【腐：T&B】自作倉庫【#同題ssTB】

伽哉 @muon_kaya

「こてつさん、」その甘い声色の後に続くであろう一言を察し、いつものように口元を覆おうにも両手には山積みの献本。だっ、塞げねぇ！焦り、聞きたくない一心で、僅か上方へと唇を突きだした。「…え？」ああ、これじゃ今までその一言を拒み続けた意味がないじゃないか！<「」> #同題sstb

伽哉 @muon_kaya

ふとした拍子に零れ落ちそうになる一言を、何度その掌に留められただろう。「まだ、何も言ってませんよ」「バニーは解り易いから」小さく笑って、僕の口元を覆っていた掌をひらひらと振って誤魔化す。この両手で守るべき対象に、彼の思う僕の“未来”も含まれているらしい。<「」> #同題sstb

伽哉 @muon_kaya

「今思えばあの決めポーズ…」「会社命令だったんだから仕方ないでしょ！？ハンサムの引退記念番組だからって全国ツアーの合間縫って来てやったのに、引退と同時に入籍って何よ！行き遅れのアラサーを馬鹿にしてんの！？ちょっとアンタ達、私の淡い初恋返しなさいよ！！」〈黒歴史〉 #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

深く押し込んで揺すってやれば、一際低く掠れた声で嬌声を上げる。「くっそ、仕返し、だ」惚けた瞳で意地悪く口角を上げ、僕のそこへ齧りつく彼は嫌いじゃない。<乳首> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

豪雨に足止めされていた私の目前で、スリップした大型トラックが避難誘導中のWTへ突っ込んだ。咄嗟にフェイスを上げたBBJが何か叫ぶも、雨に掻き消されて聞こえない。後で聞いた話ではWTの本名を叫んでいたらしいが、私は間近で見たBBJの瞳が忘れられなかった。<市民目線> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

突如街を襲ったゲリラ豪雨。地響きのような雷鳴、曇天に土砂降りと視界は最悪。ヒーロー達は街中に散らばって、事故処理や非難誘導にあたっていた。「虎徹さん！」BBJの悲痛な叫びに、心臓が跳ねる。すぐ切り替わってしまった中継画面を前に、私はただ手を握りしめた。<市民目線> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

いつも夕方の公園で行き会う、デニムジャケット姿の男性。人懐っこそうなゴールデンを連れて、抱えた大きな紙袋からフランスパンを覗かせてる、そんな温厚そうな人。「行くぞ、ジョン！」ハッと何かに気付いたように、慌てて駆け出す彼ら。急用でも思い出したのかな？<市民目線> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

「僕まだ食べてるんですけど」「でももーこんなじゃん」何の躊躇いもなく掴まれた急所に、低く呻いて溜息ひとつ。琥珀の瞳が溶けるように揺らめいて、こうなった彼はもう止まらない。「ったく、泣いても知りませんよ」「やれるもんならドーゾ？」肉食兎ちゃんのお手並み拝見。<肉> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

「ごちそーさん！あー腹いっぱい」土砂降りの中に出動すれば、腹も減る。お互い暫し無言でチャーハンを掻きこんで、皿を空にするなり、虎徹はネクタイやスラックスを次々に脱ぎ捨て始めた。「何、脱いでるんですか」「ん？食欲の次は、こっちだろ」彼の欲求はあまりにも短絡的。<肉> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

「バニー、きもちい？」「勿論、虎徹さんは？」「うん、俺も」お前が、日系で、黒髪で、しかも女だったら、こんなことにはならなかった。受け入れる側に甘んじているのも、アイツとのやり方を思い出しそうで怖いから。「僕、男で良かった」恋とはきっと、そんなものなのだ。<世界> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

僕にはまだ、触れられない箇所がある。恐らくあの薬指が存在しなければ、彼との“もしも”を想像することすらなかっただろう。「バニー、どした、難しい顔して」「いえ、あなたが好きだなーと、思って」「……これだからハンサムは」恋とはきっと、そんなものなのだと思う。<世界> #同題sstTB

伽哉 @muon_kaya

汚いと一蹴したバニーに担がれるまま帰宅し、放り込まれた先は湯船。慌てて浮上するなり顎を掴まれ、弄る強引な舌に口内が鈍い痛みを訴えた。「バニーちゃん、傷に沁みるんだけど」「莫迦なあなたには良い薬です」服が濡れることも厭わず縋り付く所作と発言は噛み合わない。<風呂> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

「汚いな」動けないから迎えに来いと呼び出された先は、最下層のゴミ捨て場。嫌悪を隠しもせずそう吐き捨てた僕に、虎徹さんはただへらりと笑う。「バニーちゃんシンラツー」手荒く担ぎ上げ、何度目かの大きな溜息。今は迎えに来てくれるもんな、と零した彼の真意は解らない。<汚い> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

背筋へ落ちた汗にさえあえらかな声を上げた彼は、僕の荒い息が鬱陶しいとでもいうように振り被り、全身を弛緩させた。引きずられるように果て、シーツへと倒れ込んだ彼の顔色を慌てて伺う。「鼻にまで汗かいちまって…可愛い」熱帯夜にいかれたのは、僕だけじゃないらしい。<熱帯夜> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

しよう。なんて、莫迦な話だったんだ。どうせ暑いなら一緒でしょうと、悪い笑みで俺を組み敷いた本人も、きっと内心では後悔しているに違いない。「熱い…」肩越しに振り返ったバニーはお世辞にもハンサムとは言い難く、けれどその俺は顔に呆気なくイってしまったのだ。<熱帯夜> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

お互い、その行為に自覚がないと気付いたのは最近のことだ。「バニー、睫毛びしゃびしゃじゃん、重そう」「虎徹さんだって、瞳が溶けだしたチョコレートみたい」幸せに溢れた涙なら舐めとり合って、ぐずぐずになった四肢を絡めようか。<涙> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

「あれ、今日雨降んの？」傘を持った僕に、虎徹さんは顔を顰めた。「降水確率50%だとか」「うっわ、微妙。傘って案外邪魔なんだよなー」久々のオフは、生憎の曇り空。「いいや、バニー持って行くんだろ。もし降ったら、相合傘して帰ろうぜ」無意識の提案は意外にクる。<あい> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

バニーが今日、髪を切った。「僕もう30過ぎですよ？流石に…ね」小生意気なルーキーヘアから一転、ナイスミドル呼び軍みたいな大人っぽい髪型へ。「似合ってんじゃん！」似合っては、いるけれど。その髪に梳き触れる時間が短くなってしまったと言えば、どんな顔するんだろう。<髪> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

今日の女性記者は、彼とよく似たアヒル口。ルージュがなくとも魅力的なあの唇に、ここ数日触れていない。ああ、虎徹さんとキスがしたい。「バーナビーさん、意外に子供っぽいんですね」なんだか可愛い。笑われて気付く、噛み潰してしまったストロー。そうか、あの時彼も！<子供> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

ちゅーしてぇな。なんて年甲斐のないことを考えながら、綺麗にべーグルを咀嚼する唇を横目で見ていたら「虎徹さん、そういうトコ子供っぽいですよね」って笑われた。どこがと追った視線の先には、噛み潰されたストロー。いや、これは、その！<子供> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

「無視し続けるなんて酷いじゃないですか」深夜、自分からかけてきたクセに電話口で黙り込んだ虎徹に、バーナビーはあからさまな溜息をひとつ。「…あのさ、喧嘩の原因ってなんだっけ」「そんなの、僕だって忘れちゃいましたよ！」<むし> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

「ハンサム遅いわね」時計を気にしたネイサンに、虎徹は唇を尖らせる。「来ねーよ」「あら、愛想つかされちゃった？」「違ぇよ、俺の方が無視してんの」バニーと喧嘩をして半月、マトモに会話していない。「でも時間の問題ね。アンタ、さっきっからケータイガン見じゃない」<むし> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

年下の男に揺さぶられながら、吐息を押し殺してもまだ熱い喘ぎを耳元へ吹き込まれる新体験。ふと、自分も喘ぎ返せばもっと2人で乱れられるんじゃないかなんて、不埒な考えが過る。「バニー、かわいっ、な…」今はまだ唇を噛んで、求められる優越感に浸っていようか。<キーワード> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

飢えた彼は、普段の三割増しで性質が悪い。蕩けた鳶色の瞳で僕を捉え、赤い舌を覗かし、誘うように腰を思いの外器用な両足で引き寄せる。まだ足りないのは、虎徹さんだけじゃない。「アっ…こてつさん、きもち、いっ」耳元で囁けば、なけなしの理性も剥ぎ取って。<キーワード> #同題ssTB

伽哉 @muon_kaya

男同士で、年下で、同僚で、バディで。とても平凡だけどとても満たされた繋がりから始まった関係だけに、その一線を越えるタイミングに毎度戸惑う。宅飲みの約束をこじつけ、それなりに酒が進んだ頃合いを見計らって、一言。察しの良さに救われるのは、こんな時だけだ。<うえ> #同題ssTB