原発事故被害者の適切な救済を実現するには

京都の大学で法律を教えている@TAKASHIMA724さんの指摘
52
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(1)先に,@Todaidonさん,@hayakawayukioさん,@kentarotakahashさん宛てのツイートで,被害者の適切な救済を実現するには,東電に対する損害賠償請求活動(訴訟を含む)戦略が必要であると書きました。現時点で法律家として思いつく点を記しておきます。

2012-02-17 17:29:09
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(2)本来一番望ましい法的対応は,(a)特別法を制定し,(b)これに基づいて今回の事故被害の特質に応じた迅速で適切な補償を行い,(c)その補償額を事後的に東電に求償する,というシステムです。しかし,国はこのような方策をとろうとはしていません。

2012-02-17 17:29:40
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(3)「原発被災者の権利保護法」を制定する動きがあるようですが,現時点での報告によると,適用対象は年間放射線量5.2mSv以上の地域の住民や出身者に限定されるようですので,いずれにせよ完全な救済にはつながりません。この法案の内容については→http://t.co/jscsuFBq

2012-02-17 17:29:58
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(4)それどころか,作付け制限に関しては,国は作付けを制限するが補償はしないという対応です。土地と家屋の損害賠償もまだ手が付けられていません。健康被害の可能性については,明確な言及すらありません。

2012-02-17 17:30:12
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(5)このままでは,被害者は今後も長期にわたって将来の見通しのつかない状態のままです。被害者の置かれた状況についての私の認識は→http://t.co/fssyYim7

2012-02-17 17:30:26
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(6)歴史を振り返ると,過去の多くの公害事件で,被害者が法的手段に訴える前に,加害者や国が自発的に被害を回復した例はほとんどありません。多くの事例では,国や地方自治体は被害を知りながら放置してきたのです。豊島の産廃問題が典型的です→http://t.co/lFLLydov

2012-02-17 17:31:23
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(7)したがって,今後,国の方針が大きく変更されない限り,私は,今回の被害救済についても,東電に対する集団損害賠償請求活動が最も効果的な権利救済手段であると考えます。南相馬市の一部の地区は,集団でこの活動に取り組みつつあります。

2012-02-17 17:31:44
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(8)東電(及び国)に対する損害賠償請求は,おそらく数年~数十年にわたる戦いになります。このことは,先に挙げた水俣病や豊島(てしま)の歴史が既に示しています。水俣病では,被害の報告から50年以上経った現在でも,なお完全な被害の救済は完了していません。

2012-02-17 17:32:01
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(9)さらに,今後生じうる被害は,生産物が作れない/売れないことによる営業損害に限定されません。土地・家屋の価値低下,健康障害や死亡による治療費ないし逸失利益,ひいては故郷で積み重ねてきた日常生活そのものの喪失。これらが今後,次々と被害者に降りかかってくる可能性が大です。

2012-02-17 17:32:15
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(10)このことを考えれば,当座の生活の安定と将来への見通しを得るためには,先を見据えた東電との継続交渉は避けられないと思います。その際,1人で交渉してもダメということは既に指摘しました。

2012-02-17 17:32:28
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(11)賠償請求活動のタクティクスとして,次の点が挙げられます。まず,活動主体(訴訟では原告団)をしっかり形成することが必要です。長期にわたる交渉,訴訟になります。団結をしっかり固めないと,途中で崩壊してしまいます。

2012-02-17 17:32:41
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(12)活動主体の形成は,市町村ごとに,地方自治体を中心として行うのが適切だと思います。今回の被害は,地域ごとにある程度の同質性があるため,地域ごとの集団交渉・集団訴訟になじみやすいからです。

2012-02-17 17:33:09
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(13)専門家の援助を仰ぐことが必要です。南相馬市もそうですが,集団交渉(集団訴訟,公害訴訟)に詳しい弁護士さんに助力をお願いするか,あるいは少なくとも継続的にアドバイスを得られる体制を作る必要があります。

2012-02-17 17:33:18
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(14) そのためには,地域ごとの弁護士会や日本弁護士会に協力を依頼するのが適切です。その他,学者や医師の協力を得られる体制を準備することも重要です。被害が今後明らかになり,交渉(訴訟)が進むにつれて,学者の意見書や,医師の鑑定書が必要になりうるからです。

2012-02-17 17:33:33
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(15)損害の把握については,過去の公害事件で用いられた「包括請求」「一律請求」の手法が参考になるでしょう。これらの請求方式については,私も過去に論文を書いたことがあります。分かりにくい論文ですが,参考のためアップロードしておきます。→http://t.co/782SMQ2L

2012-02-17 17:33:47
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(16)暗い話ばかりしましたが,明るい話もあります。SNSの普及です。現在では,ツイッターをはじめとするSNSによって,市民がひろく情報を収集・発信し,様々な専門家や技術者と連携して活動を進めることが可能になっています。

2012-02-17 17:34:03
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(17)医師,弁護士,不動産鑑定士,司法書士,農政関係者,医学者,物理学者,法学者などがツイッター上で連携すれば,賠償請求活動を支える体勢を作ることも可能です。この方法で,被害者と市民との協働を実現することこそが,今後のツイッター上の活動で求められることのひとつだと思います。

2012-02-17 17:34:42
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(18) すなわち,従来のツイッター活動は自分や家族の身を守るための情報収集活動が中心でしたが,現在では,ツイッターがネット署名などの積極的な社会活動に向けたきっかけとして使われています。

2012-02-17 17:35:21
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(19)今後,ネット上で連携して被害者を支援することもまた,この原発依存社会を変えていく大きな動きにつながります。

2012-02-17 17:35:33
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(20)残念ながら現在のところ,汚染状況の明確な共通認識が得られていないため,国民同士,被害者同士が反発し合う事態に至っています。これでは加害者の思うツボです。水俣裁判にかかわられた医師の高岡先生@st7qは,この点を指摘されています。→https://t.co/lrcsMSLi

2012-02-17 17:37:16
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(21)詳細は,2月1日の以下のツイートから始まる高岡先生@st7q の一連のツイートを参照して下さい。→https://t.co/lef7MJXf

2012-02-17 17:37:28
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(22)フリーの電子書籍「原発と放射線」で有名な中山先生@nakayamamikio もまた,生産者と消費者の分断、被災地と非被災地の分断は,東電と国を利するだけであると強く指摘されています。→https://t.co/dvujMk4x

2012-02-17 17:38:06
TAKASHIMA Hidehiro @TAKASHIMA724

(24)学者や実務家をも含めた市民の動きを被害者支援という形で具体的に結実することができたときに初めて,われわれ市民は,東電や国と対峙してその責任を明らかにしうるのだと思います。

2012-02-17 17:38:55