『ロスチャイルド家~ユダヤ国際財閥の興亡~』横山三四郎著 のまとめ
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『ロスチャイルド家~ユダヤ国際財閥の興亡~』横山三四郎著 のまとめです。せっかくなので「はじめに」から始めていきます。
2012-02-29 21:38:241.「はじめに」……ロスチャイルド家の歴史は200年を超える。初代は、マイヤー・アムシェル。彼は死に臨んで五人の息子に束ねた矢のように力強く結束し力を合わせるように言った。そして、息子たちはその教えを守ってヨーロッパで最大・最強の金融王国を築いていく。
2012-02-29 21:38:382.五人の息子たちは、フランクフルトからロンドン、パリ、ウィーン、ナポリの主要都市で巨額の富を築いていった。ロスチャイルド家の繁栄は、この国境を越えた連係プレーおよび広域な情報網によって確立されていった。
2012-02-29 21:38:523.今から2世紀を遡ると、そこには幾多の戦争・革命・恐慌・為替変動などの一大事があり、多くの権力者がそれによって消えていった。しかし、ロスチャイルド家は、今なお、大きな影響力を持って生き残っている。
2012-02-29 21:39:024.「第一章 歴史を彩る」……ロスチャイルド家は、ヨーロッパの主要都市で財を成している。彼らはロンドンの本家、各地の分家に関わらず豪邸や別荘を建設し贅の限りを尽くした。しかし、近年では国家の税制には彼らも従わなくてはならず、相続税対策としてこれらの多くを手放している。
2012-02-29 21:39:145.彼らが手放した資産は、歴史的な建物や名勝の保護団体であるイギリスのナショナル・トラストに寄贈され、一般公開されている。ロスチャイルド家であっても国家の税金は免れないという一端である。
2012-02-29 21:39:256.彼らの行う事業は、手広い。我々に身近なところでは、フランスのボルドー産ワイン第一級格付けのうち2つがロスチャイルド家のもの。そのうち一つムートンは、ロスチャイルド家が乗り出して後から新しく第一級格付けにしてしまった。
2012-02-29 21:39:347.一方、ロスチャイルド家は、当然、国家的な政策にも関与する。その一例としてスエズ運河がある。スエズ運河の建設に際して、イギリス政府はその出資に協力しなかった。結果として、ライバルのフランスがスエズ運河通行の実権を握るようになる。
2012-02-29 21:39:438.イギリスの植民地であるインドなどの植民地への海運では、スエズ運河は至便。もはや、喜望峰まわりの航路などありえない。イギリスの船舶はこぞってスエズ運河を通るようになった。結果として、イギリス政府は、通商においてフランスに頭が上がらなくなってしまった。
2012-02-29 21:39:529.このイギリス政府の判断ミスをロスチャイルド家がフォローした。建設費の借金にあえぐエジプト総督から、隠密裏にスエズ運河会社の株式を大量買収する段取りをした。そして多額の出資をし、フランスを出し抜いてイギリス政府による株式買収を成立させた。
2012-02-29 21:40:0010.この後、イギリスとフランスは、財政破綻したエジプトの国家管理に関与していく。当然、財政再建のため多額の資金が必要になったが、その元手もロスチャイルド家によるものであった。
2012-02-29 21:40:1411.ロスチャイルド家は、エジプトのツタンカーメン王墓発掘のスポンサーでもある。この発掘においては、ハワード・カーターという考古学者と、それを資金面で支えるカーナボン卿という人物が有名だ。
2012-02-29 21:40:2312.ところが、実際のところ、カーナボン卿の資金は、奥さんのアルミナ夫人によるものであった。アルミナは、ロスチャイルドのイギリス分家のアルフレッドから多額の持参金を与えられてカーナボン卿と結婚。カーナボン卿の借金をも帳消しにしたといわれる。
2012-02-29 21:40:3113.アルフレッドは、アルミナの親ではないため、なぜ他の家の娘に多額の持参金を準備したのか、色々と噂されたが、真意は不明である。いすれにしても、世紀の大発見を裏で支えたのはロスチャイルド家であった。
2012-02-29 21:40:4114.前述のとおり、ロスチャイルド家の初代マイヤー・アルムシェルは、自らの死に臨んで、5人の兄弟に向けて「五本の矢」の話をしたといわれる。1本では簡単に折れてしまう矢も5本束ねれば全く折れない、という内容だ。以後、この「五本の矢」はロスチャイルド家の家訓となっている。
2012-02-29 21:40:4915.兄弟の結束を望んだ初代の遺言には、このほかに周到な裏がある。それは「父の遺言を守らなかったものは全権没収」「事業の継承権は息子のみ。娘やその夫は除外」というものである。特に、後者の家訓はロスチャイルド家独特のもの。家父長制の伝統を持つユダヤの考えがにじむ。
2012-02-29 21:41:0217.ウィーンの三代目アンセルムはその遺言で「裁判所その他による財産の調べについては、いかなる状況であっても行ってはならない。また遺産の評価についてもいかなる法的措置も、いかなる形での公表もこれを禁じる」としている。
2012-02-29 21:41:2418.しかし、このようなことが許されたのは、税制が発達していない19世紀のことである。長い間、直接経営をせず経営内情を秘密にしてきたロンドンの銀行も現在では会計報告を公開している。
2012-02-29 21:41:3319.ロスチャイルド家は、同族結婚でも有名である。パリ在住のジェームズが、ウィーン分家の次男の娘(すなわち姪)と結婚したのを皮切りに、近親婚が相次ぐ。初代マイヤーの孫は全部で18組結婚したが、そのうち16組が従兄弟従姉妹結婚である。
2012-02-29 21:41:4320.このような傾向はヨーロッパの王家ではよく見られる。政治的理由に加えて、釣合う相手が見つからないためだ。ロスチャイルド家の場合は、これにくわえて財産の散逸を防ぐためと、一族の中に他人を入れたくないという思惑があるようである。
2012-02-29 21:41:5221.また、ロスチャイルド家にはユダヤ人(ユダヤ教徒)と結婚する不文律がある。特に息子に対してそれは厳格に求められる。結束を乱す要因(宗教対立等)を回避するためだろう。一方、娘に対してはそれほど厳格ではなく、ユダヤ人以外との結婚も許される。
2012-02-29 21:42:0122.ロスチャイルド家は、金融業に関わる人だけを輩出しているわけではない。コレクターが講じて博物館を立てた人やピアニスト、女優などがいる。また、競馬の馬主としても有名。重賞レースでの優勝馬は数え切れない。いずれも膨大な資産が元手になっている。
2012-02-29 21:42:09