かの「電界の魔女」がそれに触れることに慎重であったのは、彼女がそれをある程度以上に理解していることの証左であり。そのことと、郊外に新築される市の総合文書図書資料館との関連を知るものはそう多くはない。が、緊急提議がほぼフリーパスで通るくらいには喫緊の非常事態らしかった。
2012-01-17 03:36:07夢のない話をしよう。それは人工的な結界の話。地下十数階にも及ぶその建造物は、それ自体が幾層にも重ねられた物理的エネルギー的、論理的……そして形而上的防壁の塊だ。この世の一切がその中に干渉し得ない場所。世界で最も、静かな場所。神にさえ聞かれてはならない密談のための場所。それが。
2012-01-17 03:41:21永劫、久遠よりも遥か遠く。宇宙のすべてが完全な平衡状態、すなわち熱的死を迎えたとしても。それさえも統合意思総体は是とするだろう。形而上の瞬きが量子ゆらぎを生み、それが無を再び滾る真空に返すまでの、ほんのひと時のことに過ぎないのだから。いかに抗っても、それはいつか必ず来るものだ。
2012-01-17 05:22:41そう、かつて、と。知的生命の情動から生まれる形而上的負荷を利用して必然の滅びを回避しようと、それは必死な種族も居たか。ほんの一時凌ぎに過ぎないのに、そのようなことで世界の寿命など変わる筈もないのに。無論滅びたとも、それはもうなす術も無く呆気なく。
2012-01-17 05:33:09面白いものを、最期の最後に視せてくれるものね。ああ、これを誰にも伝えることが出来ないなんて。安心なさい、魔法少女(わたしたち)。「救済は、既に成されました」そのひと言を遺して。稀代の預言者、白の女王、そう称えられた魔法少女は消えてゆく。彼女は何を、最期に視たと云うのか。
2012-01-17 17:52:51「ねえ。無限に等しい有限と、真の無限と。この二つをキミ達人類は区別できるかい」「……どういうこと」「読んで字の通りだよ。恐らくそれが……その先に待つ答えだ。成程、"彼女"だとすれば可能かも知れないが……それでも、限界はあるはずだ」
2012-02-02 22:51:59「そうだね。それはかつてキミが願い望んだ力だ……と云うことになる。ならばあるいはキミのどこかにそれは眠っているのかも知れない。形は違っているかも知れないけれど」
2012-02-08 02:42:30弓と円盾がトレードオフだと云う。ならば本当に願えばひと時でも借り受けられても良いのでは無いか。「左手の甲を中心に浮かぶ魔法陣。回転しながら、その外縁に光輪を描く。翻した掌の上で二重螺旋のように捻れながら紡がれる光輪はリボンとなり、その手に舞い降りるや漆黒の弓に変じた」
2012-02-20 06:00:03(主観)時間制限付きの時間停止能力。一度発動すれば主観時間において(合計で)一定の間、時間流からの逸脱を可能とする。その期限は円盾の砂時計が落ち切るまでであり、一旦落ち切れば能力の回復(反転)までに一定の期間を必要とする。また、必ず落ち切ってからでないと反転(回復)は出来ない。
2012-02-20 06:10:03くらいの制限はあるものの、弓を封印することで一時的に本来の能力を取り戻す……と云うのも悪くないかも知れない。「手離した魔弓は輝き、虚空に円と直線からなる奇妙な図形を描く。それは回転し、折り重なり、確かな質感を伴いながら彼女の左腕に還ってきた。『ちょっと、返して貰うわね、——』」
2012-02-20 06:21:43”可哀想なあの子たち、他の全てを犠牲にしてまで終りを引き延ばそうとして——それも、叶う訳ないの。ええ、決して、決してその行いは無駄ではなかったわ、でも、それでも”
2012-02-28 04:45:42”そう。まさにあの子たちの云う通り——エントロピーの問題だった。世界の、宇宙のエントロピーが限界に達した時、この世界に動くものは存在しなくなる。一切のエネルギーが、失われるから”
2012-02-28 04:48:14小ネタ