- k_tamagawa
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そもそもの発端
あしたかあさってあたり、ツイート数が12345になりそう。123456までいけるかは正直わからないので(単純計算で20年後 orz)、記念になんかしようかな
2012-03-06 13:19:59そして本編
#12339 「ねえ停めて停めて!」信号が青になり、発進したとたんにふたばが叫んだ。僕はあわててブレーキペダルに踏みかえる。たちまち後方から激しいクラクションが飛んで、あぶないところで追突を免れたトラックの運転手が、噛みつきそうな顔でこっちを睨みながら追い抜いていった。
2012-03-09 12:05:08#12340 「なんだよ、危ないじゃないか」膝に置いたバッグの中を猛然と探っているふたばに僕は言った。ふたばは僕のその質問には答えず、「あった~」と明るく言いながら携帯を取り出し、僕のほうにぬっと突き出した。
2012-03-09 12:05:24#12341 「まにあってよかったね!」「ったくなんなんだよ」口を尖らせる僕に、ふたばは満面の笑みで言った。「一二三四五!」「だからいったい……あ!」ふたばの笑顔から、ダッシュボードに視線を移す。トリップメーターに五個の数字が並んでいた。
2012-03-09 12:05:54#12342 年式が古いわりに走行距離が一万ちょっとしかいってないこの車を中古で買ったのは、去年の春だった。仕事の休みを利用してふたばを実家まで送り、自分は近くで活動するボランティア団体の手伝いをして翌日帰ってくる。
2012-03-09 12:06:14#12343 毎週でも行くつもりだったが、ふたばが入院したり僕の仕事が忙しくなったりして、走行距離はなかなか上がらなかった。それでも向こうの人たちは僕の顔を覚えてくれて、訪ねていくたびに「んで、こっちさいつ来んだ」と言う。ほんの冗談だってことは僕だってわかっている。
2012-03-09 12:06:44#12344 「彼女がついて来いっていってくれたら」そう冗談で返すと、すごい勢いで笑われて叱られる。そんな根性のない男はいらね、帰れ帰れ、笑顔で言われて尻を蹴る真似をされる。それでも僕は、あいかわらずこうやってふたばと一緒に往復している。
2012-03-09 12:07:19#12345 ふと思う。この数字が二三四五六や三四五六七になる頃、僕らはどこで、何をしているだろう。また別のクラクションが聞こえて、ふたばが「早く」とせっつく。僕は携帯を受け取ると、メーターに並んだ五つの数字をパシャリと撮った。 http://t.co/2UfDdj75
2012-03-09 12:07:46エンドロール
以上、突然でしたがキリ番記念超短篇をお送りしました。「12345」画像のソースはこちらのサイトです。この場をお借りしてお礼申し上げます。 http://t.co/rYqGx1UM
2012-03-09 12:14:41数字にひっかけた話にするという漠然とした方針しかなくて、12345っていったらなんだろう、トリップメーターかな、ぐらいのよくある連想で書きだしたら、登場人物が勝手に話を広げてくれました。
2012-03-09 12:30:01彼女の名前もキリ番にかけて「ふみ」ってしたんだけどちょい古いかと思って「ふたば」に。狙っただろうって思われるかもしれないけど、その時にこういう人だという意識はまったくありませんでした。去年の春からちょこちょこどこへ行ってたんだろうって考えたら、たまたまこういう話になって
2012-03-09 12:31:52@pochi_go 重松清さんが、いろいろな人のささやかな思いをアンテナみたいにキャッチして文字にしていくのが小説だというようなことをどこかで言われていたと記憶しているのですが、この二人みたいに暮らしている若い人は大勢いて、彼らの思いが飛んできたのかもなという気がします
2012-03-09 13:25:29