即興頭蓋骨持ち歩き小説

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@halciondaze

そういや、頭蓋骨持ち歩き少女のイメージ的なラフ絵は友人が出してたな。まあ、許可とれなかったんで見せれないけど。

2010-06-08 04:44:05
@crow_henmi

批評はやめて演習や思考実験だけに没頭したい(実作はどうした

2010-06-08 04:52:38
@crow_henmi

@halciondaze 頭蓋骨持ち歩きで思い出すといえば「狂骨の夢」であり真言密教立川流の灌頂の儀式であるわけだが、幻想文学的ノリから一気に電気バイオレンス乗りになるので書かなかったといいます。書けばよかったかも。

2010-06-08 05:06:58
@halciondaze

@crow_henmi すごく読みたいです……未だに書いてる方そこそこいますし、アウトプットさえしていただければ、いつでも募集中ですよ!!

2010-06-08 05:09:13
砂義出雲@新作執筆中 @sunagi

@crow_henmi 頭蓋骨持ち歩きはむしろ「魍魎」と「狂骨」のハイブリッドでいいとこ取りですよね。なんて思いました。

2010-06-08 05:10:32
@crow_henmi

@halciondaze 身辺が慌ただしいのでちょっと書けるかどうか。

2010-06-08 05:12:06
@halciondaze

@crow_henmi 無理は言いませぬゆえ。しかし楽しみにはしてますw

2010-06-08 05:15:55
@crow_henmi

「押絵と旅する男」くらいに妙な話を組めたらもう勝ったも同然>頭蓋骨持ち歩き。

2010-06-08 05:33:04
@crow_henmi

少女が開けた箱の中には盃が無数に。「これはなんですか」「箔濃、と申します」織田信長が仇敵の頭蓋骨で作ったという盃だ。ではこれはすべて人の――「私の、想い人のものでございます」しかしそれでは帳尻が合わない。いったい幾人の頭蓋骨を加工したというのだ。「ざっと、百人」

2010-06-08 05:35:42
@crow_henmi

「百人ですって!」驚きのあまり大声を上げる。「ええ。私は、ひとごろしでございます――百人をあやめた、ひとごろし。――怖いですか?」あたりまえだが、それよりも彼女がどうしてそこまでしたかが気になった。「話せば長いことになりますが――もとはといえば、あの方が悪うございますのよ?」

2010-06-08 05:38:22
@crow_henmi

少女は語った。「私には心に決めたただ一人の想い人がおりました。ですけど、私はあの方のことばかりを思っていたのに、あの方は私を見てくださらなかった。私がそばにいるのをあたりまえのようにして、誰にでも優しく振る舞い、そしてそのたびに私の存在が希薄になっていったのです」

2010-06-08 05:41:56
@crow_henmi

「このままでは私はあの方にとって「ただある」だけのものになってしまう。水や空気のように当たり前のものに、ひとりの女として認められぬものになってしまう――そしてそれこそがあの方の望むことであると気づいたとき、私は決めたのです。あの方を私だけのものにしようと」

2010-06-08 05:43:21
@crow_henmi

しかしそれでは帳尻が合わない。「あなたの想い人は、心に決めたひとりではなかったのですか」少女は薄く笑った。「ええ、そうです。ですが、あの方をこのようにして手にいれたとき、ふと考えたのです。「この」宇宙では私はあの方を手に入れた。だけど、他の「宇宙」では、他の可能性では――と」

2010-06-08 05:46:05
@crow_henmi

「では、それは」べらぼうな話だ。しかし少女は首肯した。「そうです。ここにあるのは、あまたの宇宙、あまたの可能性で、いずれも私を愛してくださらなかったあの方の御首。私はそれをすべて手にいれたのです。悔いはありませんとも。だけども――」

2010-06-08 05:49:27
@crow_henmi

少女の笑みが陰る。「一度だけでいい、私を観てくださったら、あまたのあの硬たちのひとりでも、私をみてくださったら、このようなことはすべておしまいにしようと思っていましたのに――」少女の眼から涙がこぼれた。

2010-06-08 05:52:31
@crow_henmi

ぼくはそれに掛ける言葉を持たなかった。あまたの宇宙を超えた恋情と狂気を、そこに込められた思いと業の深さを受け止めることができなかった。しかし彼女から目を話すことはできなかった。まさにその深さにはまり込んだがゆえ、抜け出すことがかなわなかったのだ。

2010-06-08 05:54:20
@crow_henmi

ぼくは問うた。「これからも、それを続けるのですか?」少女は答えた。「あの方に見てもらうためなら、何度でも宇宙をわたり、何度でもお側にいよう、そう思っていました――ですが、いささか疲れてしまいましたわ。ですから、私はこの罪を償い、すべてを終わりにするつもりです」

2010-06-08 05:57:50
@crow_henmi

そして少女は去っていった。去り際に、ぼくの名前を呼んで。

2010-06-08 05:58:45
@crow_henmi

ぼくは彼女のことを知らなかった。だから彼女もぼくのことを知るはずがない。にもかかわらず、彼女がぼくの名を呼んだということは――つまり、それは、ぼくが彼女の「この世界での」想い人だった、ということではないのか。

2010-06-08 06:00:47
@crow_henmi

慌ててぼくは彼女を追った。何をすべきか判らないが、とにかく彼女を止めなければならないと思った。彼女を「観てしまった」ぼくは、彼女と向き合わなければならないと思ったのだ。

2010-06-08 06:01:51
@crow_henmi

しかし、彼女の姿はもうどこにもなかった。ただダラダラと続く田舎道に、陽炎がゆらりゆらりと上がり、幻灯のように歪んだ光景を映し出すのみであった――。

2010-06-08 06:02:51