りぐと星座と空飛ぶ猫

原案 りぐさん 企画 僕
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sodaame【#140字小説】 @sodaame140

*りぐと星座と空飛ぶ猫* 「空飛ぶ猫を知ってる?」 それは私が5歳の頃のお話です。 母は毎夜、私にお話を聞かせてくれました。 「空飛ぶ猫を見た人は、どんな願いも叶うんだって」 母は色々な世界を飛び回って、その経験を幼い私に話すのでした。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 1

2012-03-12 23:15:00
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

ある日、私がベランダからお月様を眺めていると、空から虹色の羽根が落ちてきました。 「鳥さんかしら」 私が暗い夜空を覗くと、なんだか丸っこいものが空を飛んでいました。 「きっとフクロウさんだわ」 私はいつまでもその丸っこいものを眺めていました。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 2

2012-03-12 23:20:00
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

星座泥棒。 街に噂される消えた星座の謎。 空に飛び回る黒い影。 それを追うなんだか丸っこいもの。 この街に、一体何が起きているのか。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 3

2012-03-12 23:25:01
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

りぐはおつかいに来ていました。 「こんにちはー」 街のパン屋さんです。中は香ばしくて良い匂いがします。 店内には男の子がいました。 「よお」 「あなたはだれ?」 「おれの名前はハルさ」 「しってる」 それはいつものやり取りでした。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 4

2012-03-13 23:44:46
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

彼は鍛冶屋に住む8才の男の子です。 私たちはおばさんからパンとコーヒーをもらって話します。 それがおつかいの楽しみなのです。 私は角砂糖をたっぷり入れて、温かいコーヒーを楽しみます。 「きいたか」 「なにを?」 「星座が消えてるって話」 #りぐと星座と空飛ぶ猫 5

2012-03-14 01:02:40
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

影。 秘密結社「星の金平糖」にうごめく黒服集団。 その真ん中に鎮座する男が一人。 「夜空に光などいらぬ。闇は光がないからこそ美しいのだ」 彼らは光エネルギーを金平糖に変える技術を開発、夜空に輝く星の光を吸って、日夜ぼろ儲けしているのだ。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 6

2012-03-14 23:46:45
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

「星座などくだらぬ。いつまで過去の誰が作ったかもわからぬ規則に付き合うのだ。過去など塗りつぶせ。私は今を生きているのだ」 力強く握ったグラスが割れた。 「星座など俺が塗りかえてやる」 室内に響く笑い声。 ガタンゴトンと金平糖の機械が鳴った。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 7

2012-03-15 00:30:09
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

「で、どうするの?」 「おれたちで乗り込むんだ」 「ほんとに!?」 「何の話をしてるのかな」 「わ、おじさん」 「そろそろ日が暮れるよ。早くお帰り」 彼らはパン屋さんに挨拶をしてお店を出ます。 「じゃ、今日の夜に。みんなには内緒だぞ」 #りぐと星座と空飛ぶ猫 8

2012-03-15 23:40:17
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

夜。 闇夜を切り裂く怪盗が一人。 ある時はパン屋の優しいおじさん。 ある時は妻をいたわる健気な夫。 しかしその実態は、星の光をダイヤに変える、白い怪盗、只今見参。どどん。 彼の虫眼鏡は、星の光を一点に集め、ダイヤに変えることが出来るのだ。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 9

2012-03-16 00:10:00
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

羽根の生えた彼女は虐められていた。キモチワルイ、ドッカイケ、心に突き刺さる言葉は止め処なく、自ら羽根を食い千切った。彼女の背中には、今でも傷跡が残る。途方に暮れた彼女を拾ったのは、一人の男だった。彼は傷ついた背中をそっと撫で、そして家へ連れ帰った。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 10

2012-03-16 23:48:41
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

星の光が強いと、今でも背中が疼く。彼女は背中の痛みに耐えながら彼に話しかける。 「なぜあなたは白いスーツなの?」 「コスプレなのさ」 怪盗に白いスーツなど必要ない。闇に溶け込む必要があるのだから。しかし、彼がコスプレだというのなら仕方ない。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 11

2012-03-17 00:04:19
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

「なんでお弁当持ってきてんだよ!」 「え、だってえんそくでしょ?」 「バカだなあ、乗り込むんだよ」 「えんそく♪」 りぐはうきうきしながら歩きます。金平糖の噂はよく聞きますが、工場に行くのは初めてなのです。金平糖は星から出来ると噂でした。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 12

2012-03-17 23:10:51
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

街に広がる噂はこんなものです。金平糖は星の光から出来ていて、彼らが金平糖を作るたびに星が一つ消える。彼らの最近の業績は異常で、このままでは星がなくなってしまう。しかし大半の大人は信じません。そんなの誰かのやっかみごとだろう。信じる方がバカなのだと。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 13

2012-03-17 23:35:38
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

彼らは工場の裏口、壊れたドアの隙間から入ります。中はガタンゴトンと機械の音がして、明かりは薄暗く、気をつけないと転んでしまいそうです。 「ねえ、こわいよ」 「大丈夫だって。おれの服を掴んで」 「やだ、ひだりて」 りぐは彼の手を掴みます。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 14

2012-03-18 00:09:14
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

「今日は何をするの」 「わるいやつをこらしめるのさ」 「あなただって怪盗じゃない」 「私はいい怪盗なのさ」 「そんな怪盗いるの?」 「さあ、私にもわからない」 彼らは夜の街を、屋根伝いに歩く。 時々通りすがりの鴉と目が合う。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 15

2012-03-21 00:42:39
sodaame【#140字小説】 @sodaame140

工場の真上。煙突を覗き込む。辺りは静まり返って人の気配はない。 「ん?」 工場の裏口の方に、人影が見える。 「きゃっ」 黒猫が足を滑らす。煙突の中へ真っ逆さま。咄嗟に羽根を伸ばそうとするが、彼女に羽根はない。猫は深い闇の中へ消えた。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 16

2012-03-21 01:20:05

~暗転~

sodaame【#140字小説】 @sodaame140

輝く金平糖が宙を舞う。機械の中で眠る猫。身体が光っている。背中から羽根が生える。周囲の金平糖が光り出す。部屋を埋める金平糖は輝く星のようで、きらきらと光り部屋を照らす。猫は夢を見ている。それはかつての辛い記憶。煙突から落ちた猫。金平糖の機械へ真っ逆様。 #りぐと星座と空飛ぶ猫17

2012-03-29 01:38:29

~暗転~

sodaame2 @cacid_soda

「ねぇ、あそこなんか光ってるよ」 彼女が向こうの部屋を指差す。 金平糖の機械から漏れる光。 それは零れるようなものではなく、眩いほどの光だ。 浮かび上がる金平糖。 その瞬間、金平糖の機械が爆発した。 辺りを光の爆発が包み込む。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 18

2012-05-06 19:12:17
sodaame2 @cacid_soda

飛び散る破片が宙に浮かぶ。それらは少しずつ形をなし、そして変形していく。そこに現れたのは、紛れもなくロボットだった。 「なにあれ…」 彼らは言葉を失った。それは今にも動き出しそうな、乗り物のようなロボットだったからだ。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 19

2012-05-09 23:53:41
sodaame2 @cacid_soda

中心部から発する光。そこには黒猫が閉じ込められている。黒猫の中心に発するエネルギーは凄まじいものであり、それらは光の爆発として周囲に広がり、金平糖や機械がそれに共鳴し、そこにロボットが生まれた。 「どうしよう…」 ロボットの目が光る。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 20

2012-05-10 00:42:37
sodaame2 @cacid_soda

「にげよう!」 ロボットが動き出す。 「緊急事態発生!緊急事態発生!」 緊急警報が鳴る。赤いランプが光る。廊下を走る。動き出す機械。閉じ込められた猫。 「ボス!光エネルギーが大変なことに!」 「何だ…この数値は…」 #りぐと星座と空飛ぶ猫 21

2012-05-10 01:01:35
sodaame2 @cacid_soda

追いかけられて辿り着いた先は何もない広場。倉庫だろうか。段ボールが転がっている。ピュン。レーザーにより消し飛ぶ箱。二対一の対決。ロボットの目が光る。少年が後ろに回り込む。機械の首が一回転して彼を追う。その隙に少女がポシェットに詰め込んだ小石を投げる。 #りぐと星座と空飛ぶ猫 22

2012-07-09 05:10:34
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