語を必要とする客と、役者や作家みたいな表現者。そしてぼくたち、店の人間。舞台なんていう残念な絆でつながるわけだが、でもみんな酔いたいって気持ちは変わらない。誰だってたまに色んなことを忘れたくなる。だからこの店が必要なんだ。

2012-01-31 17:33:03

5 チップをくれた誰かが語る。顔立ちからして、役者だろう。“なんでこんなところにくすぶってんだ？　君なら舞台にも上がれるぜ。”ぼくはにっこり答を返す。“物語はひとを励ますだろう？　でも物語を励ますひとはいない。だから、ぼくがあんたを歌うのさ。”“それじゃ、誰がお前を励ますんだ？”

2012-01-31 17:34:06

6 それは言いっこなしだよってぼくは笑ってごまかした。役者は困ったようなはにかみ笑顔で、今度舞台に来てよと言った。たまには観客に甘んじなよって。 “歌ってくれよ、ピアノ弾きさん。今夜は何か聴きたいんだ。わかるだろ？　任せるからさ。……おれの知ってる歌は忘れちゃったから。”

2012-01-31 17:34:34

7 そうやって役者は目を閉じた。バーマンも演技者も観客も抱える孤独は変わらない。物語は孤独を引き寄せるから、そういう奴らを舞台は呼ぶ。ぼくらは舞台でつながっている。たまに舞台につかれた奴がこの店に酔いにやってくる。この店はそういう、舞台裏なのだ。

2012-01-31 17:35:23

8 なあ、君は誰なんだって、役者に訊かれたような気がした。奏でるぼくは聞こえないフリ。あんたが役者であるのと同様に、ぼくはただのピアノマンさ。

2012-01-31 17:35:58

だめですね、即興は。難しい。そして新しい世界を作るのも苦手です。そして何より時間オーバーです( 一時間なら400字が妥当じゃないか)　みなさんもぜひおためしくださいね! https://t.co/RgvBGAxY

2012-01-31 17:41:56

小森一木 @komori_itiki

ピアノマンＳＳ企画「ビリージョエルのピアノマンを聞いて物語を書く」で私も短編を書いてみました→（http://t.co/rJKLq8li）　他の方の作品が読めるまとめページはこちらです→（http://t.co/oj95FBZv）

2012-02-01 01:17:16

月明かりすら飲み込みそうな夜空の日には、呼び声がするような気がするんだ。ピアノから一番近い席にぐったりと深く腰掛けた男が言った。ジントニックと、この騒がしくて薄暗い店が呼んでるのさ――。酒の臭いのする声で誰にともなく。　1

2012-02-01 01:06:59

店に来るお客は大体常連の連中で、誰も彼もいい奴で、そして皆どこか孤独だった。それもそうだろう。土曜の夜に家へも帰らずこんなところで飲んだくれてる奴らなんて、そんなものだ。そしてそれは僕にも言えることだった。　2

2012-02-01 01:07:13

飴色に濡れたように光る鍵盤を叩く。白と黒に影が躍る。「ピアノマン、お前さん、昔の流行り歌はいけるかい？」グラスを傾けながら男が言った。名前なんてのは忘れたがこういうやつさ、と、口ずさむ。　3

2012-02-01 01:07:36

カウンターの内側でジョンが笑った。「お客さん、耳がいいビルでもそれは難題だ」「そうかね？」「そうですよ。ただでさえ今日はみんな騒がしいのに」釣られて笑ってしまうようなジョンの笑みに、男は苦笑を返す。　4

2012-02-01 01:07:48