#この書き出しいかがですか まとめその7(3/10,11)
その手は私の喉に伸びてきた。白く滑らかな指先が恐る恐る肌に触れる。これは「あ」の音、これは「い」の音。じっくりと振動を覚えさせる。初めての「声」の感触に、彼女は顔を輝かせる。その笑みに僕の身体が思わず震えた。その振動さえも、あいの音の響きに紛れて彼女に吸い込まれてゆく。#書き出し
2012-03-10 09:28:57天井にあった、魚の形をしたシミが泳ぎ出した。それでようやく合点がいく。どうりで息苦しいわけだ、水底に居るのに一端の人間のフリなんかしていたのだから。ぽかりと吐き出した溜め息の気泡を見送って窓を開け、光の海に泳ぎ出した。 @kyooooo5 #書き出し #twnovel
2012-03-10 01:10:43天井にあった、魚の形をしたシミが泳ぎ出した。まるで天井が水中になったみたいに。夜中の空気と混ざりあって、天井は水族館にでもなってしまったのだろうか。でも、確かに、天井は天井のままで。それが泳ぐ水族館のような天井をただただ見つめ続けた。 #書き出し
2012-03-10 01:57:29ここから3/10 0:00~のお題です
破壊衝動は止められなかった。襲いかかる低気圧は僕の理性を吹き散らした。酸性雨よりも汚らしい涙を身体に浸み込ませる。嵐の後、泥土に穢れた手を見下ろして嗤った。虚ろな瓦礫が其処此処で開腹されていた。隙間風が吹いた。津波のように起き上がった破滅衝動も僕にはもう止められない。 #書き出し
2012-03-10 03:35:58神様、あのね?僕好きな子ができたんだ、毎日僕に「おはよう」って言ってくれるんだ。僕はただ微笑むことしかできないけど、きっと彼女に伝わっているよね。お人形の僕の気持ち。 #この書き出しいかがですか
2012-03-10 00:04:36神様、あのね?僕好きな子ができたんだ、毎日僕に「おはよう」って言ってくれるんだ。僕はただ微笑むことしかできないけど、きっと彼女に伝わっているよね。お人形の僕の気持ち。でもこの前、彼女が家に帰ってきて僕を抱えて泣くんだ。好きな人に振られたって。神様、僕一緒に悲しむべき? #書き出し
2012-03-11 21:05:11「お前にこの私が飼い馴らせるとでも思ったか!」そう叫びながら、飼い猫は父親の顔面に華麗な猫パンチを食らわした。 #この書き出しいかがですか
2012-03-10 00:15:40「お前にこの私が飼い馴らせるとでも思ったか!」そう叫びながら、飼い猫は父親の顔面に華麗な猫パンチを食らわした。しかし父親の方が一枚上手だった。猫パンチに対してカウンターの一撃。猫はもろに顔面に一撃を食らうも、華麗な受け身を取る。母親が鍋ゴングを鳴らした。「飯抜きだよ」 #書き出し
2012-03-11 21:15:06噛み続けてボロボロになっていた親指の爪がとうとう剥がれ落ちたので、僕は仕方なく親指本体を噛み始めた。血の味がする。意外にいける。もはや痛みも麻痺してしまって、ストレス解消の自傷行動がエスカレートしていく。終わったのは僕という存在が消えた時だった。 #書き出し
2012-03-11 21:22:09空が霞んで見えた。あぁ、もうすぐ世界が終わる。粉々になった世界が舞い上がる。地平線からの白が広がっていく。どこまでも続いていた青は色を失い、やがて無数の粒子にキラキラと輝き始めた。あたりに優しさが広がっていく。それは世界が再び立ち上がるしるし #書き出し
2012-03-10 16:48:32空が霞んで見えた。あぁ、もうすぐ世界が終わる。僕らはそれを屋上の縁に座ってぶらぶら足を揺らしながら眺めた。あぁ、またひとつ星が砕けた。君が歓声を上げる。けらけら笑って手を繋いだ。薄荷の味のキスをした。 #書き出し
2012-03-10 21:14:29「なんでこのタイミングで雪なんだよ」 まるで陳腐な恋愛ドラマだ。それ風に言えば“感じた”のかもしれない。俺がこの道を選んだのも、お前が俺を呼んだのも、確かに運命だろう?「そんなところにいたら寒いだろう」お前は何も言わないが。「一緒に帰ろう」抱き上げれば暖かいお前と。 #書き出し
2012-03-10 20:59:53男は語りだした。滅多に話さないこの男の口の動きを、じっと見ていた。「そいつはな、確かにその森にいたんだ。見たこともねぇくらい、でっけぇ熊っこかと思っただ。おれは銃をぶっ放したさ。でもよぉ、そいつぁ倒れねぇんだよ」間違いない。研究所から逃げ出した遺伝子操作ハムスターだ。 #書き出し
2012-03-11 21:54:13#twnovel どうも僕は、君に騙されている気がする。はっきりと確かめられないまま二十年が過ぎた。君は相変わらずにこにこと笑って、僕の傍らで益体もないお喋りを続けている。僕が最初から騙されていることに気づいていたと明かしたら、君はどんな顔をするだろう。 @_sun3 #書き出し
2012-03-10 02:41:35#twnovel どうも僕は、君に騙されている気がする。遊びで告白してみたら、ただ頷いた君。飽きたので別れを告げたら、君は泣いて、でも頷いた。あれからまだ一週間、街で見かけた君は男連れ。ばちっと目が合う、君は自分の唇に人差し指を押し当て、ただ微笑んだ。 @_sun3 #書き出し
2012-03-11 22:20:30どうも僕は、君に騙されている気がする。最近まで知らなかった。空が青いって事。最近まで知らなかった。太陽の輝きを。最近まで知らなかった。彼女がこんなに可愛いって事。ねえ世界。君は僕を騙しているよね。僕の目に嘘を映しているよね。彼女が笑う。ねえ世界、永遠に僕を騙し続けて。#書き出し
2012-03-10 09:36:44