理想的な「共同統合」運用、更には「危機管理」のあり方を目指して

内容参照。
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fj197099 @fj197099

【東日本大震災】将来の大地震に生かせ 陸自が震災活動の教訓を報告(http://t.co/4n5AbyeM)…共同統合(combined joint)運用という言葉をご存知だろうか。軍事用語で共同とは多国間の協力を指す。そして統合とは陸海空など異なる軍種間の協力を指している。

2012-03-08 21:35:31
fj197099 @fj197099

もともと、軍というのは陸海空などそれぞれ異なる軍種が別個に出来ている。自衛隊も陸上、海上、航空はそれぞれ別の組織であって、独立した運用が行われている。しかし戦闘が多元化・複雑化した今日、単独の軍種だけで戦闘が可能な状況などまず存在しない。そこで異なる軍種間の協力が必要になる。

2012-03-08 21:37:24
fj197099 @fj197099

これが「統合」である。一口で言うがこれは非常に難しい。陸海空にはそれぞれ異なる思考があって調整は極めて困難だ。戦前の旧日本軍が陸海で相当大喧嘩したことを考えればわかるだろう。戦略レベルの意識の違いがある。この違いは末端の戦術レベルまで引きずっている。それを調整するのが「統合」だ。

2012-03-08 21:39:21
fj197099 @fj197099

これを実現するために、自衛隊では陸上幕僚監部、海上幕僚監部、航空幕僚監部(旧軍の参謀本部に当たるものだ)という各々の組織とは別に統合幕僚監部というものを作って統合運用を可能にしている。トップが統合幕僚長、すなわち自衛官の最高峰である。ある程度の高級幹部はこの統合運用を学ぶ。

2012-03-08 21:43:40
fj197099 @fj197099

統合運用は真に難しいが、それが出来たからといってまだ問題は解決しない。すなわち同盟国・パートナー国との連携という課題もあるからだ。日本の場合は専ら米国が相手になるが、PKO活動や災害救援なら同盟国以外の諸国とも行動をともにする可能性がある。他国との協調が「共同」に当たるのだ。

2012-03-08 21:46:50
fj197099 @fj197099

こうなると話は相当に複雑になる。自国の陸海空の協力=「統合」でも相当大変だったのに、相手国との協力まで加わる訳である。しかも相手国にも陸海空の軍種の区別がある。米国なら海兵隊という第四の種類もある。これらそれぞれと別々に連携を果たさねばならない。関係は相当複雑なのがわかるだろう。

2012-03-08 21:48:38
fj197099 @fj197099

で、その物凄く複雑な「共同統合」運用の実地の訓練の場となったのが実は今回の東日本大震災であったという訳だ。未曾有の事態に何の用意もなく対応せねばならなかったが、自衛隊はまず東北に統合部隊を設置して陸海空の連携を確立した。その上で米国とも調整所をつかって協力を実現したのである。

2012-03-08 21:50:26
fj197099 @fj197099

これは自衛隊にとって非常に大きな教訓となったのに違いない。不測の事態という意味では災害も有事も本質は同じだ。災害で学んだ教訓は確実に有事にも生きる。自衛隊は「共同統合」運用の貴重な教訓を得た。それがこの東日本大震災という大災害のわずかながらの「良かった事」であるとも言えるだろう。

2012-03-08 21:52:08
fj197099 @fj197099

だが実はまだ話はここで終わらない。「共同統合」運用が実現できればそれでいいのかという問題が残るのである。実はダメなのだ。なぜならこれは軍レベルの話にしか過ぎないからだ。本当の災害や有事では軍以外の公共機関、警察や海保、消防などとの連携も必要になってくる。その連携を指す言葉はない。

2012-03-08 21:54:24
fj197099 @fj197099

言葉がなくても政府のレベルでは確実に必要になる連携なのだ。これは所謂広義の「危機管理」に相当するレベルの話であるといえるだろう。じゃあ軍と他の政府機関とそれに外国の政府機関との連携があれば問題ないのか。実はそこでも更にダメなのである。究極の「統合」ともいえる問題が後に残っている。

2012-03-08 21:56:31
fj197099 @fj197099

それが政府のみならず民間も巻き込んだ包括的な事態対処計画の必要性なのである。災害や有事は民間無関係とは到底いかない。たとえば輸送ひとつとっても政府のインフラでは足りなくなる恐れがある。そんな時、民間も輸送に協力してくれる態勢を予め作っておかなければ本当の「危機管理」とはいえない。

2012-03-08 21:58:35
fj197099 @fj197099

そういう訳で究極の「統合」運用というか「危機管理」の理想的なあり方は、政府の全ての機関と民間、それに外国が有機的に連携する形で事態に対処するという形なのである。この実現は絶望的なほど難しい。殆ど不可能であろう。だが少しでもできるのであれば、災害や有事のダメージを著しく限定できる。

2012-03-08 22:00:47
fj197099 @fj197099

つまりは大震災の教訓は単に自衛隊や軍のレベルに留めてはダメだということなのである。政府機関や外国、それに民間も巻き込んだ包括的な対処計画こそ望ましい。危機管理の本質は災害も有事も同じである。災害への備えは必ず有事にも役立てることができよう。少しでもそちらの方向に進むことを願う。

2012-03-08 22:02:25