四の舟×おろし丸によるスケッチブックリレー小説 青い鳥~交換日記~

ひさしぶりの青い鳥ラリー。交換日記は素敵かな。
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四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 「交換日記をしない?」 鳥飼さんはそう言って僕に、大学ノートを一冊手渡した。鳥飼さんの発案だったが、僕も一度やってみたいと思っていたので、喜んで了承した。こうして、鳥飼さんと僕の交換日記は始まり、そして今日は、記念すべき日記の一ページ目だ。

2012-03-28 22:24:59
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE とはいっても、いざ鉛筆を持っても何を書いたらいいのかが分からないでいた。今まで日記は夏休みの宿題程度しかやったこともなかったわけだし、ましてや人に見せるとなるとどういうものを書いたらいいのか分からない。こうして白紙の一ページ目を前に悩むこと三十分が過ぎた

2012-03-28 22:26:44
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 今日は学校のサッカーの授業で活躍することができたし、夕食に出した味噌汁が姉ちゃんにとても好評だったのだ。いろいろと嬉しいことがあって、これなら日記を書けると思っていた。ところがいざ鉛筆を握って、ふと考えた。こんなことを書いて、鳥飼さんが喜ぶのだろうかと。

2012-03-28 22:31:52
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE そもそも、何故鳥飼さんは僕と交換日記をしようと言いだしたのだろうか?結構唐突なことだったため割と安易に受けてしまったのだがどうしてなのだろうか?鉛筆を机に置き天井を見上げ、考えた。

2012-03-28 22:34:06
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 僕が鳥飼さんの立場だったら、どんなことが日記に描かれていると嬉しいか考えてみる。鳥飼さんと付き合い始めて、二か月。まだまだ僕も彼女の事を知らないことはたくさんあったけれど、それでも、好きになった頃に比べれば随分知っていることが多くなっている。

2012-03-28 22:40:23
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE たとえば、鳥飼さんはレアチーズケーキが好きだ。普段節制しているから食べる機会はほとんどないが、だからこそより一層おいしいのだと言っていた。そんなこと、付き合う以前は当然僕は知らなかった。

2012-03-28 22:43:32
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko そこで、もしかしてと思った。鳥飼さんも、僕の事を知りたいと思っているのではないかと。

2012-03-28 22:48:04
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE そうと気づけば、想うよりも早く鉛筆が進んでいった。とはいっても長々と書くわけにもいかないから要所要所、ポイントを押さえてまとめて書いた。それでも一ページ丸丸使ってしまったわけだが…

2012-03-28 22:50:08
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 日記の内容は至って単純なことを書いた。鳥飼さんとこうして交換日記をすることはうれしいけれど、どんなことを書けばいいのか、正直わからないこと。だからこそ、僕は思ったことを素直に丁寧に書きたいと思うこと。それから、今日あった嬉しいことを書いた。

2012-03-28 23:00:18
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 次の日、僕は学校が終わると急ぎ足で鳥飼さんの高校へと向かった。どうしても早く渡したかったし、それ以前に鳥飼さんに会いたいという気持ちが強かった。

2012-03-28 23:04:04
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 鳥飼さんはノートを受け取るとすぐにカバンの中にしまった。書いた内容が気になって、すぐにノートを見るかと思っていた僕は拍子抜けしてしまった。なんで、すぐにノートを見ないのか聞いてみると「家に帰ってからの楽しみにしたいの」と言い、僕は赤くなってしまった。

2012-03-28 23:09:56
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE その日帰ってからも考えることは日記の事だった。鳥飼さんはどんな事を書くんだろう、鳥飼さんは僕の書いた日記をどんな気持ちで読むんだろう、それを考えるだけで胸がどきどきした。

2012-03-28 23:12:52
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 日記は二日後に受け取った。学校が終わって、家へ向かっていると、鳥飼さんが僕に会いに来てくれたのだ。わざわざノートを渡すためだけに。僕は申し訳ないと思いつつも、嬉しさで大笑いしたくなった。さすがに実際に笑うことはなかったが、自然と笑みがこぼれた。

2012-03-28 23:21:57
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 僕は部屋に戻ると、急いでノートを開いた。そこにはとりとめのない鳥飼さんの日常が簡潔に、それでいて分かりやすく描かれていた。それが妙に嬉しかった。

2012-03-28 23:23:20
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 他人から見れば鳥飼さんの日常なんて、大したものでもないだろうけど、僕にとっては神秘的とも言えるほど魅力的だった。彼女が普段どんなことをして、どんなことに思いめぐらせているのか。そうしたことを知る事で、僕は鳥飼さんのことを確かな形で知っていくことができた。

2012-03-28 23:29:07
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE そしてこれは、鳥飼さんが僕に対して思っている事なのかもしれない。そう思うと俄然やる気がわいてきた。僕はありのままの僕を、ノートに綴っていった。

2012-03-28 23:30:21
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 鳥飼さんとの交換ノートはただの交換日記とは思えなくなっていた。上手く言えないけれど、紙上のデートのように思えてきた。僕は、交換日記を始めて二週間目のある日、文章の最後にこう書いた。『ノートに言葉を綴るたび、僕はあなたのことが好きと実感できます』と。

2012-03-28 23:35:40
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE その二日後、鳥飼さんが家にやってきた。いつもならノートを渡してそのまま帰るのだが、何故かその日は家に上がりたいと言って来た。突然の事で驚きはしたが断る理由もなかったので僕は彼女を家にあげた。

2012-03-28 23:38:10
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 鳥飼さんは僕の部屋で、カバンの中から交換日記ノートを出した。ノートの返事を書いたのと、彼女は口を開いた。僕は嬉しさがこみ上げてきた。どんなことを書いてくれたのか気になり、ノートを開こうとすると、鳥飼さんは手でそれを制して言った。「私の言葉で、伝えたいの」

2012-03-28 23:46:36
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE そう言う鳥飼さんは、非常に恥ずかしそうな表情で、それでも目は真剣そのものだった。その表情に、ノートを開こうとしていた僕の手は止められた。

2012-03-28 23:48:57
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 鳥飼さんは交換日記をしていくにつれて、僕の事がどんどんわかっていくような気がしてうれしいと言ってくれた。夜、一人でノートを開いて読むたびに、僕の日常がとても魅力的で、読んでいて楽しいとも。そして、そこで言葉を置いて、僕を見つめて 「好き」と言った。

2012-03-28 23:57:13
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 胸が高鳴った。言葉を上手く紡げなかった。少し手が震えた。「…青君が、ああ書いてくれていなかったら……私もこうはできなかったと思うの。」彼女の声だけが、僕の耳に届いていた。

2012-03-28 23:58:52
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko 僕は鳥飼さんを抱き寄せた。彼女の体は温かくやわらかくて、少しでも強く抱きしめてしまうと、体がバラバラになってしまうような気がした。こうして彼女と直接触れ合って感じるものは交換日記以上だ。けれど、交換日記も強みがある。伝えたい言葉を、残しておけることだ。

2012-03-29 00:08:42
焼き鳥P @Yakitori_P

@YOTSUnoFUNE 僕は言葉を残し、彼女は言葉を伝えた。それがとてもうれしかった。その嬉しさを行動にあらわしたら温かさがかえってきて、また嬉しくなった。

2012-03-29 00:12:48
四の舟(よつのふね) @YOTSUnoFUNE

@oroshiwanko こんな気持ちは初めてだ。嬉しいを通り越したこの気持ちは、言葉をつけるなら幸せと呼べるだろうか。僕にはよくわからなかったけれど、今夜僕が交換日記に書くことは決まった。『あなたと恋をしていけば、いろんなものがわかるのじゃないかと、そう思えます』と。

2012-03-29 00:23:01