同題ｓｓ自分用まとめ

れん @aoren05

「ジュニア？…何故か聞いてもいいかしら」「髪も目鼻立ちも君にそっくりじゃないか。僕だってこの子に僕のものをあげたいよ」「あら。あなたに似て意外に熱血かもしれないわよ？」「そして君に似て気が強いかもしれないね？」「もう！」腕の中の天使はすやすやと眠っている。＜贈る＞ #同題ssTB

れん @aoren05

故郷を思って空を光らせる。彼女の日課だ。今日は偶然その現場に立ち会った。ふと手を繋がれ、彼女は一際高く明るく空を光らせた。「今ね、バーナビーさんのお父さんとお母さんに、バーナビーさんは元気だよーって知らせたよ！」…素敵な仲間なんだよ。どうか一緒に届いて。＜遠雷＞ #同題ssTB

れん @aoren05

色々と覚えてなくて。そんな不安を吐き出した。「そんなもんだろ」あっけらかんと言い放たれる。昔のこと全部覚えてる奴なんていねーよ。「それに大事なもんは頭じゃなくてさ…」ココに溜まってくだろ？その笑顔に心臓が跳ねる。ああ、確かに。この痛みも熱も、全部、ココに。＜空白＞ #同題ssTB

れん @aoren05

「んっ…」ドアが閉まるか閉まらないかの間に口を塞がれた。開いた唇から差し込まれる舌。舐められ、噛まれ、絡まる。ズルズルとしゃがみ込んで、倒されて、暴かれて。「あ、んっ、聞こえます、よ」「こんだけ荒れてんだ。聞こえねーよ」だったら、ねぇ、いつもより激しく。＜暴風雨＞ #同題ssTB

れん @aoren05

最近バニーは未来の話をよくするようになった。明日の飯の話、来月の休みの話、来年の誕生日の話。先のことを話すと鬼が笑うっつーけど…「まーいっか。笑われるくらい」「笑われるようなことしたんですか、虎徹さん」「ん～…ナイショ」幸せそうな俺ら見て苦笑いしてんだろ？＜笑う＞ #同題ssTB

れん @aoren05

幸せっていうのはあたたかくて優しくて笑顔が零れて止まらない、そんなものだと思っていた。思い出の中の、写真の中の僕のように。泣きたくなるような幸せがあるなんて、知らなかった。「…虎徹さん」「なに？バニーちゃん」名前を呼んで、呼ばれて、それだけでもう。＜笑う＞ #同題ssTB

れん @aoren05

今日の夕飯どうする？冷蔵庫の魚を食べてしまわないと。じゃあ後は適当にデリで買ってくか。あ、ミルクとパンも。なぁそれ美味い？一口どうぞ。あんがと。ほれこっちも食べてみな。いただきます…あ、僕これ好きです「…君達ねぇ」「胃薬、経費で落とせますよ」「…頼むよ…」＜穴＞ #同題ssTB

れん @aoren05

ぱちりと目を開けると既に空が白んでいた。わずかな喧騒。柔らかい朝の訪れ。時計を見ると目覚めるにはまだ少し早い時間だ。短くなっていく夜は一緒にいられる時間まで短くなっていくようで、寂しい。もう少しだけ、と頭から布団を被る。暗がりの中で、もう少しだけ、あなたと。＜春＞ #同題ssTB

れん @aoren05

【件名】【本文】これ前言ってたやつ。桜（画像）【件名】【本文】綺麗ですね。そちらはもう春？【件名】Re:【本文】やっとな（画像）【件名】【本文】こちらはまだ寒いです。…何ですかこれ【件名】Re:【本文】桜餅。食べたことないだろ。今度、「…今度っていつだよ…」＜春＞ #同題ssTB

れん @aoren05

「虎徹さんのチャーハンなしじゃ生きられなくなった責任、取ってください！」「あ～……じゃあ結婚でもする？」＜依存＞ #同題ssTB

れん @aoren05

僕はバーナビー･ブルックスJr.だ。バーナビー･ブルックスJr.とは何者だ。ヒーロー。作り上げられたピエロの間違いだろう？「……虎徹さん、僕の名前、呼んでください」「バニー？どうした？」それだけが本物のような気がして、今日も、縋る。＜依存＞ #同題SSTB

れん @aoren05

スポーツドリンク、レトルトのお粥、冷却シート。コンビニで揃うような物があいつの家には何もない。ので、あいつが風邪をひく度にこうやって買いに来ている訳だが。「…いちいちめんどくせぇよな」だから帰ったら言ってやろう。「そろそろ一緒に暮らさねぇ？」＜コンビニ＞ #同題ssTB

れん @aoren05

凶悪犯罪の少ないオリエンタルタウンの方にはそこかしこにあるらしい。日用品から雑誌、食品まで揃っている。何でも屋さんみたいだ。24時間営業。休みなし。それってまるでヒーローみたいですね。＜コンビニ＞ #同題ssTB

れん @aoren05

「虎徹さん虎徹さん、あれやってください！」「あれって何だいバニーちゃん」「クソお世話になりました！って僕すごく見たいです！」＜土下座＞ #同題ssTB

れん @aoren05

「お世話になりました」指を付き深々と頭を下げる最愛の娘。「なぁ、やめてくれよ。ろくに世話なんてしてやれなかっただろ、俺」立派に育った娘に頭を下げなければいけないのは、自分の方だ。「私、お父さんの娘でよかったよ」妻に似た笑顔。娘が娘でなくなる、前の日の夜。＜土下座＞ #同題ssTB

れん @aoren05

あの人の優しさは毒だ。チクリと刺された瞬間は不快な嫌悪感だけなのに、じわりじわりと身体を蝕み、指の先から髪の毛一本一本まで廻り、そして、心臓に。僕の心に巣くう蛇を殺す。＜蛇蝎＞ #同題ssTB

れん @aoren05

「ねぇもう辛いでしょう？」嘲笑うかのような声が響く。「もういい加減解放されたい。本当はそう思っているくせに」やめろ。真実に辿り着くまで、僕は。「真実が一番残酷なのに」向かい合う僕と僕。消える境界。蛇に飲まれたのは、どちらか。＜蛇蝎＞ #同題ssTB

れん @aoren05

空と山と畑だった窓越しの景色が建物ばかりになってきた。もうすぐ。すぐ助けに行くからね、ワイルドタイガー。お父さん。＜窓＞ #同題ssTB

れん @aoren05

今日も新たな収穫はなかった。幸せと呼べるものは写真立ての中、笑顔のままで時間を止めている。傷つけないようにとしてきた青いロボット。窓ガラスに映る自分だけがあの頃と違う。＜窓＞ #同題ssTB

れん @aoren05

「昔話題になった映画でさぁ」夕方の出動が長引き帰路につけたのは日付も変わる頃。深夜の駐車場。「車の窓ガラスが全部曇っちまうってシーンがあって」「どんなシチュエーションですか」「…試してみる？」ニヤリと笑って覆いかぶさる彼に嵌められたと理解したけど、もう遅い。＜窓＞ #同題ssTB

れん @aoren05

「パパとママが帰ってきたときはチャイムを3回鳴らすから。それ以外のときはドアを開けてはダメよ？悪い狼に食べられちゃうわ」母と幼かった僕の約束。そして今、チャイムを1回鳴らしているのは。（ある意味狼に間違いはないけれど）＜鳴らす＞ #同題ssTB

れん @aoren05

俺ことワイルドタイガーこと鏑木･Ｔ･虎徹が、相棒ことバーナビー･ブルックスJrことバニーになぜ正座させられているかと言えば。「さて、僕のプリンを勝手に食べた理由を140字で述べて下さい」ゴクリと喉が鳴る。えーとそれはだな、あ、やべこれ字数足んなくね？＜鳴らす＞ #同題ssTB

れん @aoren05

情報は揃ってる？放送の準備も完璧ね？じゃあ行くわよ！指先一つで八つの回線を鳴らす。私ね、社長。あなたのやり方少しは理解できるんです。二番煎じなんて無様な真似、趣味じゃないだけ。「Bonjour！HERO！」私は私のやり方で、ショウを作るわ。＜鳴らす＞ #同題ssTB

れん @aoren05

高らかに響くファンファーレ。音が輪になって街を包む。一度目の別れはろくな物じゃなかった。だから、せめて。ありたっけの気持ちを込めて、鳴らせ！鳴らせ！それは別れではなく餞の音。一人の英雄が今日、街から姿を消す。＜鳴らす＞ #同題ssTB

れん @aoren05

ぱちり。まばたきをする度に変わる景色。その僅かな一瞬でさえ時間は流れ動いているのだと実感する。ぱちり。ぱちり。この目はカメラだ。切り取られた世界はひとつひとつ重なって僕の記憶になる。僕が僕として残す記憶だ。いつか胸を張ってあの街に戻るために。＜まばたき＞ #同題ssTB