整備兵氏(@seibihei)による「戦術の基礎(D. Wyly海兵隊大佐)」("Maneuver Warfare Handbook"付録)翻訳・第5課―1

目次:http://togetter.com/li/269377 何があっても使用できる予備は確保すること。 使うべき時に使うべき分を使用しよう。柔軟に行こう。
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前:第4課―2

まとめ 整備兵氏(@seibihei)による「戦術の基礎(D. Wyly海兵隊大佐)」("Maneuver Warfare .. 目次:http://togetter.com/li/269377 任務と目標を混同してはならない。迂闊な目標で部下を縛るべきではない。 大切なのは、目標ではなく任務なのだから。 どの日本語用語がどの英語用語に対応するのかごっちゃになって死にそう。 でも、そんな事をあまり考えずとも大丈夫……だとは思う、多分。 3253 pv 9

名無し整備兵 @seibihei

さて、今年度中に終わらせられるかと思ったけど、無理だった第5講

2012-03-31 23:43:10
名無し整備兵 @seibihei

第5講(最終講)「予備の概念」

2012-03-31 23:43:55
名無し整備兵 @seibihei

英陸軍のJ.F.C.フラー将軍は、米陸軍が1920年代に採用した「戦いの9原則」の元々の作者だが、その9原則を定めた時に「一番重要なのは「戦力の節用」である」と述べたことがある。

2012-03-31 23:46:05
名無し整備兵 @seibihei

敵味方どちらかのうち、相手が戦力を使い果たした時に、まだ投入できる部隊を持っている方が勝てるはずだ、という理由からである。

2012-03-31 23:49:07
名無し整備兵 @seibihei

ナポレオンも、「敵が予備隊を使い果たした時に、我が予備隊をまだ持っていれば勝てる」という観察をしているので、似たような考えをしていたようだ。

2012-03-31 23:50:56
名無し整備兵 @seibihei

フラー将軍やナポレオンの言葉の中に真実があると仮定すれば、指揮官は彼の部隊のかなりの部分を予備として残しておくべきだ、ということになるだろう。

2012-03-31 23:54:09
名無し整備兵 @seibihei

以前にも話したが、用兵術に規則に基づく運用はない。しかし、有用な目安として、可能であれば保持する戦力の約3分の2を予備とするべきだろう。

2012-03-31 23:57:43
名無し整備兵 @seibihei

戦闘の当初から多くの戦力を投入すれば、それなりに有利なこともある。敵を奇襲し、衝撃を与えることができるだろう。敵に多くの損耗を与えることができるかもしれない。重要な地形から敵を追い払うこともできるだろう。

2012-04-01 00:09:43
名無し整備兵 @seibihei

しかし、その後に予備を残していないなら、その戦果を維持することはできない。敵が十分な予備を残しているなら、特にそうだろう。

2012-04-01 00:12:11
名無し整備兵 @seibihei

大きな予備を保有しておくことの利点は、他にもある。君が敵の行動を常に推測しているのと同様、敵も君の行動を推測している。部隊の一部だけを投入すれば、敵に企図を推測される材料はそれだけ少なくなる。

2012-04-01 00:18:48
名無し整備兵 @seibihei

この予備隊をどう使用するかについて、決定していなくても構わない。実際には、敵が実施するかもしれない様々な行動に備え、どのように使用するか色々と検討するべきである。ナポレオンは以下の引用で、このことを言いたかったのだろう。

2012-04-01 00:28:34
名無し整備兵 @seibihei

「もしも私がどんなことにも対応できる準備を常にしているように見えるのであれば、それは、何をする前にも長く沈思黙考し、何が起こり得るか推測しているからだ。他者による予期できない環境の変化に対し、何を言うべきか、何をやるべきか霊感が下りてくるわけではない。沈思黙考の反映なのだ。」

2012-04-01 00:34:10
名無し整備兵 @seibihei

ナポレオンが言おうとしているのは、状況の急変に対して秒刻みの対応を取るためには、事前に準備が必要だ、ということだろう。何が起こり得るか、数多くの想定を事前に考えておくことは、確かに予備の投入の是非や運用について正しく状況判断することを容易にするだろう。

2012-04-01 00:37:58
名無し整備兵 @seibihei

どのような状況が発生するかは、知ることができない。状況がいつ変わるかも、知ることはできない。だからこそ、予備を残しておかなければならない。予備を投入しないか投入が少なければ、敵に企図を読まれることも少なくなる。

2012-04-01 00:51:47
名無し整備兵 @seibihei

このことは、待ち受けに徹して敵に主導権を明け渡せ、という意味ではない。当初の目標を達成するために、必要以上の戦力を使用するべきではない、ということである。予想できないことに準備するのだ。予想できないことが起こるのは、戦争では当たり前だということを考えれば、それは重要なことだ。

2012-04-01 01:08:28
名無し整備兵 @seibihei

予想していなかったことに対応できない指揮官は、長くは仕事を続けられまい。

2012-04-01 01:09:44
名無し整備兵 @seibihei

教範上での作戦命令の例や過去にあった実際の作戦命令では、予備に与える最も一般的な任務として「他の部隊の任務を引き継ぐ準備をせよ」というものがある。予備に対するこのような任務付与には、何の想像力も感じられない。

2012-04-01 01:20:44
名無し整備兵 @seibihei

第一に、攻撃している他の部隊の任務を引き継ぐのは、どんな予備隊にとっても常に予想しておかなければならない任務である。いちいち書くような必要もない。それはまた、予備の運用上、望ましいものでもないことが多い。

2012-04-01 01:25:31
名無し整備兵 @seibihei

それは、攻撃中の部隊が失敗しそうだ、或いは失敗したというのに対し、他の部隊、即ち予備隊を同じ場所に投入することを示唆する。これはしばしば「増援の錯誤」と呼ばれる。予備は間違った増援に使われるべきではない。

2012-04-01 01:29:41
名無し整備兵 @seibihei

もしある部隊が脆弱な陣地で、多大な損耗を出しているならば、同じところに別の部隊を投入したところで、同じ問題に直面することになろう。兵隊を同じ場所にどんどん送り込んで「強点」にしたと思っても、それは戦闘力を増すことにはならない。敵に、より大きな獲物を与えるにすぎない。

2012-04-01 01:33:51
名無し整備兵 @seibihei

1943年のタラワの戦いを注意深く分析すると、予備の誤用の明らかな例が見えてくる。3コ大隊が、同じ海岸に同じ経路で、一つ一つ逐次に投入されたのだ。いずれも同じ破滅的な結果に終わった。最後の大隊が海岸にたどり着く時までに、日本軍は対米戦術に関する多くの戦訓を得ていた。

2012-04-01 01:38:59
名無し整備兵 @seibihei

発簡された作戦命令を調べると、予備大隊に与えられた唯一の任務は「他の大隊の任務を引き継げ」だった。最初に攻撃した大隊は失敗が予期されていたのだ。

2012-04-01 01:43:08
名無し整備兵 @seibihei

「敵がこの方向から後退を始めた場合、A地点で道路を遮断出来るよう攻撃を準備せよ」に続き「リッジ道に敵の増援が現れた場合にこれを撃滅するため、232高地にヘリボンを実施できるよう準備せよ」といった任務が、指揮官の想像力ある思考を示すものである。

2012-04-01 01:47:37
名無し整備兵 @seibihei

それは、指揮官が万一の場合まで考えていることも明らかにしている。彼は予想できないことにも対応しようとしている。予備隊の指揮官に、可能性のある運用のいくつかについて考えるよう準備させている。

2012-04-01 01:50:35
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