重信先生のデータ講座『代償とリソースを考える』
- saikoromama
- 8903
- 2
- 1
- 0
リソース回復とパワーソース表現に関する優れた具体例を挙げます。『異界戦記カオスフレア』の吸血鬼は、ほとんどの特技でLPという回復困難なリソースを消耗する特異な設計になっています。そして、専用のLP回復手段が吸血行為なのです。「データ的に」吸血の業から逃れられないというわけですね。
2012-03-23 21:37:07これは「他のPCと違って血をパワーソースにしている」という説得力を与え、吸血というヴァンパイアものに欠かせない場面を自然に発生させ、回復する瞬間にこそ皆の注目が集まり、そしてロールプレイによってリソースを得られるゲームシステム上有利にも働くという、多重に優れた設計といえます。
2012-03-23 21:38:39逆説的に「回復行為をさせるために、特殊な代償が設定されている」というわけですね。これは「どうやって吸血鬼PCに血を吸わせるか」という命題から逆算されたものだと小太刀/三輪両氏から聞き及んでいます。
2012-03-23 21:41:16@k_shigenobu そのデータが合鴨さんの絶妙なロールプレイとあわさった結果、リプレイ『リオフレード魔法学院』ではあの素晴らしいシーンがうまれたのですね
2012-03-23 21:43:29@Kanoh_Masaaki ですね。あれはこうした意図を汲み取り、計画的に演出した合鴨さんのプレイングもまた凄いです。
2012-03-23 21:44:40@k_shigenobu あれは単体で完結させるならアイテム取得というリソースをキャラクターに消費させ、それをケチりたいなら他のプレイヤーとの交渉をするというプレイヤーのリソースを消費しろ、という……
2012-03-23 21:44:58逆に『ビーストバインドトリニティ』の吸血鬼にそうした特殊リソースが設定されていないのは、魔物のパワーソースがエゴを通した奈落の力であり、あくまでエゴの表現によって吸血する/しないことを見せることがふさわしいという設計思想に依ります。
2012-03-23 21:46:24また『カオスフレア』には数少ない、そして誰もが購入できるHP全快手段として「温泉」があります。これがプレイ風景、特にリプレイにおいてどれほどさまざまな意味での貢献を果たすかは想像に難くないでしょう。最初の戦闘後=PCの親睦を深めたい時期にちょうど良いという設計も恐ろしく周到です。
2012-03-23 21:47:59@k_shigenobu 他の作品の吸血鬼が減点式なのに、ビーストバインドは加点式なんですね。
2012-03-23 21:49:22このように、代償をただゲームバランスを調整するための無機質な数値としてではなく、その前後を見据え設定することで、世界観や風景の表現手段、そしてプレイヤーの心理やPCの動きまでも誘導する手段として活用できるのです。効果本文が全9行なら、代償の欄は10行目のスペースと言えるでしょう。
2012-03-23 21:51:11これは代償以外にも言えることですが、ありふれた概念だからといって「ただなんとなく他のゲームに倣う」のではなく、確固たる意味と思考をもってして設定することが(その上で他ゲームに倣うのは勿論間違っていません)、良いゲームを支える屋台骨になると愚考します。以上、長文失礼いたしました。
2012-03-23 21:53:32@k_shigenobu お疲れ様でした。どんなデータからも物語は生まれるのですね。消費というカタルシスから生まれる物語、そしてそれに付随する行為に物語の柱を生み出すのですね。ふはぁ~やはりTRPGだけじゃなく他の事にも参考になります。
2012-03-23 21:59:18@siratamahinata あるいは、広範な分野を扱い人間心理を動作に組み込むTRPGという娯楽におけるノウハウは、自然と汎用的な考え方を内包するようになるということかもしれませんね。
2012-03-23 22:02:42@siratamahinata @k_shigenobu ああ、スイフリー語録とか投資詐欺の理屈と回避とか色々浮かんだけど言葉に出来ない。
2012-03-23 22:02:45@k_shigenobu: …ありふれた概念だからといって「ただなんとなく他のゲームに倣う」のではなく、確固たる意味と思考をもってして設定すること…<一応フォローしておくと、「とりあえず真似てみて後で気付く」のはありです。「やってもうた」は成長の糧です。
2012-03-23 22:04:25@tanoakira_open まさにその通りです。自分も何度もやらかしていますし、大いに自戒をこめた言葉でもあります。
2012-03-23 22:05:48@k_shigenobu 個人的にはデザイナーがどんなコンセプトでそのルールを作ったのか知ることができたので、とても参考になりました。旧約BBの時、とけねこ先生がルール項目毎にコンセプトを説明されていたことを思い出します。
2012-03-23 22:20:37@Nakamura_Hobby @k_shigenobu どうもです。ちなみに旧約BBのルール毎コンセプトは井上純弌先生からのオーダーによるものでした(初代天羅万象でも行われてますね)。私自身としては当時そこに読み物的な面白さと、井上さんの「熱量」を表現しようと試みたものです。
2012-03-23 22:26:50@tokeneko @Nakamura_Hobby その試みは成功していると思います。とにかく読んでいてワクワクするルールブックでした。
2012-03-23 22:29:05@takujiendo 追い詰められると突然大半のリソース管理をしなくてよくなるアルシャードのブレイクは本当に衝撃的でした。おかげで初心者に勧めやすかったのなんの。
2012-03-23 22:46:28@k_shigenobu もちろん、そのためにそうしたんだわ。あと、終盤に向けてだんだん特技が使えなくなるからそこを外すことで得られる快感も狙いました。それと、ここで戦闘は終了ですよっていう時限爆弾効果も^^
2012-03-23 22:48:46@takujiendo あー、やっぱりそういう意図が。逆説的に最初から最後まで加護の残数には卓の全員が注視する(そしてそれくらいなら覚えていられる)ようになりますしね。
2012-03-23 22:57:45@k_shigenobu 一手間違えれば、死ぬという状況下でリソースをどう割り振ったらイイか困ってしまうようなプレイヤーこそ、アルシャードを遊んで欲しいプレイヤーだからね。その解決が、割り振らなくてイイ! という流れなのです。
2012-03-23 23:00:11