金城一紀 さんが語る「SPへの道」
- cyber_yayoi
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(98)ラストもアクションについて少し。SPのアクションシーンの創造に関わってみて、なぜ日本で本格的なアクションものがほとんど存在しないのか、ようやく分かった。乱暴な言い方をすれば、「撮影が大変だから」。その“大変”には、スケジュールや製作費や俳優の資質、などの問題が複合的に
2012-03-20 13:41:26(99)含まれている。もちろん、アクションを作る側の不勉強も存在する。これから先も、それらを克服して日本に本格的なアクションドラマや映画が恒常的に産まれる可能性は著しく低い、と現状では思っている。それでも、僕がアクションものに拘るには大きな理由がある。それは連ドラ版SPの
2012-03-20 13:54:53(100)エピソードⅡの撮影現場での体験があるからだ。岡田君演じる井上がテロリストに飛びついて三角締めをするシーンの撮影に立ち会った時のことだ。ワンカットで撮るには難しいシーンだったが、岡田君の身体能力を信じてトライすることになった。現場には緊張感が漂っている。監督のスタートの声
2012-03-20 14:08:32(101)が掛かる。アクションが開始される。岡田君がものの見事に殺陣を決める。監督のカットの声。そして、一拍置いて、スタッフたちの大きな拍手。それは自然に湧き起こったものだった。僕の目には、その情景自体がよく出来たアクション映画のように映った。僕は思った。
2012-03-20 14:18:47(102)「“これ”が視聴者に伝わらないわけがない」。“これ”には躍動感と、何より言語のいらない説得力が備わっている。でかく言えば、このシーンだけだったら国境も越えられる。“これ”こそが映像の原点であると思ったし(たとえばリュミエール兄弟の『列車の到着』のような。詳しくは、
2012-03-20 14:25:45(103)『ヒューゴの不思議な発明』を参照のこと)、僕は“これ”に満ち溢れた映画を見て育ってきたのだ。そんなわけで、僕は相変わらず“これ”を探し求めてアクションものに拘っているというわけだ。さっきも書いた通り、本格的なアクションもの(特にオリジナル企画)の実現はかなり難しい状況
2012-03-20 14:37:12(104)なのだが、SPという作品に関わったのをある種の“宿命”と思って、出来るだけがんばってみるつもり……なのだが、もうそろそろ音を上げる可能性もあるので、あまり期待しないでいただければ……。結局、ひどく腰砕けな結論でしたが、『SPへの道』を楽しんでいただけたでしょうか?
2012-03-20 14:47:12(105)新しいアクション企画が動き始めたら、またここで、今度はリアルタイムで連載を始めようと思ってますので、少しだけ期待しておいてください。いま闘ってる最中です。押忍。
2012-03-20 14:49:22