白い動物について。 by @TTAKE_NL

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TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

白い動物について。元来、野生動物だった家畜は、人間に飼いならされるうちに体の色が淡色化していったといわれている。淡色化が進み、白くなると、外部から発見されやすいため、自然界での生存は極めて稀であった。歴史を振り返ると人間が白い動物を珍重していたケースは世界各国で数多く存在する。

2012-03-17 17:55:56
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

野生では目立つから生き残りが難しいとされる白い象や白馬などは、希少性と見た目の美しさもあって、昔から大切されていたが、先天的なメラニンの欠乏による、劣性遺伝や突然変異によって発現する、アルビノの白ウサギや白蛇や白い亀なども「神の使い」だとされ、神聖なものと人間から崇められてきた。

2012-03-17 17:58:38
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

ヒンドゥー教の『マハーバーラタ』という文献にも「象学」というゾウに関する専門の学問があったということが示されているらしい。この象学はタイにも伝わっており、これによってタイではゾウの飼育・品評などが盛んに行われたそうだ。こうして白象と認められた象には、4種の属性が与えられるらしい

2012-03-17 18:01:36
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

現在、タイでは「象法」という法律があり、白象と認められた象は国王に献上することになっているそうだ。タイ国王に献上される白象は、全身真っ白である必要はない。神話や芸術においては、白象は全身が純白の姿で描かれる。昔のタイの国旗にも白象が描かれており、白象をかたどった勲章もあるそうだ。

2012-03-17 18:05:08
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

ガネーシャと呼ばれるヒンドゥー教のゾウの姿をした神も、白い姿で描かれることが多い。ローマ教皇のレオ10世も東南アジアから連れてきた白象を飼っていたそうだ。日本においても、白象は神秘的な存在で、釈迦が生まれる際も、母は白象がお腹の中に入っていった夢を見て妊娠を知ったと言われている。

2012-03-17 18:07:26
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

その他、白象にまつわる文学作品も、数多く残されている。私の好きなのは、宮沢賢治の短編童話『オツベルと象』、『白い象の伝説』(Mémoires d'un éléphant blanc)は、Judith Gautierの児童文学に描かれている、ミュシャの挿絵は、息をのむほど美しい。

2012-03-17 18:10:21
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

本来、野生動物の原種には淡色は少ない。例えば、鶏の原種は「赤色野鶏」、ガチョウの原種「灰色雁」、犬の原種「シンリン狼」猫の原種「リビア山猫」ウサギの原種「アナウサギ」などは、いずれも白っぽくはない。人間に飼いならされる過程で、白くあることが、何らかの理由で必要であったに違いない。

2012-03-17 18:12:37
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

折口信夫『鶏鳴と神楽と』には、白い鶏がどう扱われてきたかの記述がある。以下抜粋「白い鶏が神饌に供えられることは、その例を多く見ているが、必ずしも白いものばかりを飼っていたわけでなく、偶然、民家の家畜の中にも、白い羽色のが生まれると、献るべき神意と信じ、御社へあげてきたことだろう。

2012-03-17 18:15:01
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

豊後大野郡辺では、白い鶏を食すと、ハンセン病になると言い習わせていたようで、白い鶏を神饌(いけにえ)と信じていたからこそ、それを横取りする者は、極刑を受けると考えられたので、原因を振り落として、単に結果だけが言い伝えられたものだと思う。」と。白い鶏は特別なものとされていたようだ。

2012-03-17 18:18:25
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

例えば日本猫は尾曲がり、イギリスの猫スコティッシュフォールドは耳の折れ曲りが珍重されたため、これらが選択され増えていった。白い動物が生まれてくるのを遺伝子レベルで考えると、人間が意図的に選択、或は、動物自身が生き残る為に白色を積極的に選択したという、両方の側面があるのではないか。

2012-03-17 18:21:44
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

動物だけでなく、昆虫にも同じ現象がみられる。一般的なカイコは家蚕(かさん)と呼ばれ、カイコガは成虫になっても自ら飛ぶことができないそうだ。家蚕は人間に飼いならされた唯一の昆虫で自力で野生には生息できないらしい。改めて考えてみると、家蚕の紡ぎ出す絹糸の色が白いのは、とても興味深い。

2012-03-17 18:24:31
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

それに比べて、野生のカイコの「天蚕」(てんさん)は、カイコの野生種のヤママユガで、餌も桑の葉でなくクヌギなど里山の木の葉を食べるらしい。天蚕の成虫ヤママユガは、カイコガと違って飛ぶこともでき、天蚕が紡ぐ絹糸は光沢のある緑色で、一般的なカイコである、家蚕のような白色ではないそうだ。

2012-03-17 18:27:17
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

私も大好きな、戦後最大の奇書、沼正三著書の『家畜人ヤプー』では"未来帝国イース”で、天照大神の正体がタイムトラベルして過去にやってきた白色人種の「アンナ・テラス」 、白色人種が有色人種を支配するというストーリーが描かれている。この本は当時の三島由紀夫や澁澤龍彦からも大絶賛された。

2012-03-17 18:30:09
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

昔から日本の美人のイメージにも肌の白さはうたわれていたようだ。平安時代には既に日本で最古と言われる「美白」についての記述が残されていたらしい。江戸時代には「都風俗化粧伝」という初の美容本が出版され、この本は、当時のベストセラーとなり、10種類以上もの美白法が掲載されていたそうだ。

2012-03-17 18:34:12
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

このような現象を、現代に当てはめてみると面白い。白人至上主義、美白、かわいい、などが、世界中でもてはやされ、社会で認識されるにつれ、大人になれない大人の象徴「ピーターパン症候群」が生まれた。とりわけ現代の日本人は、特殊な幼児性を保ったまま、大人としての社会生活を営むことが可能だ。

2012-03-17 18:37:45
TOMOKO TAKE / タケトモコ @TTAKE_NL

社会が人間を飼いならし、人間が人間を飼いならす。コミュニケーションを円滑にするため、人により好まれるために、自分自身が自分を飼いならす時代。飼いならされ、飼いならすという行為は、高度に発展した現代社会の中で、生き延びる手段として選択された、現代人の生き方のひとつなのかもしれない。

2012-03-17 18:41:05