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これは成長でも英雄でもない-ギリシャ神話の英雄ペルセウスと新劇場版「破」の碇シンジの比較検証-

ユング=ノイマン的解釈における「英雄たる条件」の解析。果たして本当に碇シンジはスーパーヒーロー化したのか?本当に何か変わったのか?英雄神話の模範ともいえるペルセウス神話と比較しつつ検証する。この後に続く展開は関係なく、現段階で分かっていることだけを元にして分析します。(未完・続く) ※このトゥギャッターが発端となってツイートされたもの。 『ギリシャ神話的観点からみた旧作エヴァ-碇シンジ=テセウス?- 』 http://togetter.com/li/26316
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@Abraxas_Aeon

目の前に使徒に乗っ取られた3号機が現れ、それにまだアスカが乗っていることを知り、シンジは戦えなかった。3号機[=使徒]に首を絞められても「アスカを殺すよりは(自分が殺されるほうが)良い」と言い、旧作同様にシンジには全く戦意がなかった。この台詞には第三の選択肢が考えられていない。

2010-05-31 21:21:57
@Abraxas_Aeon

この「第三は存在せず!」的な発言。彼の選択肢には何故か「アスカを殺すか自分が殺されるか」の二択しか考えられていない。「使徒を倒して囚われの身となっているアスカを救う」という第三の選択肢が、彼には全くなかった。

2010-05-31 21:28:35
@Abraxas_Aeon

シンジにはペルセウスのような、ポセイドンの怪物のために囚われの身となっているアンドロメダを救う事と、その怪物を倒すことを同時に成し遂げて見せようという義侠心などなかったということだ。彼にはメデューサの首の代わりにエヴァの力があったにもかかわらずである。

2010-05-31 21:35:13
@Abraxas_Aeon

そして、ユング=ノイマン的解釈に即して彼の「自分が殺される方がよい」ということを考察すれば、これは太母ウロボロス龍の呪縛の内に、それが要求すること、即ち去勢・自殺・八裂きにされる[=太母ウロボロス龍に男根を差し出す]ことを自ら是とするものの謂いである。

2010-05-31 21:45:47
@Abraxas_Aeon

新劇においては旧作のような第一使徒アダムの存在が明瞭でない。しかしポセイドンとメデューサが愛人関係にあり、尚且つポセイドン(或いはその怪物)が太母メデューサに属し、太母ウロボロス龍の男性的-破壊的側面が独立したものだというのは、この場合リリスを目指す使徒において該当するといえる。

2010-05-31 22:00:16
@Abraxas_Aeon

この見方は、アスカの位置づけを怪物の支配下にあって救済を求める「囚われの女性」[=上なる女性]と見立てるものである。この位置づけは、先に述べた「囚われの女性」の特徴→http://ht.ly/1S2BMに一致しているものと考えられる故である。(これは旧作とほぼ変わらない)

2010-05-31 22:22:00
@Abraxas_Aeon

これに対して、レイの場合はその設定からしても台詞からしても、シンジとの関係においては「下なる女性」、即ち男性の近親リビドーを刺激して、個人・自我を無意識の中に拘留し、彼をウロボロス内での「神秘的融即」、ウロボロス近親相姦へと固着させる性質を持った女性である。

2010-05-31 22:38:46
@Abraxas_Aeon

両性的太母ウロボロス龍の男性的-破壊的側面が独立したものといえる使徒[≒ポセイドンの怪物]に拘束されたアスカ[=アンドロメダ・囚われの女性]という見方において、シンジの選択肢にしろ製作者側がアスカに使用用途がないから犠牲にするとした意図にしろ、初めから救出する気がない。

2010-05-31 23:03:12
@Abraxas_Aeon

これはユング=ノイマン的に見れば「囚われの女性[=上なる女性]あるいは他所の女を救出する」ということについて異常なまでに無関係的で無関心だということだ。http://ht.ly/1S42g←これは、次の使徒が襲来した時のシンジの行動・台詞において一層明らかなものとなる。

2010-05-31 23:28:15
@Abraxas_Aeon

使徒[=太母ウロボロス龍の男性的-破壊的側面が独立したもの]によって囚われの身となったアスカは、実際にはシンジに見捨てられている。既に述べた通り、アスカを殺すよりは自分の死を、という時点で、この使徒のなすがままに、創造的な個人[=英雄]であることを放棄しているのだ。

2010-06-01 22:15:21
@Abraxas_Aeon

ここで自我-意識の活動に働きかけるアテナ的存在がいればまだ望みはあったかもしれない。しかしあの場にはそういう存在は誰もいない。そういう役割を果たしうるような「声」をかける存在すらいないのだ。ちなみにゲンドウの言は「龍との戦い」を強いる否定的な父親の言だと取れるかもしれない。

2010-06-01 22:18:23
@Abraxas_Aeon

ペルセウスが、海の怪物と戦って勝ち、アンドロメダを救出したことは、「龍との戦い」に勝利して男性たることを証し立て、族外的な上なる女性を伴侶としえたということだ。これは彼が母元型からアニマを分離し、大人の仲間入り[=族内婚的な近親リビドーの拘束からの解放]を果たしえたということだ。

2010-06-01 22:19:05
@Abraxas_Aeon

これに対してシンジの場合は、彼の族外で上なる女性になりえる解放・救出されるべき囚われの女性となったアスカを目の前にして、自身の死[=自己去勢・自殺・創造的な個人であることの放棄]を選択し、挙句ゲンドウによる命令介入→ダミープラグによる擬似的な暴走を引き起こさせてしまった。

2010-06-01 22:20:58
@Abraxas_Aeon

ここには二重にたとえられる要素がある。まず、シンジが自分の死を選択したということについて、これはペルセウス神話に照らすならば、ペルセウスが囚われの身となっているアンドロメダを前にしつつ、現れた怪物を相手に戦意を見せずに彼女もろとも自分も死ぬことを選ぶということである。

2010-06-01 22:21:43
@Abraxas_Aeon

もう一つは、ダミープラグによる初号機の擬似的な暴走を引き起こさせてしまったこと。これは自分の目の前で縛られているアンドロメダをポセイドンの怪物の手に委ねて食わせてしまったも同然である。この場合、怪物[=太母ウロボロス龍の破壊的な側面]の位置づけが使徒から初号機に替わっている。

2010-06-01 22:22:09
@Abraxas_Aeon

これは結局シンジの意識と自我が、原両親の圏内に捕えられており、原両親との対決に巻き込まれているだけで、救い出すべき囚われの女性を救い出さず、男性たることを証立てる「龍との戦い」に失敗し、大人の仲間入り[=族内婚的な近親リビドーの拘束からの解放]を為しえなかったということだ。

2010-06-01 22:24:05
@Abraxas_Aeon

これはペルセウス神話と全く逆といっても過言ではない。そしてこの無様な「龍との戦い」の失敗を、今度はおおっぴろげに全力で肯定しようとしてしまうのが、よくスーパーヒーローとか熱血と受け取られている次の使徒との戦いでの、綾波レイを挟んだシンジの行動と台詞であると考えられる。

2010-06-01 22:25:06
@Abraxas_Aeon

「怪物と闘う者は、そのため己自身も怪物とならぬよう気をつけるがよい」といったのはニーチェだが、あの場合は太母ウロボロス龍と闘う者は、太母ウロボロス龍に呑まれぬよう気をつけなければならなかったのではないかと考えられる。

2010-06-01 22:28:43
@Abraxas_Aeon

シンジの場合はいとも簡単に自分が怪物になってしまうし、また太母ウロボロス龍にも簡単に呑まれてしまう。それが明らかだったのが前回の「龍との戦い」の失敗だった。これが次には「全力で綾波レイを救出しようとする行動」において、全ての破滅をもたらしかねない危機的事態を起こす形で顕わになる。

2010-06-02 20:54:50
@Abraxas_Aeon

前回の「龍との戦い」の試練に失敗したことで明らかになったのは、まず、シンジの意識・自我が未発達であり、彼が自らを無意識的に太母に捧げる男根と同一視している「下なる男性性[=地上・男根段階]」に留まっていて、「上なる男性性[=天-精神段階]」の確立に失敗したということ。

2010-06-02 20:55:37
@Abraxas_Aeon

アスカを大切な人といい、自分の手で傷つけさせた件について、シンジはゲンドウを責めたて、ネルフ施設をエヴァで踏みつけるという暴挙に出る。これは当に意識の未発達な自省的態度のない子どもの地団駄というものだ。大切な人なら何故第三の道について考えなかったのか、彼は考えもしないのである。

2010-06-02 20:56:04
@Abraxas_Aeon

(ちなみにあのような地団駄は、スキゾ・パラノの庵野不在の座談会に出席していた他のスタッフの庵野秀明本人についての発言と一致していたから、個人的には全く笑えなかった)

2010-06-02 21:29:11
@Abraxas_Aeon

ゲンドウの「大人になれ」という言葉。それを「ゲンドウ、お前が言うか?w」とも皮肉れるが、「自分にはなにが大人なのか分からない」と返答した言葉も、これは思春期儀礼としての「龍との戦い」に失敗した者の捨て台詞だともいえる。

2010-06-02 20:57:56
@Abraxas_Aeon

そして綾波レイを間に挟んだ次の使徒との戦い。これは「龍との戦い」の失敗のダメ押しである。彼においては龍との戦いに失敗していて、上なる男性性が確立されていない。ネルフを離れたとはいえ、彼は未だ男性の原始的心理の特徴である近親リビドーの拘束から己を解放しえていないのである。

2010-06-02 20:59:05
@Abraxas_Aeon

レイは設定的にシンジとの関係において「下なる女性」であることは述べた。彼女はアスカとは違い、設定的にも彼の族内の存在である。彼女もまた、最強の拒絶タイプとしての使徒に零号機ごと使徒に捕食され、取り込まれてしまう描写があるが、この場合はアスカが囚われの身となったのとは意味が異なる。

2010-06-02 21:00:07
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