重信先生のデータ講座『代償とリソースを考える』

数々のTRPG作品においてデータを作成して来た重信康(@k_shigenobu)先生のデータ講座。今回は代償とリソース、その意味を考えます。
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重信康(公開用) @k_shigenobu

本日21時くらいから久々にデータノウハウ講座をやろうかと思います。今の仕事を予定通り一段落つけられればですが!

2012-03-23 20:00:15
重信康(公開用) @k_shigenobu

@saikoromama ありがとうございますー。こちらこそ、またまとめでお世話になるかと思いますw

2012-03-23 20:46:43
重信康(公開用) @k_shigenobu

意外と反響を呼んでいるTRPGデータノウハウ講座、久々にいってみたいと思います。例によって20ツイート近く続きますので、TL流しご容赦ください。今回のテーマは「代償とリソース」です。

2012-03-23 21:02:51
ひなた @siratamahinata

@k_shigenobu 毎回、毎回、タメになります。物語作成の友です!

2012-03-23 21:04:03
重信康(公開用) @k_shigenobu

@siratamahinata ありがとうございます。TRPGクラスタ以外からも反響があるようなのが面白いところですね。

2012-03-23 21:05:22
重信康(公開用) @k_shigenobu

多くのゲームにおいて、特技や魔法、強力な効果の類いには何らかのコストが設定されていますね。MPやHPを消費したり、使用回数が限定されていたり、使用するとバッドステータスを受けたり、特定のパラメータが変動したり……といった具合に。以降、こうしたコスト全般を「代償」と定義します。

2012-03-23 21:06:13
重信康(公開用) @k_shigenobu

そして、それらの代償によって消耗し失われるものを、ここではまとめて「リソース」と定義します。これはMPをはじめとする目に見えたパラメータばかりとは限りません。代償として移動不能状態となるバッドステータスを受けた時、戦術の幅や行動機会といった、リソースの一種が失われているのです。

2012-03-23 21:08:13
重信康(公開用) @k_shigenobu

さて、ゲーム内において使用者と周囲が代償を意識する局面は、大別して主に3種類。「実際に使用し消費した時」「使用するかどうか考えている時」そして「消費したリソースを回復する時」です。最初のものについては自明なので省き、まず「使用するかどうか考えている時」の重要性について解説します。

2012-03-23 21:11:06
重信康(公開用) @k_shigenobu

GMと違い、ほとんどの場合プレイヤーはセッションの先を正確には見通せませんあとどれだけ部屋や敵との遭遇があるのか、今戦っている敵はいつ倒れてくれるのか、復活や増援はないのか……不定の未来に備えて有限のリソースをやりくりし、消耗を抑えたいという思考が多かれ少なかれつきまといます

2012-03-23 21:13:10
重信康(公開用) @k_shigenobu

そのため、実際に消費したものだけでなく「未来に失われるかもしれないリソース」も意識されます。残MP15点の状態で代償10点の特技を使えば、もう同じ特技を連続して使えないだけでなく、代償6点以上の特技も使えなくなります。つまり、代償5点の単に2倍という以上の「重さ」を感じるのです。

2012-03-23 21:15:28
重信康(公開用) @k_shigenobu

データ設計において代償を設定する際、こうした心理を見落とすのは危険です(もちろんシステム上のリソース回復手段/機会の多寡などにも左右されますが)。逆に言うと、大きな代償や貴重なリソースを1点でも減らす代償の設定は「抑止力」として機能し、ゲームバランスの調整に大きく貢献します。

2012-03-23 21:17:35
重信康(公開用) @k_shigenobu

具体例としては『ナイトウィザード2nd/S=Fメビウス』の《カバーリング》。これはMPと共にカウント(行動回数と機会に直結する重要リソース)を消費し、これで仲間を守ることを本業とするディフェンダーは、時として自分の残りHP以上にカウントとMPの管理を強く意識することになります。

2012-03-23 21:20:01
重信康(公開用) @k_shigenobu

しかし、それは望むだけのリソースを持ち未来を見通せるGM側にとっては抜けがちな視点でもあります。ディフェンダーの残HPのみをリソースとして捉え、「カウントやMPというリソースが減っている」ことを見落として、過剰な攻撃力で過大なストレスを与えてしまうことには注意が必要でしょう。

2012-03-23 21:22:15
重信康(公開用) @k_shigenobu

一見、攻撃をすべて防いでいる(ダメージは0じゃ!)ように見えても、リソースは失われているのですから。加えて「常に仲間を守れるように位置取る」ことや、そもそも防衛役としての任を果たすためのキャラビルド自体も、行動機会や成長方針という、先述した広義のリソースの消耗といえます。

2012-03-23 21:24:41
重信康(公開用) @k_shigenobu

なお、同ゲームの「魔装」は、使用回数が無制限(例外もあります)な代わりに装備時に最大MPなどが低下する魔法という特徴的なシステムで、言わば「未来に失われるかもしれないリソース」を一括で先払いにするという面白い処理だと考えることもできます。

2012-03-23 21:26:25
重信康(公開用) @k_shigenobu

少し話が逸れましたが「そのリソース消費がどれだけのストレスを与えるのか」を踏み込んで意識することは、データメイク段階からの重要ポイントであり、テストプレイなどにおいても注視すべき点と言えるでしょう。では次に「消費したリソースを回復する時」の重要性についてです。

2012-03-23 21:28:14
重信康(公開用) @k_shigenobu

@DoomDrakeV 自分もです。さすが遠藤先生のシステムデザイン。

2012-03-23 21:32:15
重信康(公開用) @k_shigenobu

消費と回復(手段)はワンセットとなって初めて「その世界の法則」や「キャラクターのパワーソース」を演出します。薬や回復魔法でのみHPが回復するゲームと、応援や的確な指揮といったテクスチャの能力でHPを回復できるゲームでは、HPが表わす概念それ自体が大きく違って見えますね

2012-03-23 21:30:52
ひなた @siratamahinata

@k_shigenobu 体力なのか士気なのかという考え方ですね。

2012-03-23 21:32:03
重信康(公開用) @k_shigenobu

@siratamahinata ですね。ルールパートや用語集でHPを解説する際の記述も大事ですが、こうした他の部分も合わせることでなお実感を持たせて伝達できると考えます。

2012-03-23 21:34:06
重信康(公開用) @k_shigenobu

また『ビーストバインド』の人間性『ダブルクロス』の侵蝕率は、多種多様な能力者や種族が同じひとつのパワーソースをコストにすることで、世界観的な裏付けと統一感を確保し、それが回復困難であることが、力の危険性とセッションを通してのリソース管理というシステムの根幹を成立させています。

2012-03-23 21:34:42