整備兵氏(@seibihei)による「戦術の基礎(D. Wyly海兵隊大佐)」("Maneuver Warfare Handbook"付録)翻訳・第2課―2
このことは、「なぜWW2でドイツ軍が勝てなかったのか」という、何度も繰り返される問いに対する、一つの答えになるかもしれない。1942年以降、あるいはスターリングラード以降、ヒトラーは才能ある将軍たちを罷免し、事実上野戦軍を自らの支配下に置いた。
2012-03-18 01:10:50あるいは、そこにあった信頼は破壊された。それまではうまく働いていた指揮の階層は動かなくなった。WW2のアドルフ・ヒトラーは、指揮官が部下を信頼しなくなったときに何が起こるかを示している。信頼は破壊されたのだ(原文ママ。現在においては異論もあろう。)
2012-03-18 01:13:31ナポレオンでも、似たような例は見られる。初期においては、彼の戦術は実に流動的だった。グラン・ダルメは一丸となって行動した。しかし、ロシア遠征以後は緩慢となり、円滑に動くことはなくなった。信頼が破壊されたのだ。ナポレオンは彼の将軍たちを信じようとしなくなった。
2012-03-18 01:16:12信頼とは、極めて重要である。上級部隊に対する信頼と、下級部隊に対する信頼の双方である。任務戦術における命令を下達するに当たり、指揮官は彼の部隊の命令のみならず、上級部隊の任務を理解していなければならない。「2段階上の任務」である。全ての指揮官が「2段階上」を知らなければならない。
2012-03-18 01:20:41任務戦術による命令を受けた部隊の新しい責任を考えてみよう。「2段階上」を考えるのは良いスタートだ。小隊長は、大隊長が何をしたいか知らずに小隊を動かすことはできない。同じように、中隊長の企図も知らなければならない。
2012-03-18 01:23:59大隊長と中隊長、二人の上司の企図を知らないのであれば、どうすべきか聞き出したり、考えたり、命令待ちをしなければならない。これらはすべて、「戦術」と呼ばれる過程を遅くしてしまう。
2012-03-18 01:25:20中隊長は、大隊長の企図のみならず連隊長の企図も知らなければならない。大隊長は、連隊長のみならず師団長の企図も知らなければならない。
2012-03-18 01:26:43これら全ての他、任務戦術による命令においては、初級指揮官や下士官、兵士全てが主動性を発揮しなければならない。指揮下部隊が任務を受領したなら、全てはそこから考えなければならない。命令待ちをする余裕はない。
2012-03-18 01:28:48そして、「主努力」の視点を忘れてはならない。何が「主努力」かを見極めなければならない。「主努力」とは次の課で論ぜられることであり、迅速な形態の戦闘においては完全に理解されなければならない概念である。
2012-03-18 01:31:01次:第3課―1