同題ｓｓ自分用まとめ

れん @aoren05

ペリドットのように明るい緑の瞳。まばたきをする度に影を落とす長い睫毛。まるでお人形のようね。昔はホントにお人形みたいだった。嬉しいも楽しいも押し殺してた冷たい目。それが今じゃ、ねぇ。相棒を見る目は優しげに細められて。「目は口程に物を言う、ね。ハンサム」＜まばたき＞ #同題ssTB

れん @aoren05

ごちそうを作って待ってるわねと言った優しい母。今度は一緒に行こうなと約束をした温かい父。燃え盛る炎。まばたきすら出来ずに立ちすくむ僕。蛇。青い光。＜まばたき＞ #同題ssTB

れん @aoren05

目が覚めて、まばたきふたつ。少しクリアになった視界に映るのはこっちを見て笑っているあなた。やだな、いつから見てたんですか。「グッモーニン、バニー」「…相変わらず下手な発音ですね」零れる笑みを止められない。僕の幸せ。＜まばたき＞ #同題ssTB

れん @aoren05

するりとネクタイを解く。次にシャツ。意外に外しにくい。ボタンとの格闘を終えてベルトに手をかけた、その時。「なぁにバニーちゃん。積極的ぃ」「黙っててもらえます？」睨むように見つめた先には楽しげな金色の瞳。ムカつく。全部ひん剥いてやりたい。体も、心も。＜全裸＞ #同題ssTB

れん @aoren05

オリエンタルタウンの動物園にな、いるぞ。パンダ。ぽんぽんと頭を撫でながら虎徹さんが言う。今度行くか。キャッチボールもな、楓がまた上手いんだよ。三人でやるか。グローブもボールも探しゃあある筈だ。失っていた僕を掬い上げてくれる声は、ただただ優しくて。＜声＞ #同題ssTB

れん @aoren05

動物園に行きたかったです。まどろみながらバニーが呟く。ちょうどパンダが来ていて。見てみたかった。キャッチボールも羨ましかったなぁ。ショウウィンドウに飾られてるグローブが眩しくて。懐かしむように語られる、消された気持ち。殺されてきた幼い声。＜声＞ #同題ssTB

れん @aoren05

ビープ音が鳴る。昼食の途中だけど気にしていられない。一刻でも早く。トランスポーターに乗り込みヒーロースーツを着る。準備万端だ。走り出すその前に、大事なのがもう一つ。あるでしょう、さぁ！「じゃあ一丁、ワイルドに吼るか！」鼓舞する。その声はあの人の、魂そのもの。＜声＞ #同題ssTB

れん @aoren05

タイガーの声は勇気が出てバーナビーの声は安心する。スカイハイは元気が出てロックバイソンは気持ちが落ち着く。折紙さんは一緒に頑張ろうって思える。……ファイヤーエンブレムは……かっこいい。「いいなぁ。ボクも声変わりしたかったなぁ」＜声＞ #同題ssTB

れん @aoren05

このマーク見たことありませんか。なんでもいいんです教えてください。なんでも。なんだって。レコーダーのように繰り返す。毎日。毎日。毎日。嗄れることのないこの声はどこかに届いてますか。僕はいつか報われますか。＜声＞ #同題ssTB

れん @aoren05

「こんな遊びやんなかった？」突然虎徹さんが僕の背中をなぞり始めた。「ちょ…っ、くすぐったいです！」「我慢してー。俺が書いてる文字当ててみ？」一文字。一文字。全部で八文字のそれ。「…分かんないんでもう一回お願いします」「仕方ねぇなぁ」そしてまたIから始まる。＜背中＞ #同題ssTB

れん @aoren05

告白してくれた時の照れた顔。結婚式の時の緊張した顔。楓が生まれたときの泣きそうな顔。どれも鮮明に覚えてる。でも、目を閉じて真っ先に浮かぶのは、ヒーローとして駆けていく力強い背中。いつだって。そう、今だって。「愛してるわ、マイヒーロー」もっと見ていたかった。＜背中＞ #同題ssTB

れん @aoren05

「あらぁ？やっぱりハンサムの背中は傷が少ないわね」「そうですか？」「アタシもなるべく傷はつけないようにしてるけど。タイガーも昔は多かったのよ」「…僕はまだまだ未熟ということでしょうか？」「馬鹿ねぇ。一人じゃないってコトよ」＜背中＞ #同題ssTB

れん @aoren05

「なーバニーのアレって実際何なの？」「は？」「背中のアレ。羽みたいなのついてんじゃん」「…飛べるんです」「は？」「緊急時の脱出などに使用できるんです」「マジで？」「嘘に決まってるでしょう無駄口叩いてないで仕事してください」「…お前それ斉藤さんに確かめた？」＜背中＞ #同題ssTB

れん @aoren05

…どこまで話したっけ。チャーハンは焦がさずに作れるようになったんだ。朝はまだちょっと弱いかなぁ…僕、昔からそうだった？ヒーロー業は相変わらず年中無休だけどやり甲斐はあるよ。…ほら、早速。「また来るね。行ってきます」父と母の眠るそこにそっとキスをして、駆け出す。＜眠り＞ #同題ss

れん @aoren05

「…どうしよっか」「どうしようかねぇ」そう言いながらおばあちゃんは洗い立てのバスタオルをかけている。このまま寝かせてあげるつもりなんだ。太陽の光で髪の毛がきらきらしてる。バーナビーはずっと王子様だと思っていたけど…「こうしてると眠り姫みたいだね」＜眠り＞ #同題ss

れん @aoren05

初めてバニーがうちに来たとき、開けっ放しになっている縁側を見て信じられないという顔をした。それが今じゃどうだ。すっかり安心しきった顔で眠り込んでやがる！申し訳程度にかけられたタオルは楓か母ちゃんか。吹き込む風がバニーの髪を撫でる。「いい夢見ろよ、バニーちゃん」＜眠り＞ #同題ss

れん @aoren05

白くてすべすべで少し冷たいバーナビーの左手。固くてゴツゴツしてて温かいお父さんの右手。手首には色違いのヒーローの証。誰かを守る力強い、正反対に見えて実はそっくりな二人の手。そんな二人の手を真ん中で独り占めできるのはちょっとした自慢なの！＜手首＞ #同題ss

れん @aoren05

そっと人差し指を差し出すと、小さな小さな手にきゅっと握り締められる。白くて温かくて柔らかくて、手首まですっぽりと包み込めてしまう小さな手。私達の手は物を作り出す手だけれど。「あなたはこの手で何を掴むのかしら。ねぇ、バーナビー」願わくばどうか幸せを。＜手首＞ #同題ss

れん @aoren05

「やっぱお前はまだそんなに変わってないな」僕のPDAをずらしながらそんな事を言う。「何がです？」「後2、3年もすりゃお前もこうなるぞ」そう言って見せた彼の手首は見慣れいてる色と少し違っていた。ここにも彼の10年が刻まれている。その愛しさにそっと口づけた。＜手首＞ #同題ss