日本人とアメリカ人　為末さんの考察

爲末大 Dai Tamesue　熟達論発売中 @daijapan

おはようございます。今日は【日本とアメリカの自分の有り様】について。日本人の長所と短所というリクエストが多かったのですが、長くなるので細切れでテーマにしていきます。

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最初にサンディエゴに来たときは、多くの人がそうだろうと思うけど、人々が独立し、個の意見を持ち、お互いを尊重し、自由だなあと感じていた。もう三年になるけれど、ちょうど去年の年末位から少しずつアメリカ的な自分の存在についての考え方にふと特徴を見いだすようになった。

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移民ではなく、アメリカで育った人は、すごく強固に自分の存在を信じて疑わない。というよりも教育の根幹にbe your selfとあるから自分がそもそもないと自分自身でいられないし、途中で疑う事もない。簡単に言うと気付きとか内省とか、ひっくり返して自分すら疑うという局面が少ない。

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例えば僕の足が速いとしても、生まれてこのかた無人島で一人でいたら、どうやって足が速いとわかるんだろう。自分がこうだと思っているもののほとんどは人との比較、相対的なもので決まっていて、誰とも比べないと特徴はない。反対にいうと自分が出てくるには誰でもいい、比較する対象がいる

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アメリカ人の議論好きは、自分や自分の意見を何かと戦わせる事で、自分と確かめるという要素が強いと思う。be yourself が根幹にあるから、自分がないかもしれないというアイデアを持ってしまうと全部の前提が崩れてしまう。だからそれはたぶん考えがたい事なんだと思う。

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例えばその意見に反対だと思って、反対を主張する。ここ迄のスキルをアメリカ人は高めるのだけれど、日本人はそもそもなぜ自分は反対だと思うのかという内省に踏み込む。相手に感情的違和感があるのか、過去に何かあったのか、もっと深い所に本当に理由がありはしないか。そういう視点を持っている

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もちろんいろんな日本人もアメリカ人もいるし、一括りなんてできないだろうけど、傾向を語るならサンディエゴでは少なくともそんな傾向があるような気がする。こちらに４０年住んでいる中国人のおじいさんとその事を話したら、目を丸くしてなるほど君はアジア人だと言われた。

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【まとめ】自分でいる事が争う事であるなら、自分なんていなくてもいいんじゃないか。だからアジア的な、もしかすると日本的な、自分がいないかもしれないと悩んで小さくなる、私達の脆さを、愛おしく思うし、その葛藤が自分の中にある事がありがたいなと、僕は思う。